【ことわざ】
雨上がりの薬缶照り
【読み方】
あまあがりのやかんでり
【意味】
雨がやんだあとに、急に強い日差しが照りつけ、かんかん照りになること。


「雨上がりの薬缶照り」の語源・由来
雨上がりの薬缶照りは、雨がやんだ直後の天気を、身近な道具である薬缶にたとえて言い表したことわざです。「雨上がり」は、雨がやんだすぐあとのことを表し、「あまあがり」は「あめあがり」と同じ意味で使われます。
「照り」は、日の照ること、または晴天を指す言葉です。そのため「雨上がり」と「照り」が続くと、雨のあとに空が晴れ、日が照るという天気の変化が、そのまま表現の土台になります。
このことわざで特徴的なのは、ただの「照り」ではなく、「薬缶照り」と言うところです。薬缶は、もとは薬を煎じるための道具に関わる名で、のちに湯を沸かす容器を指す一般的な言葉として広まりました。
薬缶は火にかけると熱くなり、金属の表面が明るく光ることもあります。そのため「薬缶照り」という言い方は、ただ晴れているだけでなく、じりじりと熱く、ぎらぎらと照り返すような日ざしを思わせる表現になっています。
「かんかん」という言葉にも、この表現を理解する助けがあります。「かんかん」は、日の光が強く照りつけるさまを表す言葉で、「かんかん照り」は、夏の太陽が強く照りつけること、またそのような天候を指します。
また、薬缶には「薬缶頭」という言い方もあります。これは、毛髪がなくなって薬缶のようになめらかになった頭を指す言葉で、江戸時代の雑俳にも用例が出てきます。薬缶の形や表面の光り方が、人々のたとえの中で身近に使われていたことが分かります。
ただし、「雨上がりの薬缶照り」そのものについて、古典作品の中に早い用例がはっきり残っているとは言いにくい表現です。そのため、このことわざは、古い故事から出たものではなく、雨のあとに強く照りつける日ざしを、熱く光る薬缶の印象で言い表した生活感のある言い方と考えられます。
雨のあとには、地面や草木がぬれていて、空気にも湿りけが残ります。そこへ急に太陽が照りつけると、まぶしさだけでなく、むっとする暑さも感じやすくなります。雨上がりの薬缶照りは、そうした「晴れたのに、さわやかというより暑い」という場面をよくとらえた表現です。
表記は「薬缶照り」と漢字で書く形のほか、「やかん照り」とひらがなを交えた形でも使われます。漢字で書くと道具としての薬缶が強く意識され、ひらがな交じりにすると、日常会話に近いやわらかい印象になります。
現在の使い方では、まず天気そのものをいうのが基本です。雨がやんだあと、空が一転して明るくなり、強い日ざしが照りつけるとき、「雨上がりの薬缶照り」と言うと、その急な明るさと暑さが一度に伝わります。
「雨上がりの薬缶照り」の使い方




「雨上がりの薬缶照り」の例文
- 遠足の途中で雨がやむと、雨上がりの薬缶照りになり、アスファルトがまぶしく光った。
- 庭そうじを始めたころ、雨上がりの薬缶照りで、ぬれた草からむっとした熱気が上がった。
- 運動会の午後は雨上がりの薬缶照りとなり、係の先生はこまめに水分を取るよう呼びかけた。
- 店先の雨よけを片づけたとたん、雨上がりの薬缶照りで、通り全体が明るく照り返した。
- 川べりの道は、雨上がりの薬缶照りのため、水たまりも石垣も強く光っていた。
- 工事現場では、雨上がりの薬缶照りに備えて、作業員が帽子と飲み物を確認した。
主な参考文献
・小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2006年。
・松村明監修『大辞泉 第二版』小学館、2012年。























