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【女賢しくて牛売り損なう】の意味と使い方や例文!語源由来は?(類義語・英語)

女賢しくて牛売り損なう

【ことわざ】
女賢しくて牛売り損なう

【読み方】
おんなさかしくてうしうりそこなう

【意味】
女性は利口そうに振る舞っても、目先の利益にとらわれて大局を見失い、かえって物事を失敗するという古いたとえ。

ことわざ博士
賢しさが裏目に出るという戒めを、女性に結びつけた表現だよ。
助手ねこ
女性一般の能力を低く決めつける偏見を含むため、現代では歴史的背景を説明する場面などで扱うニャン。

【英語】
・too clever for one’s own good(賢さがかえって本人の不利益を招く)

【類義語】
・女の利発牛の一散(おんなのりはつうしのいっさん)
・女の知恵は鼻の先(おんなのちえははなのさき)

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「女賢しくて牛売り損なう」の語源・由来

ことわざを深掘り

「女賢しくて牛売り損なう」の「賢しい」は、頭がよく、判断力があるという意味をもつ一方、文脈によっては、利口そうに振る舞うことや、小利口な様子を表します。このことわざでは後者の意味が強く、賢さを見せようとして口を出した結果、かえって失敗するという考えを表しています。

古い用例は、近松門左衛門の人形浄瑠璃『出世景清(しゅっせかげきよ)』(1685年・江戸時代前期)にあります。この作品は、貞享2年に大坂の竹本座で初演された五段構成の時代物で、近松門左衛門と竹本義太夫が初めて組んだ重要な作品です。

物語の二段目では、平家の武将・悪七兵衛景清(あくしちびょうえかげきよ)をめぐり、遊女の阿古屋(あこや)と、その兄の伊庭十蔵(いばのじゅうぞう)が言い争います。十蔵は、景清の居場所を幕府へ知らせて恩賞を得ようと阿古屋に持ちかけますが、阿古屋は初め、その計画に反対します。

ところが、阿古屋は、景清が熱田神宮の大宮司の娘である小野姫を愛していると兄から聞かされ、心を乱します。その阿古屋に対し、十蔵は「女さかしくてうしうられぬとは御分が事ぞ、諸事は兄にまかせよ」と言い、賢いつもりで口を出すと肝心なことを失敗するから、自分に任せるよう迫ります。

この場面では、女性が実際に牛を売る出来事は起こりません。十蔵は、すでに人々に意味が通じる言い回しとして、このことわざを阿古屋への非難に用いています。そのため、『出世景清』がことわざを生んだのではなく、1685年には「女さかしくて牛売られぬ」という形が、すでに使われていたことを示す古い例といえます。

古い形の「牛売られぬ」は、牛を売ることができない、売る機会を逃すという意味です。後には、失敗した結果をより分かりやすく表す「牛売り損なう」という形も定着し、現在の「女賢しくて牛売り損なう」へとつながりました。辞書には、「売り損なう」と「売られぬ」の両方の形が載っています。

江戸時代には、女性の知恵を浅いものと決めつける、よく似た言い回しも使われていました。凉花堂斧麿の浮世草子『当世誰が身の上』(1710年・江戸時代中期)には、「女の理発牛の一さん」ということわざが出てきます。これは、普段はゆっくり歩く牛が突然走り出す様子に、先を考えず急いで行動するという意味を重ねた表現です。

牛を売ろうとした女性が余計なことを言い、買い手に牛の欠点を気づかれて売れなくなったという話も、由来として語られることがあります。しかし、古い用例として確かに示せるのは『出世景清』の台詞であり、特定の牛売りの出来事を記した原典までは明らかではありません。そのため、この話を、実際に起きた出来事や確定した由来として扱うことはできません。

このことわざは、もともと「目先の利益にとらわれ、賢さを見せようとして、かえって失敗する」という戒めを表しています。しかし、その欠点を女性だけに結びつけている点に、当時の社会がもっていた女性への偏見が表れています。現代では、女性の能力を評価する言葉として用いるのではなく、昔の男女観や、ことわざに残る価値観を学ぶための表現として受け止めることが大切です。

「女賢しくて牛売り損なう」の使い方

ともこ
国語の資料に、女賢しくて牛売り損なうということわざが出てきたよ。女性は賢くても失敗するという意味なの?
健太
賢さを見せようとして、かえって失敗するという古いたとえだよ。でも、失敗を女性だけに結びつけているんだ。
ともこ
女の人だから大局を見通せないと決めつけるのは、おかしいよね……。
健太
うん! 意味だけでなく、そのことわざが生まれた時代の価値観も考えることが大切だね。
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「女賢しくて牛売り損なう」の例文

例文
  • 女賢しくて牛売り損なうは、女性の知恵を低く見ていた昔の価値観を伝えることわざである。
  • 古い芝居では、兄が妹を黙らせるために女賢しくて牛売り損なうという言い方を用いている。
  • 祖父が女賢しくて牛売り損なうと口にすると、母は性別で能力を決めつけるべきではないとたしなめた。
  • 国語の授業では、女賢しくて牛売り損なうの意味とともに、表現に含まれる女性への偏見について考えた。
  • 女賢しくて牛売り損なうを現代の女性への非難に使えば、不当な決めつけになりかねない。
  • 展示会では、女賢しくて牛売り損なうを取り上げ、ことわざに表れた昔の男女観を紹介していた。

主な参考文献

・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・小学館大辞泉編集部編、松村明監修『大辞泉 第二版』小学館、2012年。
・守随憲治・大久保忠国校注『近松浄瑠璃集 下 日本古典文学大系50』岩波書店、1959年。
・近松門左衛門『出世景清』1685年。
・凉花堂斧麿『当世誰が身の上』1710年。





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