【ことわざ】
水母の行列
【読み方】
くらげのぎょうれつ
【意味】
水母が勝手気ままに泳ぐように、人などがきちんと並ばず、列がばらばらになっていることのたとえ。


【対義語】
・鯒の行列(こちのぎょうれつ)
「水母の行列」の語源・由来
「水母」は「くらげ」と読みます。クラゲは、傘のような部分を縮めて進む力をもっていますが、その力は弱く、水の流れに大きく左右されながら漂います。
そのため、何匹かのクラゲが同じ場所にいても、魚の群れのように向きや間隔をそろえ、一列に進む姿にはなりません。離れたり近づいたりしながら、それぞれが勝手気ままに動いているように見えます。
「行列」は、本来、人や物が順序よく列を作って並ぶことを表す言葉です。その整った印象をもつ「行列」と、まとまりなく漂うクラゲの姿とを組み合わせることで、並んでいるはずなのに少しも整っていない様子を、面白く表したのが「水母の行列」です。
このことわざの古い収録例として、藤井乙男編『諺語大辞典(げんごだいじてん)』(1910年・明治時代末期)があります。同書には「水母ノ行列」という見出しが立てられ、その項目には「不詳」とだけあり、意味や出典についての詳しい説明は添えられていません。
したがって、特定の人物や出来事を語る一つの物語を、このことわざの由来として挙げることはできません。言葉の形から、海中で思い思いに漂うクラゲの姿と、向きや間隔のそろわない人の列とを重ねて生まれた比喩と考えられます。
明治時代の見出しでは、助詞をカタカナにした「水母ノ行列」という表記が用いられています。現在では、助詞をひらがなにした「水母の行列」と書き、「水母」を「くらげ」と読む形が一般的です。
このことわざと対照をなすのが「鯒の行列」です。コチは、何尾も一列または二列になって行儀よく泳ぐといい、勝手気ままな「水母の行列」とは正反対の姿を表します。
この対照からも、「水母の行列」が表す問題は、人の数が多いことではなく、並び方に秩序がないことだと分かります。現在では、きちんと並ぶべき人々が向きや間隔をそろえず、ばらばらになっている様子を、海中のクラゲになぞらえることわざとして使われます。
「水母の行列」の使い方




「水母の行列」の例文
- 入場を待つ人々は水母の行列となり、列の端が通路いっぱいに広がっていた。
- 子どもたちの水母の行列を、引率の先生が二列に並べ直した。
- 避難訓練で水母の行列にならないよう、前の人との間隔をそろえた。
- 開店前の客は水母の行列のように散らばり、最後尾が分かりにくかった。
- 選手たちは水母の行列のまま入場し、係員から整列を促された。
- 家族写真を撮る前に水母の行列になっていた親戚を、祖父が背の順に並べた。
主な参考文献
・小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』全3巻、小学館、2006年。
・二階堂清風編著『釣りと魚のことわざ辞典』東京堂出版、1998年。
・藤井乙男編『諺語大辞典』有朋堂、1910年。























