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【沖な物あて】の意味と使い方や例文!語源由来は?(類義語・英語)

沖な物あて

【ことわざ】
沖な物あて

【読み方】
おきなものあて

【意味】
まだ手に入れていない物を、すでに得られるものとして当てにすること。

ことわざ博士
「沖な物あて」は、将来得られるかどうか分からない利益や成果を、確実なものとして頼ることを戒めるよ。
助手ねこ
結果の出ていない試験、成立していない取引、まだ受け取っていない収入などを前提に計画を立てる場面に用いるニャン。

【英語】
・Don’t count your chickens before they hatch(実現する前から、よい結果を当てにして計画を立ててはいけない)

【類義語】
・捕らぬ狸の皮算用(とらぬたぬきのかわざんよう)
・飛ぶ鳥の献立(とぶとりのこんだて)
・穴の貉を値段する(あなのむじなをねだんする)

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「沖な物あて」の語源・由来

ことわざを深掘り

「沖な物あて」は、沖にいる、まだ捕らえていない魚などの獲物を、すでに手に入れた物のように当てにする姿から生まれたことわざです。「沖な物」は、沖にある未捕獲の獲物を表し、「あて」は頼みとするもの、または見込みを意味します。

「沖」は、海・湖・川などの水面で、岸から遠く離れた所を指す言葉です。「おく」と同じ語源をもつといい、岸辺から見て奥まった水上を表します。

「沖」という言葉の古い用例は、『古事記(こじき)』(712年・奈良時代、太安万侶編)の歌謡に出てきます。そこでは、沖の方に小舟が連なっている光景を「淤岐へ」と表しており、8世紀初めには、岸から遠い水面という意味で使われていました。

『万葉集(まんようしゅう)』(8世紀後半成立、奈良時代)にも、海原の沖を進む舟を詠んだ歌があります。このように、「沖」は古くから、陸地を離れた遠い水上を表す言葉として日本語に根付いていました。

一方の「あて」は、動詞「当てる」の連用形が名詞になった言葉です。物事を行う際の目的や見込みを表すほか、頼みになるもの、心の支えとなるものという意味をもちます。

「あて」の古い用例は、西行の歌集『山家集(さんかしゅう)』(12世紀後半・平安時代末期、西行著)にあり、進むべき道の目当てという意味で使われています。また、室町時代末から近世初めの虎寛本狂言(とらひろぼんきょうげん)『米市』には、人を頼みにするという現在の「あてにする」に近い用法が出てきます。

さらに、「あてにする」という形は、『風流曲三味線(ふうりゅうきょくじゃみせん)』(1706年・江戸時代中期、都の錦著)にも使われています。人から届いた親しい言葉を信用して頼りにし、それをもとに行動する場面であり、江戸時代には「あてにする」が、信用して頼ることを表す言い方として定着していました。

「沖な物あて」は、この「沖にある未捕獲の獲物」と「頼みとするもの」という二つの意味を組み合わせた表現です。沖に獲物がいるとしても、まだ捕らえて手元へ運んだわけではないため、自分の物として計算に入れることはできません。

表記には、ユーザーが示した「沖な物あて」のほか、「沖な物当て」もあります。「あて」を平仮名で書くか、漢字で書くかの違いであり、どちらも、まだ得ていない物を頼りにするという同じ意味を表します。

類義語の「捕らぬ狸の皮算用」は、まだ捕らえていない狸の皮を売る勘定をする姿から生まれた言い方です。「飛ぶ鳥の献立」は、まだ捕らえていない鳥をどのように料理するか考える姿を表し、「穴の貉を値段する」は、穴の中にいる貉を捕らえる前から値段を決めることを指します。

これらはいずれも、不確実な成果を先に得たものとして扱う早計さを戒めます。その中で「沖な物あて」は、遠い沖にいる獲物を頼みにする情景によって、まだ自分の手元にない物は確かな支えにならないという教えを伝えています。

「沖な物あて」の使い方

健太
今度の日曜日に新しくオープンする遊園地のチケットを4枚もらえるかもしれないんだ。
ともこ
わあ、それは楽しそうだね!でも、もらえるかもしれないって、まだ決まったわけじゃないの?
健太
お父さんの会社の抽選なんだけど、当たったら一緒に行こうと思って、もう電車の時間を調べてあるんだ。
ともこ
それは沖な物あてというものだよ。もし外れたらがっかりしちゃうから、結果を待ってから計画を立てようよ。
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「沖な物あて」の例文

例文
  • まだ契約が成立していないのに売上金を使う計画を立てるのは、沖な物あてである。
  • 合格発表の前から祝いの旅行を予約するとは、いささか沖な物あてではないか。
  • 父は、臨時収入を見込んで高価な家具を買おうとする母を、沖な物あてだとたしなめた。
  • 客が来るかどうかも分からない新商品だけを頼みにする経営は、沖な物あてになりかねない。
  • 優勝賞金を得たつもりで使い道を話し合う選手たちの姿は、沖な物あてそのものだった。
  • 援助の約束をまだ受けていない以上、それを予算に組み込むのは沖な物あてである。

主な参考文献

・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・佐竹秀雄・武田勝昭・伊藤高雄編、北村孝一監修『故事俗信ことわざ大辞典 第二版』小学館、2012年。
・Cambridge University Press & Assessment, 『Cambridge Dictionary』。
・太安万侶編『古事記』712年。
・『万葉集』8世紀後半成立。
・西行『山家集』12世紀後半成立。
・都の錦『風流曲三味線』1706年。





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