【ことわざ】
木もと竹うら
【読み方】
きもとたけうら
【意味】
木を割るときは根元のほうから、竹を割るときは先のほうから割るとうまく割れるということ。物事には、それぞれに合ったやり方や順序があるというたとえ。


【英語】
・Use the right tool for the job.(仕事にはそれに合った道具や方法を使え)
【類義語】
・竹は末から、木は元から(たけはうらから、きはもとから)
・急がば回れ(いそがばまわれ)
【対義語】
・本末転倒(ほんまつてんとう)
「木もと竹うら」の語源・由来
「木もと竹うら」は、木と竹を割るときの実際的な作業の知恵から生まれたことわざです。木をなたなどで割るときは、根元のほうから割るとよく、竹は反対に先のほうから割るのがよい、という意味をもっています。
「木もと」の「もと」は、木の根元の側を指します。木材では、根に近いほうを「元口」といい、先端に近いほうを「末口」と呼ぶことがあります。
「竹うら」の「うら」は、「裏」ではなく、もとは「末」と関係する言葉です。「末(うら)」は、植物の葉や枝の先、こずえ、または物の先端を表します。
古くは、「末(うら)」は単独で用いられるよりも、「うら葉」のような複合した形で用いられることが多い言葉でした。このことわざでは、竹の先のほうを「うら」と呼び、根元に対する先端の意味で使っています。
木と竹は、どちらも細長く、刃物で割って使うことがある素材ですが、性質は同じではありません。木は年輪や木目をもち、竹は中が空洞で節があり、繊維がまっすぐ通った構造をしています。
そのため、木と竹を同じ向きから割ればよいとは限りません。木には木に合った割り方があり、竹には竹に合った割り方があるという経験が、「木もと竹うら」という短い言い方にまとめられました。
「木元竹末」と書く形もあります。この表記では、「元」が根元のほう、「末」が先のほうをはっきり示し、木は元から、竹は末からという対比が分かりやすくなっています。
同じ考えを言い換えた形に、「竹は末から、木は元から」があります。こちらも、縦に割るときは竹を上のほうから、木を根元のほうから割るとよく裂ける、という作業の順序を表します。
このことわざは、単に木工や竹工に限って使う言葉ではありません。素材の性質をよく見て、いちばん扱いやすい順序を選ぶという考えが、物事全般の進め方のたとえに広がりました。
たとえば、勉強には基礎から積み上げる順序があり、料理には材料に合った切り方や火の通し方があります。力まかせに進めるよりも、対象の性質を知って手順を選ぶほうが、無理なくうまくいくという教えです。
一方で、この言葉は「どんな場合にも一つの方法だけが正しい」という意味ではありません。木と竹を分けて考えるように、相手や物事の性質に合わせて方法を変えることの大切さを表しています。
現在では、ものづくりの手順、仕事の段取り、学習の順序、計画の立て方などに用いることができます。「木もと竹うら」は、古くからの作業の知恵を通して、物事にはふさわしい順序と方法があることを教えることわざです。
「木もと竹うら」の使い方




「木もと竹うら」の例文
- 工作では、木もと竹うらを思い出し、材料に合った切り方を選ぶことが大切だ。
- 料理の手順を無視して失敗したので、木もと竹うらという言葉が身にしみた。
- 新しい仕事を始めるときは、木もと竹うらで、まず基本の流れを覚える必要がある。
- 掃除にも木もと竹うらがあり、高い棚から先に片づけたほうが効率よく進む。
- 発表の準備は、木もと竹うらで、資料を集めてから原稿を書くほうがまとまりやすい。
- 機械の修理を力まかせに進めず、木もと竹うらで、正しい順序を確かめてから作業した。
主な参考文献
・北村孝一編『ことわざを知る辞典』小学館、2018年。
・松村明監修『デジタル大辞泉』小学館。
・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。























