【草木も眠る丑三つ時】の意味と使い方や例文!語源由来は?(類義語・対義語・英語)

草木も眠る丑三つ時

【慣用句】
草木も眠る丑三つ時

【読み方】
くさきもねむるうしみつどき

【意味】
夜がすっかり更け、辺り一面が静まり返った真夜中。もとは丑の刻を四つに分けた三番目の時間帯を指す。

ことわざ博士
草木まで眠りについたように、物音が絶えてひっそりした深夜を表すよ。
助手ねこ
怪談や物語で、不気味な出来事が起こりそうな夜の静けさを印象づける場面にも用いるニャン。

【英語】
・in the dead of night.(真夜中の、最も暗く静かな時に)

【類義語】
・深更(しんこう)
・夜半(やはん)

【対義語】
・白昼(はくちゅう)

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「草木も眠る丑三つ時」の語源・由来

慣用句を深掘り

「草木も眠る丑三つ時」は、「草木も眠る」と「丑三つ時」という二つの言い方が結びついた表現です。「草木も眠る」は、夜が深まり、人や動物だけでなく、草や木まで眠りについたかのように、辺りが静まり返っている様子を表します。実際に植物が眠るという意味ではなく、深夜の静けさを強く印象づける擬人化(ぎじんか:人でないものを人のように表す方法)です。

「丑三つ時」の「丑」は、十二支を時刻に当てはめた昔の呼び方です。一日を子・丑・寅などの十二の刻に分けると、丑の刻は、現在のおよそ午前一時から三時ごろに当たります。さらに、一つの刻を四つに分け、その三番目を「丑三つ」と呼びました。現在の時刻に直せば、おおよそ午前二時から二時半ごろです。

ただし、江戸時代まで広く用いられた時刻制度では、昼と夜をそれぞれ六つに分けていたため、一つの刻の長さは季節によって変わりました。そのため、午前二時から二時半という区切りは、現代の時計に置き換えた、おおよその目安です。「丑三つ」は、のちに特定の時刻だけでなく、夜が深く更けたころや、真夜中そのものを表す言葉としても使われるようになりました。

「草木も眠る」という部分の古い用例は、三代目春風亭柳枝の落語『白木屋』(1891年・明治24年)に出てきます。そこには、ある夜、深夜になって「草木も眠る真夜中」に店へ忍び込んだという語りがあります。この段階ですでに、草木まで眠ったような静かな夜という、現在と同じ比喩的な意味で使われています。

この「草木も眠る」という表現に、深夜を表す「丑三つ時」が添えられることで、時刻と辺りの静けさとを一度に伝える言い回しになりました。「丑三つ時」だけでも真夜中を表しますが、「草木も眠る」を前に置くと、物音一つしない静寂や、何かが起こりそうな緊張した夜の様子まで浮かび上がります。

この表現が広く知られるようになった背景には、落語・講談・怪談・無声映画の活弁(かつべん:活動弁士が映画の場面を語って説明すること)など、耳で楽しむ芸能の存在もありました。志波西果監督の無声映画『尊王』(1926年・大正15年)の活弁口上については、後世の記録に、「東山三十六峰草木も眠る丑三つ時」とする形や、「東山三十六峰静かに眠る」とする形などが残っています。活動弁士が観客の前で語った言葉であるため、伝えられた文句には違いがあります。

この活弁の名調子は、「静まり返った深夜に、突然事件が起こる」という場面を劇的に伝えるものでした。「草木も眠る丑三つ時」という言い回しも、こうした語りの中で、怪しい出来事が始まる直前の静けさを示す決まり文句として親しまれていきました。現在でも怪談の冒頭に用いられることが多く、単に時刻を知らせるだけでなく、暗さ、静けさ、不気味さをまとめて表す言葉として定着しています。

したがって、「草木も眠る丑三つ時」は、昔の時刻である「丑三つ」を語源としながら、「草木も眠る」という比喩によって、深夜の静寂を際立たせた表現です。今では、午前二時から二時半ごろを厳密に示す場合よりも、辺りがすっかり寝静まった真夜中を、物語らしく印象深く表す場合に多く用いられます。

「草木も眠る丑三つ時」の使い方

健太
昨日、お姉ちゃんと一緒に少し怖いお化けのテレビ番組を見たんだ。
ともこ
えっ、どんなお話だったの?
健太
時計の針がちょうど午前二時を回った、草木も眠る丑三つ時に不思議なことが起きるというお話さ……。
ともこ
うわあ、それを聞いただけで、今日の夜は一人でトイレに行けなくなりそうだね!
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「草木も眠る丑三つ時」の例文

例文
  • 草木も眠る丑三つ時、古い寺の鐘が低く鳴り響いた。
  • 草木も眠る丑三つ時に、玄関の戸をたたく音がして家族は目を覚ました。
  • キャンプ場は草木も眠る丑三つ時を迎え、昼間のにぎわいが嘘のように静まっていた。
  • 小説は、草木も眠る丑三つ時に城下町から一人の武士が姿を消す場面から始まる。
  • 草木も眠る丑三つ時にも、病院では医師や看護師が患者を見守っている。
  • 警備員は草木も眠る丑三つ時の倉庫で、不審な物音を耳にした。

主な参考文献

・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・松村明監修『大辞泉 第二版』小学館、2012年。
・京都新聞社編著『京都の映画80年の歩み』京都新聞社、1980年。
・御園京平『活辯時代』岩波書店、1990年。
・Cambridge University Press『Cambridge Academic Content Dictionary』Cambridge University Press,2008.


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