【ことわざ】
雉を食えば三年の古傷も出る
【読み方】
きじをくえばさんねんのふるきずもでる
【意味】
雉の肉は精が強く、食べると三年前の古い傷まで膿むほどだという、雉肉の滋養の強さを大げさに表す言葉。


【類義語】
・鱒は三年の古傷を呼び出す(ますはさんねんのふるきずをよびだす)
「雉を食えば三年の古傷も出る」の語源・由来
「雉を食えば三年の古傷も出る」は、雉(きじ)の肉を食べると、三年前の古い傷まで膿を持つほど作用が強い、という言い方から成り立つことわざです。雉肉の力をそのまま医学的に述べるのではなく、精の強さを印象づけるための誇張表現として受け取る必要があります。
雉は、日本では古くから「キギス」「キギシ」とも呼ばれ、食肉として珍重され、婚礼の祝いにも用いられました。美しい羽や鋭い鳴き声でも人々の注意を集め、鳥としてだけでなく、食べ物や俗信、ことわざの中にもたびたび現れます。
雉は本州・四国・九州などにすみ、雄は尾が長く、地上で暮らす鳥です。桃太郎の家来として知られるなど、日本人に身近な鳥であったことも、雉をめぐる言い方が多く生まれた背景にあります。
このことわざの「古傷」は、もとは以前にけがをした傷あとを指します。また「古傷」には、以前に犯した過失や、思い出したくない記憶という意味もあります。
「古傷も出る」という言い方からは、まず古い傷がまた膿む、痛む、表に現れるという身体の状態が思い浮かびます。そこから、昔の問題や失敗が再び表に出るという比喩にもつながりやすい表現です。
「精」は、心身の力、元気、精力を表す言葉です。そのため「精が付く」は、体に力がつく、元気が出るという意味合いで用いられます。
このことわざでは、雉肉を「精が付く」食べ物と考え、その力があまりに強いため、治ったはずの古傷まで反応する、と言い表しています。「三年」は、時間がかなりたっていることを示し、古い傷にまで及ぶほど強いという誇張を助けています。
ただし、ここでいう「脂肪分が多い」「古傷が膿む」という説明は、ことわざの世界での言い方です。現在の成分値そのものを説明する言葉ではなく、昔の人が雉肉を強い食べ物として受け取った見方を表しています。
同じ発想をもつ言い方に、「鱒は三年の古傷を呼び出す」があります。これは、鱒(ます)を食べると昔の古傷が痛み出すという意味で、鱒の精の強さをいうことわざです。
雉と鱒という食べ物は違っても、「三年の古傷」という強い言い方は共通しています。食べ物の滋養を、古い傷まで動かすほどだと大げさに表すところに、この種のことわざの面白さがあります。
現在このことわざを使うときは、雉肉の効能を断定する言葉としてではなく、雉肉が非常に力のある食べ物だと考えられていたことを示す言い方として用いるのが穏当です。食文化や昔の言い伝えを説明する場面で使うと、意味が自然に伝わります。
「雉を食えば三年の古傷も出る」の使い方




「雉を食えば三年の古傷も出る」の例文
- 祖父は雉鍋の話になると、雉を食えば三年の古傷も出るほど精がつくと言った。
- 昔の食べ物の言い伝えを調べ、雉を食えば三年の古傷も出るということわざを知った。
- 山里の食文化を紹介する文章で、雉を食えば三年の古傷も出るという言い方が取り上げられていた。
- その土地では、雉を食えば三年の古傷も出るといって、雉肉を力の強い食べ物として語った。
- 雉を食えば三年の古傷も出るとは、古い傷まで反応するほどだという誇張を含む言葉だ。
- 料理の由来を学ぶ授業で、雉を食えば三年の古傷も出るという昔の言い方に注目した。
主な参考文献
・佐竹秀雄・武田勝昭・伊藤高雄編、北村孝一監修『故事俗信ことわざ大辞典 第二版』小学館、2012年。
・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・松村明監修『大辞泉 第二版』小学館、2012年。
・平凡社編『世界大百科事典』平凡社。
・文部科学省『日本食品標準成分表(八訂)増補2023年』2023年。























