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【居は気を移す】の意味と使い方や例文!故事は?(類義語・英語)

居は気を移す

【故事成語】
居は気を移す

【読み方】
きょはきをうつす

【意味】
住む場所や身を置く環境、地位によって、人の性質や考え方は変わるということ。

ことわざ博士
「居」は住居だけでなく、その人が置かれた地位や境遇も指すよ。
助手ねこ
転居、進学、就職、昇進などをきっかけに、考え方や態度が変わった場面で用いるニャン。

【英語】
・One’s surroundings shape one’s character.(人の性質は身を置く環境によって形づくられる)

【類義語】
・氏より育ち(うじよりそだち)
・朱に交われば赤くなる(しゅにまじわればあかくなる)

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「居は気を移す」の故事

故事成語を深掘り

「居は気を移す」は、中国の古典『孟子(もうし)』の「尽心上(じんしんじょう)」にある「居移氣、養移體、大哉居乎」という言葉に基づきます。『孟子』は、中国・戦国時代の思想家である孟子の言行や思想を伝える書物です。

この章は、孟子が范(はん)から斉(せい)へ向かい、遠くから斉王の子を見た場面から始まります。孟子は王子の姿を見て深く感心し、「居は気を移し、養は体を移す。大いなるかな、居は」という意味の言葉を述べました。

ここでいう「気」は、単なる気分ではなく、その人の気質や態度、外に表れる雰囲気を指します。「体」は体つきであり、「養」は日ごろ受ける養いや、生活上の待遇を意味します。地位や立場は人の気風を変え、日々の養いは体つきを変えるという二つの働きを、対にして表しています。

孟子は続けて、王子の住む宮殿、使う車や馬、身に着ける衣服は、多くの点で、ほかの人のものと大きく異なるわけではないと述べます。それでも王子に王子らしい気風が備わっているのは、王子という地位に身を置いているためだと説きました。

この話では、「居」は、もともと家屋だけを指しているのではありません。その人がどのような立場にあり、どのような暮らしや待遇を受けているかという、社会的な地位や境遇まで含む言葉です。宋代の朱熹も、「居」をその人が身を置く地位、「養」を生活のために受ける養いと解いています。

孟子は、この考えを示すため、魯(ろ)の君主にまつわる話も挙げます。魯の君主が宋(そう)を訪れ、垤沢(てつたく)の門で呼びかけると、門番はその声を聞き、「わが国の君主ではないのに、どうして声がこれほど似ているのだろう」と不思議に思いました。

孟子は、二人の君主の声が似ていたのは、どちらも国を治める同じような地位にあったからだと述べます。長く同じ立場に身を置けば、物の言い方や態度にも、その立場にふさわしい特徴が表れるというのです。

このように、原典の「居移氣」は、地位や待遇が人の気風を変えるという意味を強くもっていました。日本語では、そこから意味が広がり、社会的な地位だけでなく、住む土地、家庭、学校、職場など、日常的に身を置く環境が、人の性質や思想に影響を与えることも表すようになりました。

日本における古い用例としては、絶海中津の詩文集『蕉堅藁(しょうけんこう)』(1403年・室町時代前期)に、「近来華屋居移気、羞見煙波有釣舟」とあります。立派な屋敷で暮らすうちに心持ちが変わったことを、「居移気」という『孟子』の言葉を用いて表しています。

江戸時代後期には、慈雲飲光の『十善法語(じゅうぜんほうご)』(1775年)に、「居は気をうつし養は体をうつす」とあります。この段階では、『孟子』の「居移氣、養移體」に沿い、「居」と「養」を対にした形が、日本語の文章でも使われています。

現在では、その前半を取り出した「居は気を移す」という形が広く用いられています。住む場所や付き合う人、所属する集団、与えられた地位などは、知らないうちに人の考え方や態度に影響を及ぼすという意味です。人は生まれ持った性質だけでなく、どのような環境に身を置くかによっても変わっていくことを教える言葉です。

「居は気を移す」の使い方

健太
去年転校してきたころの太一くんは、休み時間も一人で本を読んでいたよね。
ともこ
今のクラスでは、毎日みんなとドッジボールをしているよ。ずいぶん明るくなったね!
健太
仲のよい友だちに囲まれて変わったんだね。居は気を移すとは、このことかな。
ともこ
きっとそうだね。私たちも、みんなが安心して過ごせるクラスにしよう!
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「居は気を移す」の例文

例文
  • 静かな土地へ移り住んでから父の表情が穏やかになり、居は気を移すという言葉を実感した。
  • 居は気を移すというように、礼儀を重んじる学校で学ぶうちに、彼の振る舞いも丁寧になった。
  • にぎやかな職場へ移った彼女が明るくなったのを見ると、居は気を移すとはよく言ったものだ。
  • 新しい役職に就いて態度が堂々としてきた部長の姿は、居は気を移すという言葉を思わせる。
  • 居は気を移すというから、子どもが落ち着いて勉強できる家庭環境を整えたい。
  • 海外で暮らした経験によって考え方が大きく変わり、居は気を移すことを身をもって知った。

主な参考文献

・松村明監修『大辞泉 第二版』小学館、2012年。
・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・『孟子』中国・戦国時代。
・朱熹『四書章句集注』南宋。
・絶海中津『蕉堅藁』1403年。
・慈雲飲光『十善法語』1775年。





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