【ことわざ】
昨日は今日の昔
【読み方】
きのうはきょうのむかし
【意味】
わずか一日前のことでも、今から見ればすでに過去であるということ。月日の経つのが早いことのたとえ。


【英語】
・Time flies.(時は飛ぶように過ぎる)
【類義語】
・光陰矢の如し(こういんやのごとし)
・月日に関守なし(つきひにせきもりなし)
・今日の後に今日は無し(きょうののちにきょうはなし)
・歳月人を待たず(さいげつひとをまたず)
「昨日は今日の昔」の語源・由来
「昨日は今日の昔」は、「昨日」と「今日」という近い日を並べて、時間が過ぎれば、ほんの一日前のことでも過去になるという考えを表すことわざです。現在の意味では、月日の経つ早さをたとえる言い方として用いられます。
「昨日」は、今日より一日前の日を指すだけでなく、近い過去を思い返す言葉としても使われます。「昔」や「古」は、過ぎ去った月日や過去を表す言葉です。
このことわざの古い形は、『閑吟集(かんぎんしゅう)』(1518年・室町時代後期、編者不明)に出てきます。『閑吟集』は、小歌を中心に三百十一首を集めた歌謡集で、当時の人々の恋、感慨、世の中のはかなさなどを伝えています。
『閑吟集』には、「唯人はなさけあれ、夢の夢の夢のきのふはけふのいにしへ、けふはあすのむかし」とあります。これは、人には情けがあってほしい、この世は夢のまた夢のようにはかなく、昨日は今日から見れば昔であり、今日は明日から見れば昔になる、という趣旨の歌です。
ここで大切なのは、「きのふはけふのいにしへ」と「けふはあすのむかし」が続いている点です。昨日、今日、明日を順に並べることで、時間が一日ごとにすぐ過去へ移っていく様子を、たいへん短い言葉で示しています。
「いにしへ」は、今の言葉でいえば「昔」「過去」に当たります。そのため、「きのふはけふのいにしへ」という古い表現は、「昨日は今日の昔」という現在の形と意味の上でつながっています。
また、このことわざには「昨日は今日の古」という形もあります。「昔」と「古」はどちらも過ぎ去った時を表すため、表記は少し違っても、伝えようとする考えは同じです。
『閑吟集』の歌では、時間の流れは夢のようにはかないものとして歌われています。昨日が今日には過去となり、今日も明日には過去となるという見方は、人の世の移ろいやすさを感じさせます。
このことわざは、単に「昨日は終わった日だ」と言うだけではありません。まだ新しいと思っている出来事も、時が進めばすぐに過去になるという、時間の速さへの驚きを含んでいます。
同じ考えを表す言い方に、「光陰矢の如し」や「月日に関守なし」があります。どちらも、月日が早く過ぎ、止めることができないという意味をもちます。
現在では、成長の早さを感じるとき、昔の出来事を振り返るとき、また、一日一日を大切にしようと考えるときに使われます。短い言葉の中に、過ぎた時間は戻らないという、静かな教えがこめられています。
「昨日は今日の昔」の使い方




「昨日は今日の昔」の例文
- 卒業式の写真を見返すと、昨日は今日の昔という言葉どおり、ついこの前のことまで遠く感じられる。
- 子どもの成長を見ていると、昨日は今日の昔で、時間の過ぎる速さに驚かされる。
- 入学した日の緊張も、三年たった今では昨日は今日の昔となった。
- 昨日は今日の昔というように、今日の出来事も明日にはもう過去になる。
- 忙しい毎日をふり返ると、昨日は今日の昔という言葉が身にしみる。
- 昨日は今日の昔と思えば、何気ない一日も大切に過ごしたくなる。
主な参考文献
・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・松村明監修『大辞泉 第二版』小学館、2012年。
・浅野建二校注『新訂 閑吟集』岩波書店、1989年。
・Oxford University Press『Oxford Advanced Learner’s Dictionary.』























