【ことわざ】
金さえあれば飛ぶ鳥も落ちる
【読み方】
かねさえあればとぶとりもおちる
【意味】
世の中のたいがいの事は、金の力で解決できるというたとえ。金銭の力がきわめて大きいことを、やや皮肉をこめて表す。


【英語】
・Money talks.(金が物を言う)
【類義語】
・金が物を言う(かねがものをいう)
・地獄の沙汰も金次第(じごくのさたもかねしだい)
・成るも成らぬも金次第(なるもならぬもかねしだい)
「金さえあれば飛ぶ鳥も落ちる」の語源・由来
「金さえあれば飛ぶ鳥も落ちる」は、金銭の力を大きく言い表す前半と、権勢の強さを表す「飛ぶ鳥も落ちる」という比喩が結びついたことわざです。ここでいう「金」は、金属としての金ではなく、貨幣・金銭を指します。
「飛ぶ鳥も落ちる」は、空を飛んでいる鳥までも地に落ちるほど勢いが強い、という誇張表現です。もとは人や勢力の権威・威勢がたいへん盛んなことを表す言い方として使われてきました。
この比喩の古い形には、「飛鳥も落つ」があります。『平治物語』(1220年ごろ成立、鎌倉時代初期の軍記物語)には、「飛ぶ鳥も落ち、草木もなびくばかり也」という用例があり、勢いの強さを、鳥が落ち、草木がなびくほどだと表しています。
この段階では、金銭の力ではなく、人物や勢力の威勢を述べる言い方です。空を飛ぶ鳥さえ逆らえないほどの勢いという比喩が、後の「飛ぶ鳥を落とす」「飛ぶ鳥も落ちる」という言い方につながっています。
江戸時代には、「飛鳥を落とす」という形も使われました。雑俳集『柳多留』(明和2年から天保3年、1765〜1832年序、呉陵軒可有ほか編)の一一編、1776年の用例に「官女の時も飛鳥をおとすなり」とあります。
この「飛鳥を落とす」は、「飛鳥も落つ」と同じく、圧倒的な勢いや権勢を表します。実際に鳥を落とすという意味ではなく、普通なら届かないものまで動かしてしまうほどの力を、目に浮かぶ形で表したものです。
一方、「金さえあれば」という前半は、金銭の力が物事を動かすという考えをはっきり示しています。「金が物を言う」は、物事を行うときに金銭の力が大きいことを表す言い方で、このことわざと同じ方向の発想をもっています。
また、「地獄の沙汰も金次第」は、地獄で受ける裁判でさえ金を出せば有利になるというほど、金があれば何事も思うままになるというたとえです。金銭の力を強く、そして皮肉をこめて見る点で、「金さえあれば飛ぶ鳥も落ちる」と近い関係にあります。
「金さえあれば飛ぶ鳥も落ちる」は、こうした金銭万能の発想に、「飛ぶ鳥も落ちる」という強い比喩を重ねた表現です。つまり、金があれば、権勢のある人が飛ぶ鳥を落とすほどの力をもつのと同じように、難しいことまで動かせる、という意味になります。
ただし、このことわざは、金があればすべて正しいという教えではありません。むしろ、世の中では金銭の力がたいへん強く働くことがある、という現実を鋭く言い表した言葉です。
現在では、資金があるために交渉や事業が思い通りに進む場面、また、金銭によって本来なら難しいことまで通ってしまう場面で使われます。金の力の大きさを認めつつ、その力に頼りすぎる世の中への皮肉も含むことわざです。
「金さえあれば飛ぶ鳥も落ちる」の使い方




「金さえあれば飛ぶ鳥も落ちる」の例文
- 金さえあれば飛ぶ鳥も落ちるというように、大きな資金を持つ企業は短期間で市場を動かすことがある。
- 彼は、交渉が急に進んだ理由を聞き、金さえあれば飛ぶ鳥も落ちるとはこのことだと思った。
- 金さえあれば飛ぶ鳥も落ちるとはいえ、信頼まで金で買えるわけではない。
- その事業は資金力で一気に広がり、金さえあれば飛ぶ鳥も落ちるという言葉を思わせた。
- 金さえあれば飛ぶ鳥も落ちるような世の中だからこそ、公平な決まりが必要になる。
- 祖父は、金さえあれば飛ぶ鳥も落ちるという考えに流されず、人として正しい道を選べと話した。
主な参考文献
・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2006年。
・松村明監修、小学館大辞泉編集部編『大辞泉 第二版』小学館、2012年。
・佐竹秀雄・武田勝昭・伊藤高雄編、北村孝一監修『故事俗信ことわざ大辞典 第二版』小学館、2012年。
・『平治物語』1220年ごろ成立。
・呉陵軒可有ほか編『柳多留』1765〜1832年序。
・Cambridge University Press『Cambridge Dictionary.』
・Merriam-Webster『Merriam-Webster Dictionary.』























