【ことわざ】
朝寝朝酒は貧乏のもと
【読み方】
あさねあさざけはびんぼうのもと
【意味】
朝寝坊をしたり、朝から酒を飲んで仕事や務めを怠ったりする者は、やがて貧しくなって生活に困るという戒め。


【英語】
・Idleness leads to poverty(怠けは貧しさを招く)
・He that lies long in bed, his estate feels it(長く寝てばかりいると、財産にも響く)
【類義語】
・酒と朝寝は貧乏の近道(さけとあさねはびんぼうのちかみち)
・朝寝八石の損(あさねはちこくのそん)
・朝寝昼寝は貧乏のもと(あさねひるねはびんぼうのもと)
・朝謡は貧乏の相(あさうたいはびんぼうのそう)
【対義語】
・早起きは三文の徳(はやおきはさんもんのとく)
・稼ぐに追い付く貧乏なし(かせぐにおいつくびんぼうなし)
「朝寝朝酒は貧乏のもと」の語源・由来
「朝寝朝酒は貧乏のもと」は、特定の一つの物語から生まれた故事成語ではなく、朝の時間を大切にする生活感覚から育ったことわざです。朝寝は、働き始めるべき時間を失うことを表し、朝酒は、仕事や務めの前に酒へ流される節度のなさを表します。
このことわざでは、朝寝と朝酒が、ただの楽しみとしてではなく、生活を支える働きや心がけを崩すものとして並べられています。つまり、怠けと不節制が重なると、家計や信用まで失いやすいという戒めになっています。
表記には「貧乏の元」と書く形もあり、「元」は原因・もとになるものという意味を受け持ちます。ひらがなの「もと」で書いても、生活の苦しさを招く原因という意味は同じです。
この発想は、朝寝を損失と見る古い生活意識ともつながっています。「朝寝八石の損」は、朝寝坊をすると健康や仕事の能率を損ない、大きな損失を招くという戒めです。「八石」は非常に大きな量を表す言い方で、朝の怠けを大きな損として強めています。
また、「酒と朝寝は貧乏の近道」という近いことわざもあります。こちらは、酒にふけり、朝寝をして働くことを怠れば、貧乏へ近づくという意味を、より直接的に示しています。
「朝寝」「朝酒」「貧乏」を結びつける言い方は、地域の歌や口承にもなじみの深い形で伝わってきました。福島県会津地方の民謡『会津磐梯山』(地域伝承の民謡で、成立年を一点に定めにくい)には、小原庄助という人物が、朝寝・朝酒・朝湯を好み、身上を失ったという趣旨の囃子詞が出てきます。
小原庄助は、民謡の中では、朝からのんびり寝て、酒や湯を楽しみ、家の財産を失った人物として知られています。ただし、実在の人物かどうか、また誰をもとにしたのかについては、元禄時代の材木問屋、戊辰戦争で戦死した会津藩士などの説があり、はっきり一つに定まっていません。
この民謡の人物像を、このことわざの直接の語源と断定することはできません。しかし、「朝寝」「朝酒」が生活を傾ける原因になるという考えは、ことわざの意味と深く通い合っています。
ことわざとしては、「朝寝朝酒は貧乏のもと」のほかに、「朝寝昼寝は貧乏のもと」「朝寝朝酒朝湯は身代をつぶす」など、近い形の言い回しも伝わっています。いずれも、朝の時間を失い、仕事や務めをおろそかにする暮らしが、財産や信用を損なうという方向で意味が重なります。
昔の暮らしでは、朝は田畑、商い、家事などを始める大切な時間でした。朝に動き出せないことは、単に寝坊するだけでなく、その日の働きや人からの信用に関わる問題でもありました。
そのため、このことわざは、酒そのものを一律に悪いものとする表現ではありません。問題にしているのは、朝から酒に流され、働くべき時に働かず、日々の生活を崩していく態度です。
現在でも、このことわざは、生活の乱れや怠けが積み重なると、収入・信用・健康に悪い影響を及ぼすという戒めとして使われます。朝の過ごし方を整え、節度をもって暮らすことの大切さを、分かりやすく伝えることわざです。
「朝寝朝酒は貧乏のもと」の使い方




「朝寝朝酒は貧乏のもと」の例文
- 朝寝朝酒は貧乏のもとという通り、開店時間を守らない店は客の信用を失った。
- 父は朝寝朝酒は貧乏のもとを思い出し、休日でも午前中に家の用事を済ませるようにした。
- 朝寝朝酒は貧乏のもとという戒めは、生活の乱れが収入に響くことをよく表している。
- 店を任された兄は、朝寝朝酒は貧乏のもとを胸に、毎朝決まった時刻に店を開けた。
- 朝寝朝酒は貧乏のもとは、怠けと不節制が重なる怖さを短く言い表したことわざだ。
- 祖父は朝寝朝酒は貧乏のもとと言い、若いころから朝の仕事をおろそかにしなかった。























