【ことわざ】
客と白鷺は立ったが見事
【読み方】
きゃくとしらさぎはたったがみごと
【意味】
客は長居をせず、ほどよいころに帰るほうがよいということ。白鷺の美しい立ち姿と、客が席を立つことを掛けた言い方。


【英語】
・Do not overstay your welcome.(歓迎される時間を過ぎて長居してはいけない)
・Fish and guests smell after three days.(魚と客は三日たつとにおう、長居は迷惑になる)
【類義語】
・風呂と客は立ったが良い(ふろときゃくはたったがよい)
・泣くほど留めても帰れば喜ぶ(なくほどとめてもかえればよろこぶ)
「客と白鷺は立ったが見事」の語源・由来
「客と白鷺は立ったが見事」は、人を訪ねた客と、水辺に立つ白鷺とを並べて、「立つ」という言葉を生かしたことわざです。客は「席を立つ」、白鷺は「姿を立てている」という二つの意味が重ねられています。
「客」は、訪ねてくる人、または招かれてくる人を指します。このことわざでは、商売の客ではなく、他人の家や席に招かれた訪問客のことを表しています。
「白鷺」は、サギ科の鳥のうち、全身が白いものの総称です。コサギ、チュウサギ、ダイサギなどが含まれ、長い首や脚をもつ水辺の鳥として知られています。
「立つ」には、まっすぐ縦になる、立ち上がるという意味のほかに、その場を離れるという意味があります。「席を立つ」は、座っていた場所から離れることを表すため、客が帰る動作と結びつきます。
このことわざの面白さは、白鷺の立ち姿の美しさと、客が長居せずに席を立つ礼儀正しさを、同じ「立つ」で結びつけているところにあります。白鷺は立っている姿が美しく、客もよいころあいに立つ、つまり帰るのが見事だ、という意味になります。
昔の暮らしでは、客をもてなすことは大切な礼儀でした。一方で、客がいつまでも帰らなければ、もてなす側は食事、時間、家事の都合などに気を配り続けなければなりません。このことわざは、招かれた側にも慎みが必要だという生活の知恵を短く言い表しています。
同じ考えを表す言い方に、「風呂と客は立ったが良い」があります。これは、客が「立つ」と、風呂の湯が「立つ」という言葉を掛けて、客は早めに帰るほうがよいという意味を表します。
また、「泣くほど留めても帰れば喜ぶ」という類義の言い方もあります。これは、帰ろうとする客を惜しむように引き留めても、実際には帰ってくれるとほっとするという、もてなす側の気持ちを表しています。
「客と白鷺は立ったが見事」には、もう一つ、客に余興を促す場面での用法もあります。白鷺が立って舞うように見事であることから、宴席などで客に立って舞や芸をしてもらう時のしゃれとしても使われます。
ただし、現在ふつうに使う場合は、訪問先で長居をしないことをすすめる意味が中心です。相手の親切に甘えすぎず、楽しい時間をほどよいところで切り上げることが、よい客としてのふるまいにつながるということわざです。
「客と白鷺は立ったが見事」の使い方




「客と白鷺は立ったが見事」の例文
- 友人の家に招かれたら、楽しくても客と白鷺は立ったが見事を心がけたい。
- 会話が弾んでいても、相手の家事の時間を考え、客と白鷺は立ったが見事と席を立った。
- 祖母は、訪問先では客と白鷺は立ったが見事だから長居をしないようにと教えてくれた。
- 商談のあと雑談が続いたが、相手の予定を思い、客と白鷺は立ったが見事と切り上げた。
- 親しい間柄でも、客と白鷺は立ったが見事というように、相手の都合を忘れてはいけない。
- 楽しい集まりほど、客と白鷺は立ったが見事の気持ちで帰る時機を見きわめることが大切だ。
主な参考文献
・松村明監修『大辞泉 第二版』小学館、2012年。
・現代言語研究会『日本語を使いさばく故事ことわざの辞典』あすとろ出版、2007年。
・Merriam-Webster, Inc.『Merriam-Webster.com Dictionary』Merriam-Webster.
・Cambridge University Press『Cambridge Dictionary』Cambridge University Press.























