【慣用句】
簡にして要を得る
【読み方】
かんにしてようをえる
【意味】
短く簡潔でありながら、重要な点をしっかりおさえていること。


【英語】
・concise and to the point.(簡潔で要点をついている)
【類義語】
・簡潔(かんけつ)
・簡明(かんめい)
・要領を得る(ようりょうをえる)
【対義語】
・要領を得ない(ようりょうをえない)
・冗長(じょうちょう)
・冗漫(じょうまん)
「簡にして要を得る」の語源・由来
「簡にして要を得る」の「簡」は、簡単で繁雑でないことを表します。「要を得る」は、重要な点をおさえていることを表し、「にして」は「……であって」という意味をもつ文語的な言い方です。
この表現は、「短いこと」と「要点をおさえていること」を一つに結びつけた言い方です。したがって、単に言葉数が少ないというだけではなく、聞き手や読み手に必要な内容が過不足なく伝わることに重きが置かれます。
古い用例としては、明治38年に発表された角田浩々歌客の「比興詩を論ず」に「賦比興の三義に至りては、〈略〉簡にして要を得たりと認む」とあります。ここでは、詩の表現法を述べる説明が、短くまとまりながら大切な点をよく押さえている、という評価として使われています。
「賦・比・興」は、中国最古の詩集『詩経』に関わる「六義」のうち、表現方法を示す三つの分類です。「比」は他の事物にたとえて思いを表す形式で、「興」はある物事をきっかけとして思いを起こす形式として扱われてきました。
角田浩々歌客は、明治から大正にかけて活動した新聞記者・評論家です。「比興詩を論ず」は、のちに『鴎心録』(1907年・明治40年、角田浩々歌客著)にも収められています。
この用例から分かるように、「簡にして要を得る」は、もともと文章や議論のよさを評する場面で用いられやすい表現です。多くを語らなくても、内容の骨組みがはっきりし、相手に必要なことが伝わる場合にふさわしい言い方です。
一方、「要領を得る」という近い表現には、物事の要点をしっかり理解する、または筋道が立っているという意味があります。「簡にして要を得る」は、この「要点を押さえる」という考えに、「簡」という短く整った形を加えた表現といえます。
また、「簡潔」は「簡略で要領よくまとまっていること」、「簡明」は「簡単ではっきりしていること」を表します。これらの言葉と重なりつつ、「簡にして要を得る」は、短さと的確さの両方を強く表す言い方として使われています。
反対に、話や文章がむだに長く、だらだらしている場合は「冗長」や「冗漫」と表せます。「簡にして要を得る」は、そのような長さやくどさを避け、必要な点をすっきり示すところに価値があります。
現在では、作文、発表、会議での報告、新聞記事、案内文、説明文など、さまざまな場面で使われます。短くても内容が浅いのではなく、短いからこそ大切な点がよく伝わる、という評価を表す慣用句です。
「簡にして要を得る」の使い方




「簡にして要を得る」の例文
- 校長先生の話は短かったが、簡にして要を得る内容で全校生徒によく伝わった。
- 会議の報告書は、簡にして要を得る文章でまとめる必要がある。
- 彼の説明は簡にして要を得るものだったため、初めて聞く人にも分かりやすかった。
- 新聞の見出しは、簡にして要を得る表現で読者の関心を引いた。
- 発表原稿を何度も直し、簡にして要を得る内容に仕上げた。
- 案内文は簡にして要を得るように書くと、読む人が迷わず行動できる。
主な参考文献
・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・松村明監修『デジタル大辞泉』小学館。
・角田浩々歌客『鴎心録』金尾文淵堂、1907年。
・Cambridge University Press, Cambridge Academic Content Dictionary.























