【ことわざ】
大遣いより小遣い
【読み方】
おおづかいよりこづかい
【意味】
一度にまとまって出る大きな費用よりも、日常の細かな支出のほうが、積み重なるとかえって大きな金額になりやすいということ。


【英語】
・Many a little makes a mickle(小さなものも数多く積み重なれば大きなものになる)
【類義語】
・出遣いより小遣い(でづかいよりこづかい)
・塵も積もれば山となる(ちりもつもればやまとなる)
「大遣いより小遣い」の語源・由来
「大遣いより小遣い」は、「大遣い」と「小遣い」を対照させた表現です。「大遣い」は、大きな買い物などによって、一度にまとまった金額を支払うことを指します。一方の「小遣い」は、このことわざでは、子どもなどが自由に使うためにもらう金銭ではなく、日常の細かな買い物や支払いに使う金銭を表します。
大きな買い物をするときには、あらかじめ金額を調べたり、本当に必要かどうかを考えたりするため、支出の大きさを意識しやすいものです。しかし、一回ごとの金額が小さい支払いは、気軽に繰り返しやすく、合計額を意識しないまま増えていくことがあります。このような暮らしの中での経験を、「大きな支出よりも小さな支出に注意せよ」という教えにまとめたのが、このことわざです。
「小遣い」は、もとは「小遣い銭」を短くした言葉です。生活の中心となる費用とは別に、日常の細かな買い物や雑費に充てる金銭を意味します。そのため、このことわざの「小遣い」も、現在よくいう「毎月もらうお小遣い」だけに限らず、少額ずつ出ていくさまざまな費用を広く指しています。
「小遣」という言葉の古い用例は、『高野山文書(こうやさんもんじょ)』の「諸寺諸社造営目録」(1607年・江戸時代初期)にあります。正月の年玉や職人への祝儀などの費用を並べた中に、「又万小遣」と記されています。ここでの「小遣」は、寺社の造営に伴って生じる、こまごまとした支出を表しています。
明治時代後期の小説『吾輩は猫である』(1905〜1906年、夏目漱石著)にも、「歯を填める小遣がない」という用例が出てきます。歯の治療にかかる費用を「小遣」と呼んでおり、日常生活の中で必要となる細かな出費という意味が、近代にも受け継がれていたことが分かります。
このことわざには、「出遣いより小遣い」という形もあります。「出遣い」は、まとまった買い物などによって一度に出ていく多額の費用を指し、「小遣い」は、日々少しずつ出ていく費用を指します。「大遣いより小遣い」と表現は異なりますが、細かな支出を合計すると、目立つ大きな出費よりもかさむことがあるという教えは同じです。
また、「塵も積もれば山となる」も、小さなものが積み重なれば大きなものになることを表します。ただし、「塵も積もれば山となる」は、努力や成果などにも広く使えるのに対し、「大遣いより小遣い」は、主に細かな出費が積み重なることへの注意を表すところに特徴があります。
一回百円ほどの買い物でも、毎日続けば、一か月で数千円になります。大きな支出ばかりを警戒し、日々の細かな支出を見過ごしていると、知らないうちに家計を圧迫しかねません。「大遣いより小遣い」は、金額の小ささだけで判断せず、回数や合計にも目を向けることの大切さを教えることわざです。
「大遣いより小遣い」の使い方




「大遣いより小遣い」の例文
- 大遣いより小遣いというから、毎日の飲み物代も家計簿に記録したほうがよい。
- 旅行代よりも現地での細かな買い物がかさみ、大遣いより小遣いを実感した。
- 母は大遣いより小遣いを戒めとして、少額の支払いも忘れずに帳簿へ記している。
- 会社の経費を調べると、日々の備品代が予想以上に多く、大遣いより小遣いという結果になった。
- 大遣いより小遣いを意識し、毎朝買っていた飲み物を家から持っていくことにした。
- 祭りの準備では、飾りや文房具の細かな代金が積み重なり、大遣いより小遣いとなった。
主な参考文献
・松村明監修『大辞泉 第二版』小学館、2012年。
・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・Jennifer Speake編『The Oxford Dictionary of Proverbs 第6版』Oxford University Press、2015年。
・『高野山文書』「諸寺諸社造営目録」1607年。
・夏目漱石『吾輩は猫である』1905〜1906年。























