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【鴨が葱を背負って来る】の意味と使い方や例文!語源由来は?(類義語・対義語・英語)

鴨が葱を背負って来る

【ことわざ】
鴨が葱を背負って来る

【読み方】
かもがねぎをしょってくる

【意味】
自分にとって好都合な相手が、さらに利益となるものまで持って現れること。物事が思いどおりに運び、願ってもないほど都合がよいことのたとえ。

ことわざ博士
鴨鍋の材料となる鴨が、具材の葱まで自分で持って来るという、都合のよさを誇張した表現だよ。
助手ねこ
狙っていた相手がこちらに有利な条件をそろえて現れたり、利益となるものが思いがけず一緒に手に入ったりする場面に用いるニャン。

【英語】
・fall into someone’s lap.(好都合なものが労せず手に入る)
・a sitting duck.(容易に狙える相手)

【類義語】
・開いた口へ牡丹餅(あいたくちへぼたもち)
・寝耳へ小判(ねみみへこばん)

【対義語】
・蒔かぬ種は生えぬ(まかぬたねははえぬ)

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「鴨が葱を背負って来る」の語源・由来

ことわざを深掘り

「鴨が葱を背負って来る」は、食材となる鴨が、鴨鍋に用いる葱まで背負って目の前に現れるという、あり得ないほど都合のよい光景から生まれたことわざです。鴨と葱が同時に手に入れば、すぐに鍋を作れるという発想がもとになっています。

このことわざの「鴨」は、鳥や食材としての鴨を指すだけではありません。「いい鴨」「鴨になる」という言い方と同じく、だましやすい人や、こちらの思いどおりに利用しやすい人を重ねて表しています。

その鴨が葱まで持って来るのですから、狙っていた相手が自ら近づいて来るだけでなく、こちらの利益となるものまで一緒に差し出すことになります。「好都合な相手」と「好都合な条件」とが重なるところに、この表現のおかしみがあります。

「背負って来る」という部分も、実際に鴨が葱を背中に載せるという意味ではありません。食べられる側が、自分を調理するための材料まで運んで来るという逆さまの光景によって、あまりにも都合がよすぎる状況を鮮やかに表しています。

近代の文学に見られる用例には、中里介山の長編小説『大菩薩峠(だいぼさつとうげ)』(大正2年から昭和16年、中里介山著)があります。この作品には、追っていた相手を天龍寺へ追い込み、「鴨が葱を背負って来たようなものだ」と思う場面が出てきます。

ところが、その相手のほうが一枚上手で、参詣するように見せかけて逃げてしまいます。ここでは、相手が思いどおりの場所へ入り込み、絶好の機会が訪れたと喜ぶ意味で、このことわざが使われています。

志賀直哉の『菰野(こもの)』(昭和9年、志賀直哉著)には、「鴨が葱を背負つて歩き廻つてゐた」という形が出てきます。主人公が銀座の酒場やカフェーを無防備に歩き回り、以前よりもたちの悪い人々につかまった場面です。

この用例では、決まった形である「来る」ではなく、「歩き廻る」と言い換えています。利用されやすい人が、自ら相手の前へ出向いている様子を、葱を背負った鴨にたとえたものです。

やがて、このことわざを短くした「鴨葱(かもねぎ)」という言い方も生まれました。井上友一郎の『東京の孤独』(昭和34年、井上友一郎著)には、「カモネギみたいなものね」という用例があります。

「鴨葱」は、「鴨が葱を背負って来る」を縮めた俗な言い方です。長いことわざの内容が広く知られたため、鴨と葱の二語だけでも、好都合な相手や機会が訪れるという意味が通じるようになりました。

このことわざは、単に幸運が舞い込むことを喜ぶ場合にも使えますが、もともとは、狙った相手やお人よしが、利益となるものを持って現れる場面を表します。そのため、人に向かって使うと、相手を利用しやすい人と見なす、少し意地の悪いニュアンスを帯びることがあります。

鴨鍋の材料がひとそろいになって、向こうからやって来るという、分かりやすくユーモラスな光景が、現在の意味の土台です。そこから、思いがけず有利な条件がそろうことや、狙った相手が望みどおりのものを持って現れることを表すことわざとして定着しました。

「鴨が葱を背負って来る」の使い方

健太
校内の宝探し大会で、ぼくたちに足りないのは青い鍵だけだ。どこにあるんだろう……。
ともこ
あっ、向こうのチームが青い鍵を持って、余った地図と交換しようってこっちへ来たよ!
健太
まさに鴨が葱を背負って来るだね。ぼくたちには同じ地図が二枚あるから、交換できるよ!
ともこ
でも、相手をだますのはなしだよ。お互いが納得できる交換にしよう!
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「鴨が葱を背負って来る」の例文

例文
  • 買い手が希望額を示したうえに手続きまで引き受けるというので、売り手には鴨が葱を背負って来るような話だった。
  • 対戦相手がこちらの得意な作戦を選んでくれたのは、鴨が葱を背負って来るも同然だった。
  • 探していた人材が新しい企画まで持って応募してきて、会社にとっては鴨が葱を背負って来る展開となった。
  • 犯人が盗品を持ったまま交番の前に現れるとは、警察には鴨が葱を背負って来るようなものだった。
  • 競争相手が重要な情報まで自分から話し始めたので、彼は鴨が葱を背負って来ると思った。
  • 欲しかった古本を譲るという人が、同じ作者の資料まで添えてくれたのは、まさに鴨が葱を背負って来る幸運だった。

主な参考文献
・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・北村孝一編『ことわざを知る辞典』小学館、2018年。
・中里介山『大菩薩峠』1913〜1941年。
・志賀直哉『菰野』1934年。
・井上友一郎『東京の孤独』1959年。





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