『後漢書』は、中国の後漢時代の歴史を詳細に記述した史書で、二十四史の一部として知られています。
全120巻から構成されており、本紀10巻、列伝80巻は南朝宋の学者范曄によって執筆されました。志の30巻は西晋の司馬彪が書いた『続漢書』から採用されています。
後漢の歴史を収める試みは、後漢当時から始まっていました。当初は『東観漢記』として多数の人々により編纂され、これは古くから「三史」の一つとして広く知られていました。
しかし、その記述には制約があり、一貫性に欠けるとの指摘も存在していました。その後、異なる学者たちによって後漢の歴史を記した多数の『後漢書』が執筆されました。
范曄は、これらの先行資料を基にして、後漢の歴史を完全にまとめ上げることを目指しました。彼の独自の文章技巧や取捨選択により、『後漢書』の特色が形成されました。
しかし、彼は志の部分を書き終えることができず、その後、南朝梁の劉昭が司馬彪の『続漢書』の志を追加して、現在知られる形の『後漢書』を完成させました。
最後に、『後漢書』の中で後漢末期の記述は、『三国志』と多くの部分で重複していますが、『三国志』が先に成立しており、その時点から100年以上も前のものである点が特筆されます。