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【歓楽極まりて哀情多し】の意味と使い方や例文!故事は?(類義語・対義語・英語)

歓楽極まりて哀情多し

【故事成語】
歓楽極まりて哀情多し

【読み方】
かんらくきわまりてあいじょうおおし

【意味】
喜びや楽しみが最高潮に達すると、かえって悲しい気持ちが生じるということ。

ことわざ博士
歓楽の中から哀情がわくという、喜びと悲しみが重なり合う心の動きを表すんだよ。
助手ねこ
祭り、旅行、卒業式など、楽しい時間が終わりに近づいて寂しさを覚える場面に用いるニャン。

【英語】
・After joy comes sorrow.(喜びのあとには悲しみが来る)

【類義語】
・楽極まりて哀情多し(たのしみきわまりてあいじょうおおし)
・楽あれば苦あり(らくあればくあり)

【対義語】
・苦あれば楽あり(くあればらくあり)

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「歓楽極まりて哀情多し」の故事

故事成語を深掘り

「歓楽極まりて哀情多し」は、中国・前漢の武帝、劉徹の『秋風辞(しゅうふうのじ)』に出てくる一句にもとづく故事成語です。武帝は、前156年から前87年まで生きた前漢第七代の皇帝で、在位は前141年から前87年まででした。

『秋風辞』は、武帝が河東の汾陰(ふんいん)へ行き、后土(こうど:土地の神)をまつった折に作ったと伝わります。汾河(ふんが)に楼船(ろうせん:二階造りの船)を浮かべ、群臣と宴を開いた場面が背景にあります。

古く伝わる説明には、「上行幸河東。祠后土。顧視帝京。欣然中流。與群臣飲燕。上歡甚。乃自作秋風辭曰」とあります。これは、帝が河東へ行き、土地の神をまつり、都を眺めて喜び、川の中ほどで臣下たちと宴を開き、たいへん楽しくなって『秋風辞』を作った、という意味です。

詩の前半では、秋風が吹いて白雲が飛び、草木が黄ばんで落ち、雁が南へ帰る景色が描かれます。蘭や菊の香り、忘れられない佳人への思いも重なり、秋の美しさと心の揺れが一緒に表されています。

後半では、楼船を浮かべて汾河を渡り、笛や太鼓が鳴り、棹歌(とうか:船をこぐときの歌)が起こる華やかな場面になります。そこで「歡樂極兮哀情多」、すなわち「歓楽極まりて哀情多し」とうたわれます。

この一句のすぐあとには、「少壮幾時兮奈老何」と続きます。これは、若く盛んな時はいつまで続くのか、やがて来る老いをどうすることもできない、という意味です。

つまり、この故事成語の悲しみは、ただ楽しいことが終わる寂しさだけではありません。楽しみが頂点に達した瞬間に、時の流れや老い、人生のはかなさを思ってしまう心の動きを表しています。

『秋風辞』は、『文選(もんぜん)』巻四十五、『楽府詩集(がふししゅう)』巻八十四、『古詩源(こしげん)』巻二などに収められ、後の時代にも読み継がれました。『文選』は梁の昭明太子の編で六世紀前半に成立し、『楽府詩集』は北宋の郭茂倩が編んだ楽府の総集です。

この作品は、各句の中に「兮(けい)」を挟む形をもちます。「兮」は語調を整える助字で、『楚辞(そじ)』やその流れをくむ作品に多く用いられます。そのため『秋風辞』は、感情をゆるやかにうたい上げる古い韻文の形をよく伝えています。

日本語では、漢文の「歡樂極兮哀情多」が、「歓楽極まりて哀情多し」という読み下しに近い形で用いられるようになりました。また、「歓楽極まりて哀情生ず」や「楽極まりて哀情多し」という形も、同じ意味を表す言い方として伝わっています。

江戸時代前期の浮世草子『好色破邪顕正』(1687年)には、「歓楽きはまって哀情多し」という形の用例があります。ここでは、恋や遊興の楽しみが深まるほど、その後に悲しみや後悔が生じるという文脈で、この言葉が生きた表現として使われています。

現在では、宴会や遊びの楽しみを戒める場合だけでなく、修学旅行、卒業式、祭りの終わりのように、楽しい時間がきわまったあとで急に寂しさがこみ上げる場面にも用いられます。楽しさと悲しさが切り離せないものとして感じられるとき、この故事成語はその心の動きを静かに言い表します。

「歓楽極まりて哀情多し」の使い方

健太
今日の音楽会、合唱が大成功して、みんなで写真も撮れて最高だったね!
ともこ
うん。でも教室に戻ったら、もうこのメンバーで練習する日はないんだと思って、急に寂しくなったよ。
健太
歓楽極まりて哀情多しって、こういうことなんだね。楽しい気持ちが大きいほど、終わるのが悲しくなるんだ。
ともこ
明日は写真を見ながら、みんなで感想を書こう。寂しいけれど、大切な思い出にしたいね。
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「歓楽極まりて哀情多し」の例文

例文
  • 修学旅行の最後の夜、みんなで笑っているほど別れが近いことを思い、歓楽極まりて哀情多しを感じた。
  • 祭りの太鼓が最高潮に達したあと、灯が一つずつ消えていく様子に、歓楽極まりて哀情多しの思いが残った。
  • 卒業式のあとで友人たちと写真を撮る時間は楽しかったが、歓楽極まりて哀情多しで胸がいっぱいになった。
  • 家族旅行の帰り道、車内に残る笑い声を聞きながら、歓楽極まりて哀情多しという言葉を思い出した。
  • 大きな舞台を終えた俳優たちは、拍手が鳴りやまない中で歓楽極まりて哀情多しの気持ちを抱いた。
  • 長く準備した文化祭が成功した日の夕方、片づいた教室を見て歓楽極まりて哀情多しを実感した。

主な参考文献

・小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005〜2006年。
・円満字二郎編『故事成語を知る辞典』小学館、2018年。
・蕭統編『文選』6世紀前半。
・郭茂倩編『楽府詩集』北宋。
・沈徳潜編『古詩源』1719年。
・逯欽立輯校『先秦漢魏晋南北朝詩』中華書局、1983年。





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