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【右次左次物言わず】の意味と使い方や例文!語源由来は?

右次左次物言わず

【ことわざ】
右次左次物言わず

【読み方】
うじさじものいわず

【意味】
甲とも乙とも言わず、あれこれ文句を言わないこと。転じて、まったく口をきかないこと。

ことわざ博士
「右次左次」は、「あれやこれや」という意味を表す古い言い方だよ。
助手ねこ
意見や不満を口に出さず黙っている人や、何を尋ねても返事をしない人について用いるニャン。
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「右次左次物言わず」の語源・由来

ことわざを深掘り

「右次左次物言わず」は、「あれやこれや」を意味する「うじさじ」と、言葉を発しないことを表す「物言わず」とが結びついたことわざです。もとは、あれともこれとも言わないことから、文句や異議を口にしないことを表しました。

「うじさじ」には、「右事左事」と「右次左次」という二つの表記があります。「右」を「う」、「左」を「さ」と読み、右と左を並べることで、こちらのこと、あちらのこと、すなわち「あれやこれや」を表す言い方になっています。

このことわざの古い用例は、経尊が著した語源辞書『名語記(みょうごき)』(1275年完成、鎌倉時代中期)巻九に出てきます。『名語記』は、当時の日常語の由来を問答の形で解き明かそうとした十帖の書物で、1268年から1275年にかけて段階的にまとめられました。

そこには、「うじさじ物もいはず」という言い方について、その意味や成り立ちを問う記述があります。この形は現在の「右次左次物言わず」とほぼ同じであり、十三世紀には、すでに一まとまりの表現として使われていたことが分かります。

『名語記』では、「右じ、左じ」という言葉ではないかと考え、「みぎせり、ひだりせりの心歟」と述べています。右にした、左にしたという意味ではないかと推し量り、右と左のどちらとも決めない状態に結びつけようとした説明です。

ただし、『名語記』は中世の語源解釈を伝える書物であり、その語源説には、実際の言葉の歴史とは合わないものも少なくありません。そのため、この説明を確定した語源とするのではなく、鎌倉時代の人が、すでに「うじさじ」の成り立ちを考えていた記録として受け取る必要があります。

それでも、『名語記』の記述は、このことわざが鎌倉時代の日常語に根をもつことを示す重要な用例です。書物の中で新しく作られた表現ではなく、当時すでに人々の間で使われ、由来を尋ねられるほど定着していた言い方だったと考えられます。

さらに、惟高妙安が講述した『玉塵抄(ぎょくじんしょう)』(1563年・室町時代後期)巻九には、「吾は右事左事しらいで」という用例が出てきます。ここでは「右事左事」が、ことわざ全体ではなく、「あれやこれや」という意味の副詞として、単独で使われています。

『玉塵抄』は、漢籍『韻府群玉(いんぷぐんぎょく)』の講義を記した五十五巻の書物です。当時の話し言葉を豊かに含んでいるため、この用例から、十六世紀にも「うじさじ」が日常的な言葉として使われていたことが分かります。

こうして、「うじさじ」は「あれやこれや」という意味を保ちながら、「物言わず」と結びつきました。「あれともこれとも言わない」ことから、「不平や注文を言わない」という意味になり、さらに意味が強まって、「まったく何も言わない」ことまで表すようになりました。

現在では、右や左へ動くという意味ではなく、何についても口を挟まず、黙っている様子を表します。中世の副詞「うじさじ」が、古いことわざの中にそのまま残った、言葉の歴史を伝える表現です。

「右次左次物言わず」の使い方

健太
来週のクラスのお楽しみ会でやる劇の配役が決まったけれど、僕の役はセリフが一つしかない裏方の係なんだ。
ともこ
主役になりたかった気持ちは分かるけれど、健太くんは右次左次物言わず、すぐに道具作りの引き継ぎを始めていて偉いと思ったよ。
健太
不満を言っても始まらないし、みんなで決めたことだから、劇を成功させるために自分の仕事を精一杯やろうと決めたんだ!
ともこ
その前向きな姿を見て、みんなのやる気もさらに高まっているから、きっと素晴らしいお楽しみ会になるね。
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「右次左次物言わず」の例文

例文
  • 急な役目を頼まれても、彼は右次左次物言わず引き受けた。
  • 事情を尋ねられても、少年は右次左次物言わず、ただうつむいていた。
  • 会議で賛否を問われた委員は右次左次物言わず、最後まで態度を明らかにしなかった。
  • 家族が何度声をかけても、祖父は右次左次物言わず、窓の外を眺めていた。
  • 選手たちは厳しい練習にも右次左次物言わず、監督の指示に従った。
  • 理由を問いただされた男は右次左次物言わず、固く口を閉ざした。

主な参考文献
・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・佐竹秀雄・武田勝昭・伊藤高雄編、北村孝一監修『故事俗信ことわざ大辞典 第二版』小学館、2012年。
・経尊『名語記』1275年。
・惟高妙安講述『玉塵抄』1563年。





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