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【一難去ってまた一難】の意味と使い方や例文!語源由来は?(類義語・対義語・英語)

一難去ってまた一難

【ことわざ】
一難去ってまた一難

【読み方】
いちなんさってまたいちなん

【意味】
一つの災難が過ぎてほっとする間もなく、また次の災難が起きること。災難が次々と襲ってくること。

ことわざ博士
「一難去ってまた一難」は、ようやく困難を切り抜けた直後に、別の困難が続いて起こることを表すことわざなんだよ。
助手ねこ
事故、失敗、仕事上の問題、人間関係のもめごとなど、休む間もなく次の問題に向き合う場面に用いるニャン。

【英語】
・Misfortunes never come singly(災難は続くもの)
・It never rains but it pours(悪いことが起こると、ほかの悪いことも重なりやすい)

【類義語】
・前門の虎後門の狼(ぜんもんのとらこうもんのおおかみ)
・虎口を逃れて竜穴に入る(ここうをのがれてりゅうけつにいる)
・弱り目に祟り目(よわりめにたたりめ)
・踏んだり蹴ったり(ふんだりけったり)

【対義語】
・雨降って地固まる(あめふってじかたまる)
・禍を転じて福となす(わざわいをてんじてふくとなす)

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「一難去ってまた一難」の語源・由来

ことわざを深掘り

「一難去ってまた一難」は、中国古典の特定の故事から生まれた言葉ではなく、「一つの難が去る」と「また一つの難が来る」という、分かりやすい対句的な形で成り立った日本語のことわざです。「一難」は一つの災難を指し、「去って」はその災難が過ぎること、「また一難」は続いて別の災難が起こることを表します。

このことわざの力は、「災難がある」という一回だけの出来事ではなく、「過ぎたと思ったら、次が来る」という時間の流れを短く言い表すところにあります。人は困難を一つ乗り越えると、少し安心したくなりますが、その間もなく別の問題が起こると、精神的な疲れはさらに大きくなります。このことわざは、そのような連続した災難の重さを、簡潔な言葉の並びで表しています。

古い用例として、昭和10年、横光利一の小説『家族会議』に「一難去るとまた一難と、次から次へと順序を狂はさずに苦しみは来るものか」とあります。この用例では、「去って」ではなく「去ると」という形で、苦しみが順番を守るように次々と訪れる様子を述べています。言い回しは少し異なりますが、現在の「一難去ってまた一難」とほぼ同じ発想を表しています。

横光利一の『家族会議』は、株式取引や家族の利害、恋愛などがからむ長編小説です。その文脈で使われる「一難去るとまた一難」は、単なる小さな困りごとではなく、人間関係や生活を揺さぶる苦しみが次々と重なる状況を示しています。このため、現在のことわざとしての意味にも、「休む間もなく次の難事が来る」という強い実感が残っています。

後の用例としては、昭和35年、松下幸之助の『仕事の夢・暮しの夢』に「そのうえに一難去ってまた一難、今度はもう一つ追放令が出た」とあります。ここでは、ある問題に続いてさらに別の大きな問題が起こる場面に、このことわざがそのままの形で用いられています。

このように、「一難去るとまた一難」という形から、「一難去ってまた一難」という形へ、表現としてより言いやすく整った形が広く用いられるようになったと考えられます。「去ると」は出来事の順序を説明する言い方で、「去って」は一つの災難が終わった直後に次が来る切迫感を、より自然に感じさせる形です。

類義のことわざには、「前門の虎後門の狼」や「虎口を逃れて竜穴に入る」があります。どちらも、一つの危険を逃れたと思ったところで、さらに別の危険に出会うことを表します。ただし、「一難去ってまた一難」は、虎や竜などの具体的なたとえを使わず、生活の中で起こるさまざまな災難に広く使える点に特徴があります。

現在では、家庭、学校、仕事、社会生活など、幅広い場面で使われます。たとえば、試験のあとに病気になり、さらに提出物の締め切りが迫るような場合にも使えます。ただし、単に予定が多いだけの忙しさではなく、「災難」「困難」「面倒な問題」が続けて起こる場面に用いるのが自然です。

「一難去ってまた一難」の使い方

健太
昨日やっと理科の観察記録を書き終えたのに、今朝は水筒のふたがゆるくて、ランドセルの中のノートがぬれちゃったよ。
ともこ
それは大変だったね。しかも今日は漢字テストもあるんでしょう? まさに一難去ってまた一難だね!
健太
うん。でも、ぬれたノートは先生に見せて、漢字は休み時間にもう一回だけ見直すよ。
ともこ
それがいいよ! 困ったことが続いても、一つずつ片づければきっと大丈夫だよ。
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「一難去ってまた一難」の例文

例文
  • 大雨で電車が遅れたうえ、学校に着くと忘れ物に気づき、一難去ってまた一難の朝になった。
  • けがから回復したばかりの選手に別の故障が見つかり、監督は一難去ってまた一難だと肩を落とした。
  • 会社の機械トラブルを直した直後に取引先から急な変更依頼が入り、一難去ってまた一難の一日となった。
  • 母は洗濯機の修理を終えたと思ったら冷蔵庫まで故障し、一難去ってまた一難だとため息をついた。
  • 文化祭の準備では、ポスターの印刷ミスが解決した直後に、舞台道具の一部が壊れて、一難去ってまた一難だった。
  • 一難去ってまた一難という状況でも、落ち着いて順番に対応すれば、解決の道は見えてくる。

主な参考文献
・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・松村明監修『大辞泉 第二版』小学館、2012年。
・北村孝一編『ことわざを知る辞典』小学館、2018年。
・横光利一『家族会議』1935年。
・松下幸之助『仕事の夢・暮しの夢』実業之日本社、1960年。
・Merriam-Webster, 『Merriam-Webster.com Dictionary』Merriam-Webster、2026年参照。





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