【ことわざ】
昨日の襤褸今日の錦
【読み方】
きのうのつづれきょうのにしき
【意味】
昨日まで貧しくみすぼらしい身なりをしていた人が、今日は立身出世して立派な装いをしていること。世の中の栄枯盛衰が激しいことのたとえ。


【英語】
・from rags to riches.(貧しい状態から豊かな状態へ)
【類義語】
・昨日の錦今日の襤褸(きのうのにしききょうのつづれ)
・昨日の花は今日の夢(きのうのはなはきょうのゆめ)
・昨日の淵は今日の瀬(きのうのふちはきょうのせ)
「昨日の襤褸今日の錦」の語源・由来
「昨日の襤褸今日の錦」は、衣服の対比によって、人の境遇が急に変わることを表すことわざです。「昨日」と「今日」を並べることで、変化の速さを分かりやすく示しています。
「襤褸」は、このことわざでは「つづれ」と読みます。ぼろぼろになった着物や、つぎだらけの衣服を指す言葉として使われています。
「錦」は、金色の糸などで美しい模様を織り出した絹織物を表します。そこから、豪華で立派な衣服や、晴れやかな身なりを思わせる言葉として用いられます。
つまり、このことわざは、「昨日はぼろを着ていた人が、今日は錦の衣を身に着けている」という対照から成り立っています。貧しく目立たなかった人が、急に出世して豊かな身になる変化を、衣服の違いで見せる言い方です。
ただし、このことわざは、単に服装が変わったことだけをいう表現ではありません。衣服の変化を通して、身分、財産、評判、運命などが大きく変わることをたとえています。
このことわざの根にある考えは、「栄枯盛衰」です。「栄枯盛衰」は、栄えたり衰えたりすることを表し、勢いのある時と衰える時がめまぐるしく入れかわる様子をいう言葉です。
「昨日の襤褸今日の錦」では、その移り変わりのうち、低い境遇から高い境遇へ上がる方向が強く表れています。昨日まで苦しい身の上だった人が、今日には人から注目されるほど成功している、という急な変化を示します。
一方で、反対の並びにした「昨日の錦今日の襤褸」という言い方もあります。こちらは、立派な身なりをしていた人が、今日はぼろを着るような境遇になるという形で、同じく世の移り変わりの激しさを表します。
このように、同じ「襤褸」と「錦」の組み合わせでも、順番によって上昇と下降の見え方が変わります。どちらの形にも、人生や世の中は一定ではなく、境遇は思いがけず変わるという見方がこめられています。
「昨日の花は今日の夢」や「昨日の淵は今日の瀬」も、昨日と今日を対比して、世の中の変わりやすさを表す言い方です。これらと同じように、「昨日の襤褸今日の錦」も、短い言葉の中で人生の浮き沈みを印象深く示しています。
現在では、急に成功した人、貧しい状態から豊かな状態へ変わった人、または運命の変わりやすさを語る場面で使われます。よい変化を喜ぶときにも、世の中の移り変わりの激しさをしみじみ言うときにも用いられることわざです。
「昨日の襤褸今日の錦」の使い方




「昨日の襤褸今日の錦」の例文
- 長い下積みを経て一夜で有名になった俳優の姿は、昨日の襤褸今日の錦そのものだった。
- 小さな店から始めた会社が全国に広がり、昨日の襤褸今日の錦と評された。
- 貧しい暮らしをしていた青年が大きな発明で成功し、昨日の襤褸今日の錦を体現した。
- 昨日まで見向きもされなかった商品が急に売れ出し、昨日の襤褸今日の錦のような変わりようを見せた。
- 無名のチームが大会で優勝し、昨日の襤褸今日の錦という言葉がぴったりの快進撃となった。
- 昨日の襤褸今日の錦とはいうが、急な成功の裏には長い努力があるものだ。
主な参考文献
・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・松村明監修『大辞泉 第二版』小学館、2012年。
・公益財団法人日本漢字能力検定協会『漢字ペディア』。
・現代言語研究会著『日本語を使いさばく 故事ことわざの辞典』あすとろ出版、2007年。
・Oxford University Press, 『Oxford Advanced Learner’s Dictionary.』























