【ことわざ】
頭の濡れぬ思案
【読み方】
あたまのぬれぬしあん
【意味】
先のことを考えるより、まず今、自分の身に及んでいる問題を解決することが大事だということ。


【英語】
・first things first(まず大事なことから先にせよ)
【類義語】
・明日の百より今日の五十(あすのひゃくよりきょうのごじゅう)
【対義語】
・深謀遠慮(しんぼうえんりょ)
「頭の濡れぬ思案」の語源・由来
このことわざは、今まさに雨が降っているときには、遠くの天気や先の予定を思い悩むより、まず自分の頭が濡れないようにする手立てを考えるべきだ、という具体的な発想から生まれた言い方です。「先のこと」より「今、自分の身に及んでいる問題」を先に解決することを説く表現として伝わっています。
「頭」は、人の首から上の部分を指す言葉です。このことわざでは、雨を受けやすい体の一部として「頭」を出すことで、危険や困りごとがもう身近に迫っている様子を分かりやすく表しています。
「濡れる」は、雨・露・涙などの水が物の表面に付いたり、しみ込んだりすることを表します。そのため「頭の濡れぬ」は、まだ頭を濡らさずにすむように、今すぐ身を守るという場面を思い浮かべさせます。
「思案」は、あれこれと考えめぐらすこと、また心配することを表す言葉です。「頭の濡れぬ思案」という形では、ただぼんやり考えるのではなく、今の困りごとをどう避けるか、どう解決するかを考える意味に近づきます。
この表現の中心には、雨という日常的で分かりやすい比喩があります。大雨の中で遠い先の計画ばかり考えていても、目の前で頭が濡れてしまえば、まず体を守ることが必要になります。そこから、仕事、勉強、家庭、健康などでも、将来の大きな心配より、いま直面している問題を順に片づけよ、という教訓へ広がったと考えられます。
ただし、このことわざは、将来を考えることを否定する言葉ではありません。先を見通すことは大切ですが、すでに自分の身に降りかかっている問題を放置してまで遠い先を思案するのは順序が違う、という戒めです。現在の意味では、優先順位を誤らず、まず手近な危機を処理することの大切さを表すことわざとして用いられます。
「頭の濡れぬ思案」の使い方




「頭の濡れぬ思案」の例文
- 文化祭の大きな企画を話し合う前に、今日中に出す申込書を整えるのが頭の濡れぬ思案だ。
- 来年の進路を心配するより、欠席で遅れた数学の単元を取り戻すことが頭の濡れぬ思案だ。
- 台風の日に旅行の土産を考えるより、避難経路を確かめるのが頭の濡れぬ思案だ。
- 会社の十年後の構想を語る前に、今月の支払いを滞らせないことが頭の濡れぬ思案だ。
- 遠い将来の健康を案じるだけでなく、今の発熱を受診するのが頭の濡れぬ思案だ。
- 引っ越し後の部屋づくりを考えるより、まず荷造りの期限を守るのが頭の濡れぬ思案だ。
主な参考文献
・松村明監修、小学館大辞泉編集部編『大辞泉 第二版』小学館、2012年。
・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・北村孝一編『ことわざを知る辞典』小学館、2018年。























