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【鬼門金神我より祟る】の意味と使い方や例文!語源由来は?(類義語・英語)

鬼門金神我より祟る

【ことわざ】
鬼門金神我より祟る

【読み方】
きもんこんじんわれよりたたる

【意味】
災いは鬼門や金神の祟りによって起こるのではなく、自分の不注意や慎みのない行いが招くものだということ。

ことわざ博士
鬼門金神我より祟るは、不運の原因を方角や神のせいにせず、まず自分の行いを振り返るべきだという教えなんだよ。
助手ねこ
失敗や災難を迷信だけで説明し、自分の落ち度から目をそらしている人を戒める場面で用いるニャン。

【英語】
・You reap what you sow.(自分の行いの結果は自分に返る)

【類義語】
・吉凶は人によりて日によらず(きっきょうはひとによりてひによらず)

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「鬼門金神我より祟る」の語源・由来

ことわざを深掘り

「鬼門金神我より祟る」は、災いを招くと恐れられた「鬼門」と「金神」を並べ、そのような方角や神よりも、自分の行いのほうが悪い結果を招くと説いたことわざです。特定の人物の逸話をもとにしたものではなく、日本に広く伝わった方位の俗信を、戒めへと転じた言い方です。

「鬼門」は、陰陽道(おんようどう)で、邪悪な鬼が出入りするとして忌み嫌われた艮(うしとら)、すなわち北東の方角を指します。外出や建築などを行う際に、この方角へ注意を払う考えは平安時代からあり、とくに院政期に盛んになりました。

日本の古い用例には、『叡岳要記(えいがくようき)』(鎌倉時代中期成立)の「鬼門之凶害」があります。また、『平家物語』(13世紀前半ごろ成立、鎌倉時代前期)にも、比叡山(ひえいざん)が都の鬼門にそびえる護国の霊地である、という記述が出てきます。

一方の「金神」は、陰陽道で祭る方位の神です。その神がいる方角へ向かって土木工事を始めたり、移転・旅行・婚姻を行ったりすると、災いを受けると恐れられました。

金神に関する早い記録は、藤原師通の日記『後二条師通記(ごにじょうもろみちき)』(1083〜1099年・平安時代後期、藤原師通著)にあります。1092年の記事には、金神の方角を禁忌とすることについて尋ねた記録が残っています。

『後二条師通記』は、藤原師通が内大臣となった1083年から、関白在任中に亡くなる1099年までを書いた日記です。この記録から、金神の方角を避ける習慣が、すでに平安時代の貴族社会で重んじられていたことが分かります。

南北朝時代には、安倍晴明の著作と仮託された『簠簋内伝(ほきないでん)』が作られました。この書物では、金神信仰が牛頭天王(ごずてんのう)の伝承と結び付けられ、その方角を犯すと祟りが七人に及ぶという「金神七殺」の考えが説かれました。

江戸時代の図解百科事典『和漢三才図会(わかんさんさいずえ)』(1712年・江戸時代中期、寺島良安編)にも、金神が移動する方角や時期について、複数の説が記されています。金神を避ける習慣が長く受け継がれ、人々の建築・移転・旅立ちなどに影響を与えていたことがうかがえます。

このように、「鬼門」と「金神」は、ともに方角にまつわる災いの原因として恐れられてきました。しかし、このことわざは、それらが祟ると説くのではなく、「我より祟る」と続けることで、災いの原因を自分自身へと引き戻します。

「祟る」には、神仏や怨霊が災いを及ぼすという意味のほか、ある行いや状態が原因となって悪い結果が生じる、という意味があります。『日葡辞書(にっぽじしょ)』(1603〜1604年・江戸時代初期)にも、体に悪い影響を及ぼすという意味で「祟る」を用いた例が出てきます。

そのため、「我より祟る」は、自分自身が神のように誰かへ祟るという意味ではありません。自分の不注意、怠慢、慎みを欠いた言動などが、巡り巡って自分に災いをもたらすという意味です。

これと近い考えは、吉田兼好の随筆『徒然草(つれづれぐさ)』(1331年ごろ・鎌倉時代末期、吉田兼好著)第九十一段にも出てきます。そこでは、不吉とされた日をむやみに恐れることを戒め、「吉凶は、人によりて、日によらず」と述べています。

『徒然草』の言葉が、このことわざの直接の出典というわけではありませんが、日取りや方角よりも、人の行いが結果を決めるという考えは共通しています。「鬼門金神我より祟る」も、外に原因を求める前に、自分の行いを正すことが大切だと教える表現として定着しました。

「鬼門金神我より祟る」の使い方

健太
理科の実験が失敗したのは、机が教室の鬼門にあったからかもしれない……。
ともこ
でも、乾電池を入れる向きを確かめていなかったよね。鬼門金神我より祟るというから、まず準備を振り返ろうよ。
健太
本当だ!方角のせいにする前に、説明書をよく読まなくちゃ。
ともこ
電池を正しく入れたら動いたね。次は二人で確認してから実験を始めよう!
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「鬼門金神我より祟る」の例文

例文
  • 工事の失敗を方角のせいにする父へ、祖父は鬼門金神我より祟ると戒めた。
  • 忘れ物が続いたのは運が悪いからではなく、鬼門金神我より祟るで、前日に確認しなかったためだ。
  • 店の不振を土地の祟りだけで説明する前に、鬼門金神我より祟るの教えに従って経営を見直すべきだ。
  • 鬼門金神我より祟るというように、事故の原因は怪しい方角ではなく、日頃の点検不足にあった。
  • 彼は鬼門金神我より祟るを胸に刻み、失敗を人や運のせいにせず、自分の行動を改めた。
  • 災難のたびに暦を疑うのではなく、鬼門金神我より祟ると考えて生活の乱れを正した。

主な参考文献

・佐竹秀雄・武田勝昭・伊藤高雄編、北村孝一監修『故事俗信ことわざ大辞典 第二版』小学館、2012年。
・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・藤原師通『後二条師通記』1083〜1099年。
・『簠簋内伝』南北朝時代成立。
・吉田兼好『徒然草』1331年ごろ。
・『日葡辞書』1603〜1604年。
・寺島良安編『和漢三才図会』1712年。





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