『〈試験に出る〉マンガでわかる すごいことわざ図鑑』講談社より出版。詳細はコチラ!

【居候置いて合わず居て合わず】の意味と使い方や例文!語源由来は?(類義語・対義語・英語)

居候置いて合わず居て合わず

【ことわざ】
居候置いて合わず居て合わず

【読み方】
いそうろうおいてあわずいてあわず

【意味】
他人の家に世話になっている居候は、置く側にも居る側にも物心両面の苦労があり、どちらにとっても割に合わないということ。

ことわざ博士
「居候置いて合わず居て合わず」は、世話をする人だけでなく、世話になる人にも気づまりや不満が生じやすいことをいうことわざなんだよ。
助手ねこ
親切で一時的に同居を受け入れても、生活費、気づかい、家の中の遠慮などが重なり、双方に負担が出る場面で用いるニャン。

【英語】
・fish and guests smell after three days(客も魚も三日たつとにおう、長居は迷惑になりやすい)

【類義語】
・居候は居ても損置いても損(いそうろうはいてもそんおいてもそん)
・居候三杯目にはそっと出し(いそうろうさんばいめにはそっとだし)

【対義語】
・持ちつ持たれつ(もちつもたれつ)

【スポンサーリンク】

「居候置いて合わず居て合わず」の語源・由来

ことわざを深掘り

「居候置いて合わず居て合わず」は、中国古典の故事に由来する言葉ではなく、日本の暮らしをもとにしたことわざです。「居候」は、他人の家に世話になって食べさせてもらうこと、また、その人を指します。

「居候」という言葉は、近世の公文書で、同居人を示す肩書として使われたことに始まります。享保20年(1735年・江戸時代中期)の『徳川禁令考(とくがわきんれいこう)』後集には、「右仁右衛門方に居候 善次郎」という形が出てきます。

この段階の「居候」は、まず「その家に同居している人」を示す実務的な言い方でした。そこから、他人の家に身を寄せて養ってもらう人、食客(しょっかく)や厄介(やっかい)になっている人を指す意味へと移っていきました。

安永4年(1775年・江戸時代中期)の『川柳評万句合(せんりゅうひょうまんくあわせ)』には、「かんしんが所にも壱人居候」という用例が出てきます。このころには、単なる同居人ではなく、他人の家に身を置いて世話になる人という意味が、川柳や雑俳(ざっぱい)の世界にも広がっていました。

このことわざの「合わず」は、互いに気が合わないという意味だけではありません。費やしたものと得られるものとがつり合わない、つまり割に合わないという意味を含んでいます。

「置いて合わず」は、居候を置く家の側の苦労を表します。食費や部屋の都合だけでなく、家族の気づかい、生活の乱れ、頼まれごとの増加などが重なり、善意で受け入れても負担が残りやすい、という見方です。

「居て合わず」は、居候する側の苦労を表します。世話になっている身では、食事や言葉づかい、家の中でのふるまいに遠慮が生まれ、自分の家のように気楽には過ごしにくくなります。

この言葉のもとには、川柳「居候置いてもあはず居てあはず」があります。「置くほうも合わない、居るほうも合わない」と、同じ言い回しを重ねることで、どちらの立場にも苦労があることを、短く調子よく表しています。

江戸時代の川柳では、「居候」は滑稽な題材として好まれました。川柳の世界では、安永6年ごろから「居候」のような類型的な題材が定着し、居候の気まずさ、ずうずうしさ、肩身の狭さが、短い句の中でしばしば扱われました。

『誹風柳多留(はいふうやなぎだる)』は、1765年に初編が刊行され、江戸時代中期から後期にかけて広まった川柳句集です。川柳は、庶民の暮らしや人情を短い言葉でとらえる文芸であり、居候のような家の中の人間関係を描くのに適していました。

同じく居候を扱うことわざには、「居候三杯目にはそっと出し」もあります。こちらは、居候が食事の三杯目を遠慮がちに出す様子から、世話になる人の肩身の狭さを表します。

それに対して、「居候置いて合わず居て合わず」は、居候する人だけでなく、置く人にも目を向けます。片方だけを責めるのではなく、同居が長くなると、助ける側にも助けられる側にも苦労が生じるという、人間関係の現実を言い当てたことわざです。

現在では、実際の居候だけでなく、職場や親族の間で、一方が好意で受け入れた関係が長引き、双方に不満や負担が生じる場面にも使えます。ただし、相手への感謝を忘れた人を強く責めるというより、同居や援助には節度が必要であることを示す、落ち着いた教訓として用いるのが自然です。

「居候置いて合わず居て合わず」の使い方

健太
いとこのお兄さんが、部屋を探すまでうちに泊まっているんだ。最初は楽しかったけれど、夜遅くまで電気がついていて、ぼくも母さんも少し疲れてきたよ。
ともこ
それは、居候置いて合わず居て合わずかもしれないね。お兄さんも、きっと自分の家ではないから気をつかっていると思うよ。
健太
うん。お兄さんも、朝ごはんを食べるか聞かれるたびに遠慮して、かえって気まずそうなんだ。
ともこ
早めに部屋探しの予定を決めて、家での約束も話し合うといいね!
【スポンサーリンク】

「居候置いて合わず居て合わず」の例文

例文
  • 叔父の家に長く泊まった兄は、食事にも洗濯にも気をつかい、まさに居候置いて合わず居て合わずの状態になった。
  • 親戚をしばらく家に置いたが、生活費や時間のずれで不満が出て、居候置いて合わず居て合わずを実感した。
  • 友人を善意で泊め続けるなら、居候置いて合わず居て合わずにならないよう、期限と役割を先に決めておくべきだ。
  • 世話になる側も遠慮し、世話する側も疲れきって、居候置いて合わず居て合わずという言葉どおりの暮らしになった。
  • 転職先が決まるまで同僚の家にいた彼は、居候置いて合わず居て合わずと思い、早く自立することを決めた。
  • 居候置いて合わず居て合わずというように、親しい間柄でも長い同居には感謝とけじめが必要だ。

主な参考文献
・佐竹秀雄・武田勝昭・伊藤高雄編、北村孝一監修『故事俗信ことわざ大辞典 第二版』小学館、2012年。
・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・北村孝一編『ことわざを知る辞典』小学館、2018年。
・呉陵軒可有編『誹風柳多留』1765〜1840年。





『〈試験に出る〉マンガでわかる すごいことわざ図鑑』(講談社)発売中♪

マンガでわかる ことわざ図鑑

◆試験に出ることわざを網羅
ことわざは小学、中学、高校、大学、さらに就職試験の問題になっています。ことわざの試験対策としてもオススメの一冊。

◆マンガで楽しみながらことわざを知る! 憶える!
本書では、マンガで楽しくわかりやすくことわざを解説し、記憶に定着させます。