【ことわざ】
朝雨は女の腕まくり
【読み方】
あさあめはおんなのうでまくり
【意味】
朝の雨はすぐにやむことが多く、見かけほど恐れるに足りないということ。


【英語】
・Morning rain soon clears.(朝の雨はすぐに晴れる)
・A morning shower soon passes.(朝のにわか雨は長続きしない)
・It is not worth worrying about a morning shower.(朝のにわか雨は心配するほどではない)
【類義語】
・朝雨に傘いらず(あさあめにかさいらず)
・朝雨に鞍置け(あさあめにくらおけ)
・朝雨は蓑を脱ぐ(あさあめはみのをぬぐ)
・俄雨と女の腕まくり(にわかあめとおんなのうでまくり)
【対義語】
・朝虹は雨、夕虹は晴れ(あさにじはあめ、ゆうにじははれ)
・朝虹に傘忘るな(あさにじにかさわするな)
・朝焼けは雨、夕焼けは晴れ(あさやけはあめ、ゆうやけははれ)
「朝雨は女の腕まくり」の語源・由来
このことわざは、だれか一人の作者が作った言葉や、はっきりした一つの事件から生まれた故事成語ではありません。空のようすを見て、その日の天気を考えていた人びとの暮らしの中から伝わった、古い天気のことわざです。
まず「朝雨」は、文字どおり朝に降る雨のことです。今のように詳しい天気予報がない時代には、朝の雨がすぐやむのか、それとも一日じゅう続くのかは、外で働く人にも、出かける人にも大事な問題でした。
そのため、昔の人は雲、風、虹、霧などをよく見て、天気の変わり方を言い当てる言葉をたくさん残しました。こうした言い伝えは、天気俚諺とよばれる種類のことわざにあたります。
「朝雨は女の腕まくり」も、その天気俚諺の一つです。朝の雨は、地域や季節にもよりますが、とくに海に近い土地では、晩春から初秋にかけて、まもなく上がることがあるとされ、この言い方が伝わってきました。
この考え方に近いことわざとして、「朝雨に傘いらず」「朝雨は蓑を脱ぐ」「朝雨蓑いらず」などがあります。どれも、朝の雨は長引きにくいという経験をもとにした言い方です。
では、なぜ「女の腕まくり」が続くのでしょうか。ここでの「腕まくり」は、仕事に取りかかるしぐさというより、いかにも勢いよく出ようとする身ぶりをたとえたものと考えるのが自然です。
昔のこのことわざでは、女の腕まくりを、見かけは強そうでも長続きせず、あまりこわくないもののたとえにしています。今読むと、女性を弱いものとしてとらえる、古い時代のものの見方が表れていると言えるでしょう。
大事なのは、このことわざのいちばん伝えたいところが、「朝の雨は大降りに見えても、意外に早くおさまる」という点にあることです。後半のたとえは、その感じを強く言うために添えられたものです。
このことわざには、似た形も伝わっています。たとえば「俄雨と女の腕まくり」や「女の腕まくりと朝雨には驚くな」のような言い方があり、どれも、見かけほど重大ではないという意味を共有しています。
一方で、このことわざについては、中国古典や日本の有名な古典作品の一節に、だれの言葉として出てくるかたちでは伝わっていません。そのため、はじめの一例を一つに決めるより、生活の知恵として口伝えに広がった言い方とみるほうが無理のない理解です。
その後も、この言い方は、各地の天気の言い伝えやことわざ集の中で受け継がれました。朝の雨をどう受け止めるかを短く言い切る言葉として、同じ仲間のことわざと並んで伝えられてきたのです。
つまり「朝雨は女の腕まくり」は、朝の雨は長引かず、見かけほど気にしなくてよいという経験を、少しきついたとえで言い表したことわざです。今では後半のたとえに古さを感じやすいため、意味を理解するときは、まず「朝の雨は意外に早く上がることがある」という部分をしっかり押さえると分かりやすいです。
「朝雨は女の腕まくり」の使い方




「朝雨は女の腕まくり」の例文
- 遠足の朝に小雨が降ったが、先生は朝雨は女の腕まくりだと言って、出発時刻を少しずらしただけだった。
- 祖母は朝の庭先を見て、朝雨は女の腕まくりだから昼前には洗濯物を干せるだろうと言った。
- 運動会の朝の通り雨を見て、父は朝雨は女の腕まくりだと話し、会場へ向かう支度を続けた。
- 駅へ向かう途中で降られたが、兄は朝雨は女の腕まくりだから傘を急いで買うほどではないと言った。
- 現場へ出る前の弱い雨に、先輩は朝雨は女の腕まくりだとして作業開始の準備を進めた。
- 相手の強い口調を聞いても、祖父は朝雨は女の腕まくりというようなものだと受け流した。























