【故事成語】
悪を長じて悛めずんば、従って自ら及ばん
【読み方】
あくをちょうじてあらためずんば、したがってみずからおよばん
【意味】
悪い行いをそのまま大きくし、悔い改めないでいると、やがてその害が自分自身に返ってくるという戒め。


【英語】
・If evil is allowed to grow and not corrected, it will come back upon oneself.(悪を育てて改めなければ、自分に返る)
・Persist in wrongdoing, and the harm will reach you in the end.(悪事を重ねれば、ついには自分に及ぶ)
・Those who do not repent of their wrongdoing suffer for it.(悪を悔い改めない者は、その報いを受ける)
【類義語】
・長悪不悛(ちょうあくふしゅん)
・怙悪不悛(こあくふしゅん)
・怙悪不改(こあくふかい)
【対義語】
・改邪帰正(かいじゃきせい)
・改過自新(かいかじしん)
・改過遷善(かいかせんぜん)
・洗心革面(せんしんかくめん)
「悪を長じて悛めずんば、従って自ら及ばん」の故事
この故事成語のもとになった文は、中国の古典『春秋左氏伝(しゅんじゅうさしでん)』の隠公六年に出てきます。『春秋左氏伝』は『左伝』とも呼ばれ、春秋時代の出来事を伝える大切な書物です。
話の舞台は、陳と鄭という二つの国の関係です。鄭は前年、陳に和解を申し入れました。
このとき陳の側には、五父という人物がいました。五父は、仁ある国と親しくし、隣国とよい関係を結ぶことは国の宝だとして、鄭と争わないようにすすめました。
ところが陳侯はその意見を受け入れませんでした。宋や衛こそ大きな心配であり、鄭は恐れる相手ではないと考えたからです。
しかし、その判断のあと、五月に鄭が陳へ攻め入り、陳は大きな打撃を受けました。本文には「大獲」とあり、多くを奪われるほどの敗れ方だったことが伝わります。
そこで本文は、この結果を受けて、「善不可失、悪不可長」と述べます。よいことは取り逃してはならず、悪いことは大きくしてはならない、という意味です。
さらに続けて、「長悪不悛、従自及也」と言います。悪をのばしたまま改めなければ、そのわざわいは巡って自分に及ぶ、という強い戒めです。
日本語の「悪を長じて悛めずんば、従って自ら及ばん」は、この部分を読み下した言い方です。ここでの「悛む」は悔い改めることをいい、「自ら及ばん」は災いが自分に返ることを表します。
大切なのは、ただ悪人を責めるだけのことばではないという点です。自分の欠点やまちがいを小さいうちに正さないと、それが育って最後は自分自身を苦しめる、という教えになっています。
後の時代には、この文から「長悪不悛」という形が取り出されました。さらに、広く知られる成句としては「怙悪不悛」という四字の形も生まれました。
そのため、この故事成語は国と国との争いの話から始まりながら、今では個人のふるまいにも重ねて使えます。不正、乱暴、約束破り、悪い習慣などを改めないまま続けると、結局は自分が苦しむという場面に合う表現です。
もとの話には、善い関係を結ぶ機会を失い、悪い判断を育てたために災いを招いた流れが、はっきり書かれています。そこから、この故事成語は今も、悪をそのまま大きくしてはならないという重い戒めとして伝わっています。
「悪を長じて悛めずんば、従って自ら及ばん」の使い方




「悪を長じて悛めずんば、従って自ら及ばん」の例文
- 宿題のごまかしを何度も重ね、最後には自分の力で解けなくなった姿には、悪を長じて悛めずんば、従って自ら及ばんという戒めが当てはまる。
- 家で小さなうそを重ねた結果、だれにも信じてもらえなくなったなら、悪を長じて悛めずんば、従って自ら及ばんの一例である。
- 約束破りを改めず、友人の助けを失った彼の結末は、悪を長じて悛めずんば、従って自ら及ばんというほかない。
- 運動会の係の仕事をさぼり続け、当日になって自分の出番まで乱した姿は、悪を長じて悛めずんば、従って自ら及ばんを思わせる。
- 経費のごまかしを改めなかった社員が、最後には自分の立場を失ったのは、悪を長じて悛めずんば、従って自ら及ばんの典型である。
- 規則違反を軽く考えて続けた結果、大きな事故を招いた例に接すると、悪を長じて悛めずんば、従って自ら及ばんという戒めの重さが分かる。























