【ことわざ】
親が親なら子も子
【読み方】
おやがおやならこもこ
【意味】
親が悪い行いをし、子もまた悪い行いをしたとき、その親子をまとめて非難する言葉。


【英語】
・The apple doesn’t fall far from the tree(子は親に似るものだ)
【類義語】
・蛙の子は蛙(かえるのこはかえる)
・瓜の蔓に茄子はならぬ(うりのつるになすびはならぬ)
【対義語】
・親は親、子は子(おやはおや、こはこ)
「親が親なら子も子」の語源・由来
「親が親なら子も子」の成り立ちを理解するうえでの鍵は、「XがXなら、YもYだ」という日本語の言い回しにあります。この形は、ある立場の人がよくなければ、それに続く人も同じようによくないという、両者への非難を表します。
「親が親なら」の前の「親」は、子をもつ親という立場の人を指します。後の「親」には、言葉の上では省かれている「そのような困った親」「親としてふさわしくない親」という評価が込められています。
後半の「子も子」も、同じ仕組みです。「その親だけでなく、子もまた困った子である」という意味を、同じ名詞を繰り返す同語反復(どうごはんぷく)によって表しています。悪い、だめだ、困った、といった言葉を明示しなくても、言い回し全体から否定的な評価が伝わる形です。
「なら」は、助動詞(じょどうし)の「だ」が、仮定を表す形になったものです。しかし、このことわざでは、単に「親がそうである場合には」という条件を述べるだけではありません。「親のありさまが悪いのだから、その子のありさまも悪い」という、あきれや非難を強く表す働きをしています。
この言い回しに近い古い例は、明治35年(1902年)に『児童研究』誌に集められた、昔から歌い伝えられてきた子どもの歌にも見られます。そこには、「親が親なら子も子でござる烏見やんせ子も黒ひ」とあります。
この一節は、からすの親が黒ければ、その子もやはり黒いという親子の類似を、調子のよい言葉で歌ったものです。現在の形より長く、「でござる」という言い方に続いて、からすの親子を示す後半の句が置かれています。
この明治期の例では、親子の姿が似ていることをからすの色に重ねています。道徳上の悪事を強く責めるというより、「親に似て子も同じである」という広い発想を表した用例です。
一方、現在の「親が親なら子も子」は、親が悪事を働き、子も同じように悪事を働いた場合に、その親子を非難する言葉として定着しています。古い歌に表れた親子の類似という発想のうち、特によくない性質や行動が似ている場合に、使い方の重点が置かれるようになったことが分かります。
また、現在では、明治期の歌にあった「でござる」以下を付けず、「親が親なら子も子」だけで意味が通じます。親と子の双方を短い一言で厳しく批判する、簡潔で力強いことわざとして使われています。
したがって、このことわざは、親子が似ていることを中立的に述べる表現ではありません。親にも子にも問題があり、その悪い行いや態度がよく似ていることを、あきれや非難を込めて言い表すものです。
「親が親なら子も子」の使い方




「親が親なら子も子」の例文
- 父親が列に割り込み、その子も順番を守らなかったので、親が親なら子も子だとあきれられた。
- 店の商品を乱暴に扱う母親のそばで、子どもまで品物を投げており、親が親なら子も子というほかなかった。
- 近所への迷惑を気にせず騒ぐ親と、夜道で大声を上げる子を見て、親が親なら子も子だと思った。
- 会社の代表が数字をごまかし、後を継いだ息子も同じ不正に手を染めたため、親が親なら子も子と厳しく批判された。
- 地域の清掃日に親がごみを放置し、子も空き缶を捨てて帰ったので、親が親なら子も子だと注意を受けた。
- 約束を破っても謝らない親をまねるように、子も友人との約束を軽く扱い、親が親なら子も子だと周囲を失望させた。
主な参考文献
・小学館大辞泉編集部編、松村明監修『大辞泉 第二版』小学館、2012年。
・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・集英社辞典編集部編『会話で使えることわざ辞典』集英社、1989年。
・志澤剛「『Xが/もXならYもYだ』構文―その認可条件と「が」「も」の交替をめぐって―」『目白大学人文学研究』第17号、目白大学、2021年、49〜62頁。
・國生雅子「『児童研究』誌における童謡蒐集(四)」『福岡大学日本語日本文学』第28号、福岡大学日本語日本文学会、2019年、27〜43頁。
・Cambridge University Press & Assessment『Cambridge Advanced Learner’s Dictionary & Thesaurus』。























