『漢書』(かんじょ)は、中国の正史の一つで、前漢の歴史を詳細に記した書物です。班固が主に著述し、後漢の時期に編纂されました。
しかし、班固は完成前に亡くなったため、その未完の部分は妹の班昭と馬続によって完成されました。全120巻からなり、「本紀」12巻、「列伝」70巻、「表」8巻、そして「志」10巻を含んでいます。
『漢書』は、司馬遷の『史記』の後を継ぐ形で、班彪が『後伝』を執筆したことが始まりです。その後、班彪の子である班固が『史記』と『後伝』を基に整理・補充を行い、『漢書』の制作に取り掛かりました。
この歴史書は、初めて断代史(一つの王朝に特化した歴史書)の形式を採用し、後の正史編纂の基準となりました。
『史記』とは違い、『漢書』は歴史の記録に重点を置いており、詔や上奏文を直接引用しているため、詳細性と正確性においては『史記』を上回っています。
しかし、物語としての面白みは『史記』の方が強いとされます。『漢書』は儒教的な視点で統一されており、その中には1世紀前後の日本(倭)に関する記述も含まれています。
このような背景と内容から、『漢書』は二十四史の中で『史記』と並び称される重要な歴史書として位置づけられています。