【ことわざ】
朝露が降りると晴れ
【読み方】
あさつゆがおりるとはれ
【意味】
朝、草や葉に露が降りている日は、その日が晴れることが多いという天気の経験則。


【英語】
・Morning dew means fair weather.(朝露は晴天のしるし)
・Dew in the morning is a sign of a fine day.(朝の露はよい天気の前ぶれ)
【類義語】
・夜露が多ければ晴れ(よつゆがおおければはれ)
・蜘蛛の巣に朝露がかかると晴れ(くものすにあさつゆがかかるとはれ)
・朝霧は晴れ(あさぎりははれ)
【対義語】
・朝焼けは雨(あさやけはあめ)
・朝虹は雨(あさにじはあめ)
・富士山が笠をかぶれば雨(ふじさんがかさをかぶればあめ)
「朝露が降りると晴れ」の語源・由来
「朝露が降りると晴れ」は、特定の一つの物語や人物から生まれた言葉ではなく、朝の草木に付いた露を見て、その日の天気を読んできた生活上の経験から生まれたことわざです。朝露は、夜から明け方にかけて草の葉や地面近くの物に水滴が付く現象を指します。
露は、空気中の水蒸気が冷やされ、草や葉などの表面で小さな水滴になったものです。とくに晴れて風の弱い夜は、地面の熱が空へ逃げ、地面近くの空気が冷えやすくなります。これが放射冷却と呼ばれる現象です。
夜の空に雲が少ないと、地面の熱は雲にさえぎられずに空へ出ていきます。風が弱いと、冷えた空気がまわりの空気と混ざりにくく、地面の近くに冷たい空気が残ります。そのため、草や葉の表面に露が生じやすくなります。
このような状態は、高気圧におおわれて天気が安定しているときに起こりやすいものです。高気圧のもとでは、夜によく冷えて朝露が見られ、日中も晴れが続くことが多くあります。そこから、朝露を晴天のしるしと見る考え方が生まれました。
「降りる」という言い方は、雨のように空から落ちてくるというより、草木の上に露が付いて現れる様子を、昔の人が自然に言い表したものです。「霜が降りる」と同じように、地面や草の表面に白く見えるものが現れることを、身近な感覚で「降りる」と表したのです。
露そのものは、日本の古い文学にも早くから出てきます。『万葉集』(8世紀後半成立、奈良時代)では、草に置く露や消えやすい露が、人の思い、命のはかなさ、朝夕の景色を表す言葉として多く詠まれています。ただし、そこでは主に美しさやはかなさを表し、天気を予想する言葉として固定されたものではありません。
平安時代以降の和歌や物語でも、露は秋の朝や草葉の景色を表す代表的な言葉として使われました。やがて俳諧や歳時記の世界でも、露は秋を感じさせる大切な季節の言葉として受け継がれました。
一方で、「朝露が降りると晴れ」は、文学的な比喩としての露よりも、農作業や旅、漁、山歩きなど、暮らしの中で天気を読む知恵に近いことわざです。天気予報が今ほど身近でなかった時代、人々は空の色、雲の形、風、霧、露、動物の動きなどを細かく見て、これからの天気を考えていました。
同じ考え方をもつ言い伝えには、「夜露が多ければ晴れ」や「蜘蛛の巣に朝露がかかると晴れ」などがあります。どれも、夜のあいだに空が晴れて冷え込み、朝に露が付くという共通したしくみをもとにしています。
このことわざは、必ず晴れると断定するものではありません。地形、季節、前線、台風、海からの湿った風などによって、その後の天気が変わることもあります。それでも、朝露が見られる朝には、前の夜から明け方にかけて晴れて風が弱かったことが多いため、晴天を予想する目安として長く用いられてきました。
現在の意味は、自然の小さな変化から天気を読むという経験に結びついています。草の葉の水滴をただ美しいものとして見るだけでなく、「夜が晴れて静かだったから、今日は晴れやすい」と考えるところに、このことわざの意味の中心があります。
「朝露が降りると晴れ」の使い方




「朝露が降りると晴れ」の例文
- 朝露が降りると晴れというので、祖父は草の露を見て畑仕事の予定を立てた。
- 遠足の朝、校庭の芝生が朝露で光っていたため、先生は朝露が降りると晴れを思い出した。
- 朝露が降りると晴れという言い伝えどおり、その日は昼前から雲が消えてよく晴れた。
- 母はベランダの手すりに付いた露を見て、朝露が降りると晴れだから洗濯物を外に干そうと言った。
- 山小屋の前の草に露がびっしり付いていて、案内人は朝露が降りると晴れを目安に出発時刻を決めた。
- 朝露が降りると晴れは、身近な自然をよく観察して天気を考える昔からの知恵である。























