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【落とした物は拾い徳】の意味と使い方や例文!語源由来は?(類義語・英語)

落とした物は拾い徳

【ことわざ】
落とした物は拾い徳

【読み方】
おとしたものはひろいどく

【意味】
落とし物は落とし主の不注意によるものだから、拾った人の物にしてもよいとする昔の考え。

ことわざ博士
「徳」は「得」とも書き、ここでは善い行いではなく、拾った人が得る利益を表すよ。
助手ねこ
現在は、落とし物を持ち主に返すか、警察や施設の管理者へ届けなければならず、文字どおりの行動を勧める言葉ではないニャン。

【英語】
・Finders keepers, losers weepers(見つけた人が持ち主となり、なくした人が泣きを見る)

【類義語】
・拾い主は半分(ひろいぬしははんぶん)
・預かり物は半分の主(あずかりものははんぶんのぬし)

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「落とした物は拾い徳」の語源・由来

ことわざを深掘り

「落とした物は拾い徳」は、物を落とした人の不注意と、それを拾った人の利益とを対照させたことわざです。「拾い徳」の「徳」は「得」とも書くため、ここでいう「徳」は、人としての立派さや善い行いではなく、思いがけず手に入る利益を指します。つまり、「落とした人には損でも、拾った人には得になる」という関係を、短く言い表したものです。

このことわざが、いつ、だれによって作られたのかは明らかではありません。また、特定の人物の逸話や、一つの物語から生まれた表現でもありません。落とし物を拾った人にも一定の権利や利益があるという、昔からの生活上の考え方を背景として広まった言い方です。

同じ考え方を表すものに、「拾い主は半分」「拾うた者は半分の主」があります。これらは、拾った人にも落とし物の半分ほどの権利があるという言い方です。「落とした物は拾い徳」は、それをさらに簡潔にし、拾うことによって利益を得る点を強く表したものといえます。

江戸時代には、拾った物の扱いが幕府の法にも定められていました。『公事方御定書(くじかたおさだめがき)』(1742年・江戸時代中期、江戸幕府編)は、拾い物を届け出た場合には三日間知らせを出し、持ち主が現れれば、金銭は落とし主と拾った人とで半分ずつにすると定めています。原文には、「金子ハ落主と拾ひ候者、半分宛為取可申候」とあります。布などの品物は持ち主へ返し、拾った人には相応の礼をする仕組みでした。

また、持ち主が分からないまま六か月が過ぎれば、拾った人がその物をすべて受け取ることになっていました。一方、拾い物を届け出ず、あとでそのことが明らかになった場合には、過料を科すとも記されています。このため、江戸時代にも、拾った物をその場で勝手に自分の物にしてよいわけではありませんでした。正式に届け出た人に、金銭の一部や、持ち主が現れなかった品物を与える制度だったのです。

この仕組みには、落とした人にも不注意がある一方で、拾って届けた人の手間にも報いるという考え方が表れています。「拾い主は半分」や「落とした物は拾い徳」のようなことわざも、拾った人に何らかの利益を認める、こうした社会の考え方と重なります。ただし、ことわざが『公事方御定書』の条文から直接生まれたと断定することはできません。

明治32年、すなわち1899年には、近代的な『遺失物法(いしつぶつほう)』が公布されました。落とし物を届け出て持ち主へ返す仕組みと、持ち主が現れない場合に拾った人が所有権を得る仕組みは、法律によって整えられていきました。

現在も、拾った人は、落とし物を速やかに持ち主へ返すか、警察へ提出しなければなりません。駅や店などで拾った場合には、その施設の管理者へ渡します。そのうえで、持ち主が見つかれば一定の報労金を受けられ、公告から三か月以内に持ち主が判明しなければ、品物によっては拾った人が所有権を得られます。

このように、「落とした物は拾い徳」は、拾った人にも利益があるという昔の考えを伝えることわざです。しかし、現在では、落とし物をそのまま持ち帰る理由にはなりません。昔の価値観を表すときや、思いがけず拾い物をした人が冗談めかして使う言葉として理解するのが適切です。

「落とした物は拾い徳」の使い方

健太
公園のベンチの下に、きれいな腕時計が落ちていたよ。持ち主の名前は書いていないみたい。
ともこ
お兄ちゃんなら、落とした物は拾い徳だって言いそう。でも、そのまま持ち帰ったらだめだよ!
健太
もちろん分かっているよ。公園の管理事務所へ届けよう。
ともこ
うん! 大切な時計みたいだから、持ち主が見つかるといいね。
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「落とした物は拾い徳」の例文

例文
  • 落とした物は拾い徳と言って財布を持ち帰ることは、今の社会では許されない。
  • 祖父は、落とした物は拾い徳という昔のことわざを、冗談を交えて教えてくれた。
  • 物語の少年は、落とした物は拾い徳を口実に、道で拾った玩具を自分の物にしようとした。
  • 落とした物は拾い徳という考え方と、現在の落とし物の制度との違いを授業で学んだ。
  • 商人は落とした物は拾い徳と笑ったが、落とし主が現れるとすぐに品物を返した。
  • 落とした物は拾い徳ということわざには、拾った人にも利益を認める昔の考えが表れている。

主な参考文献

・瀬戸賢一・投野由紀夫編『プログレッシブ英和中辞典 第5版』小学館、2012年。
・高塩博「『公事方御定書』を改訂した幕府法律書――『寛保律』百箇条」『國學院法學』第55巻第4号、國學院大學法学会、2018年。
・『公事方御定書』1742年。
・『民法』1896年。
・『遺失物法』1899年。
・『遺失物法』2006年。





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