【ことわざ】
旨い物は小人数
【読み方】
うまいものはこにんずう
【意味】
おいしいものは少ない人数で食べるほうが、一人分の取り分が多くてよいということ。また、儲け話も少ない人数で行うほうが、分け前が多くなるというたとえ。


【英語】
・The more reapers, the less to reap(刈る人が多いほど、一人の取り分は少なくなる)
【類義語】
・旨い物は一人で食え、まずい物は大勢で食え(うまいものはひとりでくえ、まずいものはおおぜいでくえ)
・旨い物は小勢で食え、仕事は大勢でせよ(うまいものはこぜいでくえ、しごとはおおぜいでせよ)
・仕事は多勢旨い物は小勢(しごとはたぜいうまいものはこぜい)
「旨い物は小人数」の語源・由来
「旨い物は小人数」は、食べ物を分けるときのごく分かりやすい経験から生まれたことわざです。ごちそうの量が同じなら、食べる人数が少ないほど、一人が食べられる分は多くなります。
ここでいう「旨い物」は、まず味のよい食べ物を指します。「旨い」は「食物などの味がよい」という意味を持ち、「おいしい」と近い意味で使われる言葉です。
一方で、「旨い」には、物事が自分の望むとおりに運ぶ、都合がよい、好ましいという意味もあります。そのため、「旨い物」は食べ物だけでなく、利益の出そうな話や、得になりそうな機会にも意味を広げやすい言い方です。
「小人数」は、わずかな人数、人数が少ないことを表します。ことわざの形では、「小人数」という言葉が、単に人数の少なさではなく、一人あたりの取り分が多くなる条件を示しています。
このことわざのもとにある考えは、少ない人数で食べたほうが多く食べられる、という素朴なものです。そこから、儲け話や利益の出る仕事も、関わる人数が少ないほうが分け前が多くなる、という意味へ広がりました。
同じ発想をもつ言い方に、「旨い物は小勢で食え、仕事は大勢でせよ」があります。「小勢」は少ない人数を表し、食べ物や利益は少人数のほうが取り分が多い一方、仕事は人数が多いほうが能率よく進む、という対比を含んでいます。
「仕事は多勢旨い物は小勢」という形も、よく似た考えを表します。仕事は多くの人で分担すると進みやすく、うまいものは少ない人数で分けると一人分が多くなる、という、人数と取り分の関係を簡潔に言い表しています。
このことわざは、必ずしも独り占めをすすめる言葉ではありません。むしろ、限られたものを分けるときには、人数が増えるほど一人分が少なくなるという現実を、短く言い表した生活の知恵です。
また、儲け話に用いる場合は、人数が多いほど分け前が減るという意味が強くなります。そのため、利益や分配を考える場面では、「大勢で関われば安心」という面だけでなく、「一人分の取り分は減る」という面にも目を向ける言葉になります。
現在の用法では、食べ物の分け前をいう場合にも、仕事や商売の利益をいう場合にも使われます。いずれの場合も、よいものや得になるものは、人数が少ないほど一人あたりの分が大きくなる、という考えが中心にあります。
「旨い物は小人数」の使い方




「旨い物は小人数」の例文
- 祖母の作った栗きんとんは数が少なかったので、旨い物は小人数で家族だけで味わった。
- 利益の出る企画に関わる人を増やしすぎると分け前が減るため、旨い物は小人数という考えが当てはまる。
- 珍しい果物を少しだけ手に入れた父は、旨い物は小人数だと言って、家族で少しずつ分けた。
- 共同で始める商売は仲間が多いほど安心だが、取り分を考えると旨い物は小人数でもある。
- 限定品の菓子を大勢に配ると味わうほど残らず、旨い物は小人数という言葉を思い出した。
- 旨い物は小人数とはいうものの、楽しさを分かち合うために親しい友人だけを招いた。
主な参考文献
・佐竹秀雄・武田勝昭・伊藤高雄編、北村孝一監修『故事俗信ことわざ大辞典 第二版』小学館、2012年。
・現代言語研究会著『故事ことわざの辞典』あすとろ出版、2007年。
・松村明監修、小学館大辞泉編集部編『大辞泉 第二版』小学館、2012年。























