【ことわざ】
悪しき人に順って避けざれば、繋げる犬の柱を廻るが如し
【読み方】
あしきひとにしたがってさけざれば、つなげるいぬのはしらをめぐるがごとし
【意味】
悪い人に従って離れなければ、悪い行いの結果が自分自身に降りかかるというたとえ。


【英語】
・Bad company corrupts good morals.(悪い仲間はよい品行を損なう)
・He that lies down with dogs, shall rise up with fleas.(犬と寝れば、のみを付けて起きる)
【類義語】
・悪事身にとまる(あくじみにとまる)
・善悪は友による(ぜんあくはともによる)
・朱に交われば赤くなる(しゅにまじわればあかくなる)
【対義語】
・麻に連るる蓬(あさにつるるよもぎ)
「悪しき人に順って避けざれば、繋げる犬の柱を廻るが如し」の語源・由来
このことわざは、犬の身近な行動をもとに、人間の交友や行いを戒める日本のことわざです。犬の「ぐるぐる回る」動きに着目した言葉の一つとして扱われ、悪い人から離れないことが自分の不運につながる、という教訓を表しています。
「悪しき人に順って避けざれば」とは、悪い人に従い、その人から離れようとしないなら、という意味です。ここで大切なのは、ただ悪い人を知っているということではなく、悪い行いに合わせて動き、自分で距離を取らない点にあります。
後半の「繋げる犬の柱を廻るが如し」は、柱につながれた犬が、同じ柱のまわりを回り続ける様子を表しています。犬は自由になろうとして動いているようでも、回れば回るほど縄が柱にからまり、かえって自分の首を苦しくしてしまいます。
このたとえは、悪い仲間に従う人の姿とよく重なります。自分ではその場に合わせているつもりでも、悪事に近づくほど責任や評判の傷が増え、最後には自分自身が逃げにくい立場へ追い込まれてしまいます。
近い形として、「繋ぐ犬の柱をめぐる如し」という短い言い方もあります。こちらも、柱につながれた犬がぐるぐる回るうちに自分の首を締めるように、よくないことが身に降りかかるという意味を表しています。
犬が柱のまわりを回る姿は、不自由、不運、報われなさを表すものとして説明されます。そこへ「悪しき人に順う」という前半が付くことで、単なる不運ではなく、悪い人に従うことへの強い戒めとして意味がはっきりします。
日本のことわざでは、犬はさまざまな特徴や行動を通して、人間の姿を映すたとえに用いられてきました。吠える、食べる、歩く、回るといった犬の行動が、人の性格、失敗、困りごと、世渡りの教訓に結びつけられています。
このことわざも、特定の人物が出てくる中国古典の故事ではなく、犬の行動を見立てた教訓として受け止めるのが自然です。身近な動物の姿を通して、悪い誘いに従い続ける危うさを、子どもにも大人にも分かりやすく伝えています。
「順って」という言い方には、ただ一緒にいるだけでなく、相手のすることに合わせて進む感じがあります。そのため、このことわざは、友人の不正、仲間内のいじめ、軽い気持ちでのルール違反など、周囲に流されると自分まで傷つく場面に合います。
結局、このことわざが教えているのは、悪い人や悪い行いから早く離れる大切さです。柱のまわりを回る犬のように、自分で自分を苦しくする前に、よくない誘いを断ち切り、正しい道へ戻ることを促す言葉です。
「悪しき人に順って避けざれば、繋げる犬の柱を廻るが如し」の使い方




「悪しき人に順って避けざれば、繋げる犬の柱を廻るが如し」の例文
- 不正な点数操作を頼まれた社員は、悪しき人に順って避けざれば、繋げる犬の柱を廻るが如しと考え、上司の命令でも断った。
- 友人に誘われて無断で校庭の倉庫に入れば、悪しき人に順って避けざれば、繋げる犬の柱を廻るが如しとなる。
- 悪口を書き込む仲間から離れなければ、悪しき人に順って避けざれば、繋げる犬の柱を廻るが如しで、自分の信用まで失う。
- 兄は、危ない運転をする友人の車に乗り続けるのは悪しき人に順って避けざれば、繋げる犬の柱を廻るが如しだと弟に注意した。
- 帳簿をごまかす相談に加わった時点で、悪しき人に順って避けざれば、繋げる犬の柱を廻るが如しの結果を招く。
- 地域の行事で集めたお金を勝手に使う人に従えば、悪しき人に順って避けざれば、繋げる犬の柱を廻るが如しで、自分も責任を問われる。
主な参考文献
・北村孝一編『故事俗信ことわざ大辞典 第二版』小学館、2012年。
・馬場俊臣「『犬』に関することわざ(2)――『犬』をどう捉えてきたか――」『札幌国語研究』第25号、北海道教育大学国語国文学会・札幌、2020年。
・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・北村孝一編『ことわざを知る辞典』小学館、2018年。
・Benjamin Franklin『Poor Richard’s Almanack』1732〜1758年。
・『新約聖書 コリントの信徒への手紙一』。























