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出典:春秋左氏伝(しゅんじゅうさしでん)の故事ことわざ一覧

『春秋左氏伝』に対して西晋の杜預が附した注釈である『春秋経伝集解』の冒頭。

『春秋左氏伝』に対して西晋の杜預が附した注釈である『春秋経伝集解』の冒頭。

『春秋左氏伝』(しゅんじゅうさしでん)は、中国の歴史書『春秋』の代表的な注釈書で、紀元前700年頃から約250年間の魯国の歴史を記録しています。

通称『左伝』とも呼ばれ、他に『春秋公羊伝』や『春秋穀梁伝』とともに春秋三伝と称される三つの主要な注釈書の一つです。

伝統的には孔子と同時代の魯の太史、左丘明が著者とされていましたが、これは伝説と考えられています。実際の著者や成立時期には諸説が存在し、劉歆や戦国時代の魏での成立など、さまざまな見解が提示されています。

『左伝』は『公羊伝』や『穀梁伝』と異なり、『春秋』経本文の純粋な注釈書というよりは、春秋時代の歴史書としての性格が強く、『春秋』には記されていない歴史的な記事も多く含まれています。特に戦争に関する記述は詳細であり、春秋時代の歴史を知る上での貴重な資料となっています。

前漢時代には公羊伝や穀梁伝が優先されていましたが、新、後漢時代に入ると『左伝』の評価が高まりました。特に劉歆は『左伝』を高く評価し、学官に推薦しました。西晋では杜預が『春秋経伝集解』を著し、春秋学のスタンダードとして注目されました。

唐代には『春秋経伝集解』に基づく『春秋左伝正義』が編纂され、春秋学の中心的な文献として位置づけられました。

日本でも、『春秋左氏伝』は古くから読まれ、数多くの故事成語の源となっています。福澤諭吉などの著名人もこの文献を読んで影響を受けたとされています。

まとめると、『春秋左氏伝』は春秋時代の歴史を詳細に記録した貴重な文献であり、著者や成立時期には諸説があるものの、中国や日本の学問・文化において重要な位置を占めています。

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