【ことわざ】
愛は小出しにせよ
【読み方】
あいはこだしにせよ
【意味】
人を愛するには、一時に激しい思いを注ぐのではなく、少しずつ長く愛情を続けるのがよいということ。


【英語】
・Love me little, love me long.(少し愛して、長く愛して)
「愛は小出しにせよ」の語源・由来
「愛は小出しにせよ」の「小出し」は、持っているものを一度にすべて出さず、少しずつ出すことを表す言い方です。このことわざでは、愛情を一時に燃え上がらせて終わらせるのではなく、相手を思う気持ちを長く保てる形で示すという教えになっています。
この教えにきわめて近い英語のことわざに、Love me little, love me long. があります。「少し愛して、長く愛して」という意味で、激しすぎる愛は長続きしにくいという考えを表します。英語では、十六世紀初めから用いられてきたことわざです。
古い用例として、ジョン・ヘイウッドの『A Dialogue Conteinyng the Nomber in Effect of All the Prouerbes in the Englishe Tongue』(1546年、ロンドン刊)に、この句が出てきます。この作品は、結婚をめぐる会話の中に、当時知られていた多くのことわざを織り込んだものです。
その場面では、年を取ってから結婚した夫婦が、互いへの接し方をめぐって言い争います。夫は、愛情を一度に激しくぶつけるのではなく、ほどよく保つほうがよいという流れの中で、“Olde wise folke saie, loue me lyttle loue me long.” と口にします。これは、「昔からの賢い人々は、少し愛して長く愛せと言う」という意味です。
ここで大切なのは、この句が、愛情を乏しくせよという教えとしてではなく、行き過ぎた愛情の示し方から生まれる争いをしずめ、関係を長く続けるための知恵として使われていることです。愛の深さを失うのではなく、愛し方にほどよさと持続を求める考えが、この古い用例に表れています。
十七世紀には、ロバート・ヘリックの詩集『Hesperides, or, The Works Both Humane & Divine』(1648年、ロンドン刊)に、Love me little, love me long. を題とする短い詩が収められています。その詩では、相手の思いが強いなら、むしろ少しずつ長く愛してほしいと願い、激しくなりすぎた思いは消えたり疲れたりすると語っています。
このように、同じ表現は、夫婦の会話の中での戒めとしても、愛を願う詩の題としても用いられながら、「激しさよりも、長続きする愛を大切にする」という意味をはっきりと伝えてきました。日本語の「愛は小出しにせよ」は、その教えを、「小出し」という日常的で分かりやすい言葉によって簡潔に表したものといえます。
したがって、このことわざは、愛情を惜しんだり、冷たくしたりせよという教えではありません。大切な人を思う気持ちを、日々の言葉や行いによって無理なく積み重ね、長く保っていくことをすすめる表現です。
「愛は小出しにせよ」の使い方




「愛は小出しにせよ」の例文
- 祖父は、夫婦が仲よく暮らすには、愛は小出しにせよという心構えで日々の気遣いを重ねることが大切だと語った。
- 愛は小出しにせよというように、記念日の贈り物だけでなく、毎日のねぎらいを欠かさない。
- 二人は愛は小出しにせよを心に留め、派手な約束よりも互いを思いやる習慣を大事にした。
- 母は、家族への感謝にも愛は小出しにせよの知恵が生きると言い、毎朝の声かけを続けた。
- 長年連れ添った夫妻の穏やかな暮らしには、愛は小出しにせよという姿勢が表れていた。
- 愛は小出しにせよを忘れて一時の情熱だけに頼ると、互いの負担が大きくなりやすい。
主な参考文献
・Elizabeth Knowles ed., 『Little Oxford Dictionary of Proverbs』Oxford University Press, 2009.
・John Heywood, 『A Dialogue Conteinyng the Nomber in Effect of All the Prouerbes in the Englishe Tongue』Thomas Berthelet, 1546.
・Robert Herrick, 『Hesperides, or, The Works Both Humane & Divine』John Williams and Francis Eglesfield, 1648.























