【果報は寝て待て】の意味と使い方や例文!語源由来は?(類義語・対義語・英語)

果報は寝て待て

【ことわざ】
果報は寝て待て

【読み方】
かほうはねてまて

【意味】
幸福の訪れは人の力だけではどうにもならないので、焦らずに時機を待てということ。幸運は自然にやって来るものだから、気長に待つのがよいという教え。

ことわざ博士
果報は、もとは前世での行いの結果として現世で受ける報いを指し、のちに幸運や幸福の意味でも使われるようになった言葉なんだよ。
助手ねこ
果報は寝て待ては、何もせずに怠けよという意味ではなく、自分の力で動かせない結果を、焦らず静かに待つ場面で用いるニャン。

【英語】
・Good things come to those who wait.(待つ人にはよいことが訪れる)
・Everything comes to him who waits.(辛抱強く待つ人は、やがて望むものを得る)

【類義語】
・待てば海路の日和あり(まてばかいろのひよりあり)
・待てば甘露の日和あり(まてばかんろのひよりあり)

【対義語】
・善は急げ(ぜんはいそげ)
・思い立ったが吉日(おもいたったがきちじつ)

「果報は寝て待て」の語源・由来

ことわざを深掘り

「果報は寝て待て」は、仏教語の「果報」と、焦らずに時機を待つという生活上の知恵が結びついて生まれた言い方です。「果報」は、原因となる行いがあり、それによって受ける結果や報いを表す言葉です。

もとの「果報」は、よい結果だけを指す言葉ではありませんでした。善い行いには善い結果が、悪い行いには悪い結果が伴うという考え方の中で、善悪どちらの報いも含めて使われていました。

日本語では、しだいに「果報者」のように、運がよく幸せであることを表す用法が広まりました。この変化によって、「果報は寝て待て」の「果報」も、多くは幸運やよい結果の意味で受け止められるようになりました。

「果報」という言葉の古い用例には、『菅家文草(かんけぶんそう)』(900年成立・平安時代前期、菅原道真著)に見えるものがあります。この段階では、仏教的な報いや、人の身にめぐってくる結果という意味合いが強く残っています。

また、『平家物語(へいけものがたり)』(鎌倉時代前半ごろ成立、作者未詳)の灌頂巻にも、「御果報」の用例があります。ここでは、身に受けた高い身分や幸福なめぐり合わせをいう表現として、「果報」がよい報いの意味へ近づいていることが分かります。

ことわざの形としては、『毛吹草(けふきぐさ)』(1638年序・江戸時代前期、松江重頼編)に「果報は寝て待て」が見えます。『毛吹草』は俳諧に関わる文献であり、この時期には、すでに短いことわざとして人々に知られていたことがうかがえます。

「寝て待て」は、文字どおり眠っていればよいという意味ではありません。人の力ではすぐに動かせない幸運や結果を、無理に引き寄せようとして焦るよりも、落ち着いて時機を待つほうがよい、というたとえです。

江戸時代前期の咄本『當世軽口咄揃(とうせいかるくちばなしぞろえ)』(1679年刊)には、「むかしよりの世話にも、果報(クハホウ)は寝(ネ)てまて、天道は人をころさず」という趣旨の用例があります。この用例では、昔からの世間の教えとしてこのことわざが引かれ、困った時でも天の道理を信じて待つ気持ちが表されています。

このように、「果報は寝て待て」は、仏教語そのものを説くための言葉ではなく、日常の中で結果を待つ心構えを言い表すことわざとして定着しました。その背景には、よい結果は人の力だけで無理に動かせるものではない、という考え方があります。

近代にも、このことわざは日常の会話の中で使われました。芥川龍之介『妖婆』(1919年)には、大船に乗った気持ちで待つという言い方とともに「果報は寝て待て」が用いられ、心配しすぎずに結果を待つ場面に合う表現として使われています。

現在の意味は、やるべきことを終えたあと、結果を急かしたり心配しすぎたりせず、時機を待つというところにあります。努力を放り出す言葉ではなく、人の力の及ばない部分を静かに受け止めるためのことわざです。

「果報は寝て待て」の使い方

健太
習字のコンクールに向けて毎日一生懸命練習したから、あとは結果を待つだけだね。
ともこ
本当にがんばっていたものね、きっと大丈夫だよ。
健太
でも、賞が取れるかどうか気になって、夜も全然眠れないんだよ……。
ともこ
果報は寝て待てと言うし、今は体をゆっくり休めて発表の日を待ろうよ!

「果報は寝て待て」の例文

例文
  • 受験の願書を出し終えたので、あとは果報は寝て待ての気持ちで合格発表を待った。
  • 企画書を提出した以上、何度も催促せず、果報は寝て待てと自分に言い聞かせた。
  • 面接で話すべきことは話したのだから、果報は寝て待てと思って結果を待つしかない。
  • 大会前の練習を十分に重ねた選手たちは、抽選結果については果報は寝て待てと考えた。
  • 家族で応募した旅行券の抽選は、果報は寝て待てのつもりで気長に待つことにした。
  • 返事を急がせても相手を困らせるだけなので、果報は寝て待てと考えて静かに待った。

主な参考文献

・小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005〜2006年。
・松村明監修、小学館大辞泉編集部編『大辞泉 第二版』小学館、2012年。
・北村孝一編『ことわざを知る辞典』小学館、2018年。
・松江重頼編『毛吹草』寛永15年序。
・『當世軽口咄揃』延宝7年刊。
・菅原道真『菅家文草』900年。
・『平家物語』鎌倉時代前半ごろ成立。
・芥川龍之介『妖婆』1919年。




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