【慣用句】
綺羅星の如く
【読み方】
きらぼしのごとく
【意味】
立派な人や美しい人などが、大勢ずらりと並ぶさまのたとえ。


【英語】
・a galaxy of stars.(著名な人々が華やかに集まった一団)
【類義語】
・多士済々(たしせいせい)
「綺羅星の如く」の語源・由来
「綺羅星の如く」の「綺羅」は、もともと美しい絹織物を表す言葉です。「綺」は模様を織り出した絹布、「羅」は薄い絹布を指し、二つを合わせて、華やかで美しい衣服や、それを身にまとった人を表すようになりました。
日本では、平安時代前期の勅撰漢詩集『文華秀麗集(ぶんかしゅうれいしゅう)』(818年、藤原冬嗣ほか撰)に、「綺羅房」という用例があります。このころには、漢詩文の中で、きらびやかな衣服を表す言葉として「綺羅」が使われていました。
さらに、『和漢朗詠集(わかんろうえいしゅう)』(1018年ごろ・平安時代中期、藤原公任撰)には、「綺羅の三千」という表現が出てきます。ここでは、「綺羅」が美しい衣服だけでなく、華やかに着飾った多くの人々を指す言葉として使われています。
『平家物語(へいけものがたり)』(13世紀に成立、鎌倉時代)には、「世のおぼえ、時のきら、めでたかりき」とあります。この「きら」は、世間から高く評価され、権勢や栄華を誇っていることを表しており、「綺羅」の意味が、衣服の美しさから人の華やかな地位や勢いへと広がっていたことが分かります。
「綺羅星の如く」は、このように、華やかな衣服をまとった立派な人々が大勢並ぶ姿を、夜空に数多く輝く星になぞらえた表現です。成り立ちの上では、人々を表す「綺羅」という言葉と、「星の如く」というたとえが組み合わさっています。
現在の表現に直接つながる古い用例は、1545年ごろの車屋本(くるまやぼん)謡曲『鉢木(はちのき)』にあります。そこには、「のぼり集まるつはもの、きらほしのごとく祗候せり」と記されています。これは、召集に応じて集まった武士たちが、星のように大勢並んで控えているという意味です。
『鉢木』では、貧しい暮らしをしていた佐野源左衛門常世が、雪の夜に訪れた旅の僧をもてなします。常世は、鎌倉に一大事が起こればすぐに駆け付けると語り、後日、諸国の武士が鎌倉へ呼び集められると、やせ馬に乗って参上しました。旅の僧の正体は北条時頼であり、武士たちが大勢集まったこの場面に、「きらほしのごとく」という言い方が現れます。
この古い用例では、「きらほし」と仮名で続けて書かれています。後には、「綺羅星」を一語とする表記が広まり、「きらぼし」という名詞として、夜空に輝く無数の星や、立派な人々が数多く並ぶ様子を表すようになりました。
こうして「綺羅星の如く」は、美しく着飾った人々が星のように並ぶという具体的な光景から、各分野のすぐれた人物や名高い人々が一堂に会する華やかな様子を表す慣用句として定着しました。多くの人が並び集まることが、意味の大切な要素であり、一人の人物の目覚ましい登場を表す言い方ではありません。
「綺羅星の如く」の使い方




「綺羅星の如く」の例文
- 授賞式の壇上には、世界的な映画監督と俳優が綺羅星の如く並んだ。
- 記念演奏会には、名高い指揮者や演奏家が綺羅星の如く集まった。
- その研究会には、各分野を代表する学者が綺羅星の如く顔をそろえた。
- 創立百周年の式典では、歴代の名選手が綺羅星の如く列席した。
- 文学全集の執筆陣には、当代一流の作家が綺羅星の如く名を連ねた。
- 国際会議の開会式には、各国を代表する要人が綺羅星の如く居並んだ。
主な参考文献
・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・松村明監修、小学館大辞泉編集部編『大辞泉 第二版』小学館、2012年。
・集英社辞典編集部編『ルーツでなるほど慣用句辞典』集英社、1991年。
・Cambridge University Press & Assessment『Cambridge Dictionary.』























