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【言わぬが花】の意味と使い方や例文!語源由来は?(類義語・対義語・英語)

言わぬが花

【ことわざ】
言わぬが花

【読み方】
いわぬがはな

【意味】
口に出してはっきり言わないほうが、かえって趣があり、差し障りもなくてよいということ。言ってしまうと身も蓋もなくなる場面に用いる。

ことわざ博士
「言わぬが花」は、沈黙によって余韻や思いやりが保たれることを表しているよ。
助手ねこ
相手を傷つける本音、話の結末、場をしらけさせる説明などを控える場面で用いるニャン。

【英語】
・Some things are better left unsaid(言わないほうがよいこともある)

【類義語】
・言わぬは言うにまさる(いわぬはいうにまさる)
・雄弁は銀、沈黙は金(ゆうべんはぎん、ちんもくはきん)

【対義語】
・言わぬ事は聞こえぬ(いわぬことはきこえぬ)
・思う事言わねば腹ふくる(おもうこといわねばはらふくる)

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「言わぬが花」の語源・由来

ことわざを深掘り

「言わぬが花」は、「言わぬ」と「花」が結びついたことわざです。「言わぬ」は、言わないこと、口に出さないことを表し、ここでいう「花」は、植物の花そのものではなく、美しさ、趣、よさをたとえる働きをしています。

このことわざの考え方は、言葉にしてしまうと、かえって味わいが失われることがある、というものです。すべてを説明しきらず、聞き手の想像やその場の余韻を残すところに、「花」と呼べるだけのよさがあると見る言い方です。

古い用例として、『ぎんかなめ』(1729年・江戸時代中期、雑俳)に「いとまやるからは謂をいはぬが花」とあります。ここでは、別れや暇を出す場面で、余計な理由や言葉を重ねず、言わないままにしておくほうがよい、という意味合いで用いられています。

この用例で注目したいのは、「謂をいはぬ」という形です。「謂」は理由やいわれを指す言葉として読め、事情を細かく言わないことが、かえってよいとされている点に、現在の「言わぬが花」と同じ考え方が表れています。

「○○が花」という形は、その行動や状態こそが最もよい、という判断を短く表す言い方です。「言わぬが花」では、話すことよりも話さないことを選ぶほうが、その場にふさわしい、という意味を簡潔に示しています。

「花」という言葉には、古くから美しいもの、目立ってよいもの、価値のあるものを表す広がりがあります。そのため、単に黙るという消極的な行為ではなく、あえて言わないことに美点や余韻を認める表現になりました。

明治時代には、坪内逍遙の『当世書生気質』(1885〜1886年)に「作者が自儘の考案もて、いわぬが花か、読む人が自得さとるも花か」という用例が出てきます。作者がすべてを説明するより、読む人が自分で悟る余地を残すことにも価値がある、という文脈です。

この用例は、「言わぬが花」が単に人間関係の気まずさを避けるだけの言葉ではないことを示しています。文学や表現の場でも、言いすぎないことで、読者の想像や理解が深まるという考えにつながっています。

一方で、このことわざには、言うべきことまで黙っていればよいという意味はありません。大切な注意や約束、説明、危険を知らせる言葉などは、黙っているとかえって相手を困らせることがあります。

その反対の発想は、「言わぬ事は聞こえぬ」や「思う事言わねば腹ふくる」に表れています。つまり、言わないほうがよい場合もあれば、言わなければ伝わらない場合もあり、「言わぬが花」は、沈黙が思いやりや余韻になる場面を選んで使うことわざです。

近い言い方に「言わぬは言うにまさる」があります。これは、言葉ではっきり言うよりも、口に出さないほうが思いの深さを表す場合や、黙っているほうが得策な場合をいう言葉です。

また、「雄弁は銀、沈黙は金」も、話す力には価値があるが、沈黙すべき時を知ることにはさらに大きな価値がある、という考えを表します。こちらは西洋から入った表現ですが、沈黙の価値を認める点で、「言わぬが花」とよく通じます。

現在の「言わぬが花」は、相手を思いやって言葉を控えるとき、物語の結末をあえて明かさないとき、余計な説明で場の趣をこわしたくないときなどに使われます。言葉を削ることで、かえって人の心や場の空気を守ることがある、という日本語らしい感覚を伝えることわざです。

「言わぬが花」の使い方

健太
今日の読書感想会で、物語の最後を話しそうになって、あわててやめたんだ。
ともこ
まだ読んでいない人もいるから、結末まで言ったら楽しみがなくなっちゃうね。
健太
先生が、そこは言わぬが花だねって言っていたよ。続きを想像できるほうが楽しいよね。
ともこ
うん!感想は伝えて、最後の驚きはみんなに残しておきたいね。
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「言わぬが花」の例文

例文
  • 映画の結末について友人に尋ねられたが、楽しみを奪わないため、言わぬが花と考えて黙っていた。
  • 祖母は、相手の失敗を細かく責めるより、言わぬが花で静かに見守ることを選んだ。
  • 会議のあとで上司の小さな言い間違いに気づいたが、話の流れを乱さないため、言わぬが花と判断した。
  • 贈り物の値段をわざわざ知らせるのは無粋なので、そこは言わぬが花である。
  • 友人の恋の行方について事情を知っていても、本人が話すまでは言わぬが花だ。
  • 作品の余韻を大切にするなら、作者の意図をすべて説明しきらず、言わぬが花にしておくほうがよい。

主な参考文献
・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・松村明監修、小学館大辞泉編集部編『大辞泉 第二版』小学館、2012年。
・北村孝一編『ことわざを知る辞典』小学館、2018年。
・『ぎんかなめ』1729年。
・坪内逍遙『当世書生気質』1885〜1886年。
・Cambridge University Press『Cambridge Dictionary』Cambridge University Press.





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