【慣用句】
片棒を担ぐ
【読み方】
かたぼうをかつぐ
【意味】
ある計画や仕事に加わり、その一部を受け持って協力すること。多く、悪いことに手を貸す場合に用いる。


【英語】
・be an accomplice.(悪事や犯罪に協力する者になる)
・be party to wrongdoing.(悪いことに関わる)
【類義語】
・荷担する(かたんする)
・手を貸す(てをかす)
・加功する(かこうする)
【対義語】
・手を引く(てをひく)
・足を洗う(あしをあらう)
・手を切る(てをきる)
「片棒を担ぐ」の語源・由来
「片棒を担ぐ」の「片棒」は、もとは駕籠(かご)を担ぐ棒のうち、先棒か後棒のどちらか一方を指す言葉です。駕籠を二人で担ぐとき、前を担ぐ人と後ろを担ぐ人がおり、その片方が「片棒」にあたります。
「担ぐ」は、物を持ち上げて肩にのせ、支えることを表します。したがって、もとの「片棒を担ぐ」は、文字どおりには、二人で運ぶ駕籠の一方を肩に担うことでした。
この具体的な動作から、物事の一部を受け持って協力するという意味が生まれました。大きな荷や仕事を一人ではなく二人で分けて支える姿が、企てや仕事の一部を引き受けることに重ねられたのです。
古い用例として、『柳多留』(1765年・江戸時代中期、呉陵軒可有編)の初篇に「片棒をかつぐゆふべの鰒仲間」とあります。ここでは、仲間どうしで一つのことに加わる様子を、「片棒をかつぐ」と表しています。
『柳多留』は、江戸の川柳風狂句を集めた書物で、初篇は明和二年に刊行されました。江戸の町人生活や人情を短い句に映した作品集であり、「片棒を担ぐ」が町の暮らしに近い言い回しとして使われていたことを示しています。
一方、「片棒」そのものの具体的な意味を示す用例としては、『東海道中膝栗毛(とうかいどうちゅうひざくりげ)』(1802〜1809年・江戸時代後期、十返舎一九作)に「片棒(カタボウ)わしがかついで」とあります。これは、実際に駕籠を担ぐ片方を受け持つ意味で使われています。
『東海道中膝栗毛』は、弥次郎兵衛と喜多八の旅を滑稽に描いた滑稽本です。江戸時代の旅行や駕籠のような交通の場面が作品に出てくるため、「片棒」という言葉のもとの生活上の意味を知る手がかりになります。
また、駕籠の前を担ぐ人を「先棒」、後ろを担ぐ人を「後棒」といいます。「先棒」には、のちに「他人の手先となって行動すること」という意味も生まれ、「お先棒を担ぐ」という言い方につながりました。
このように、棒を担ぐという実際の動作から、人の仕事や企ての一部を引き受ける意味へ広がりました。さらに、ただの協力ではなく、よくない計画や悪事に加わる場合に使うことが多くなりました。
現在の「片棒を担ぐ」は、悪事そのものを先に立って行うというより、その一部を受け持って手を貸す意味で用いられます。うそを隠す手伝いをしたり、不正な計画に協力したりする場面に、この慣用句の意味がよく当てはまります。
「片棒を担ぐ」の使い方




「片棒を担ぐ」の例文
- 友人の不正を知りながら黙っていたため、彼も片棒を担ぐことになった。
- うその証言を頼まれても、悪事の片棒を担ぐわけにはいかない。
- 会社の書類を改ざんする計画に加われば、片棒を担ぐ責任を負うことになる。
- 兄は弟のいたずらを隠し、結果として片棒を担ぐ形になった。
- 違法な取引だと知って協力した時点で、片棒を担ぐ行為とみなされる。
- 軽い気持ちで手伝っただけでも、悪い計画の片棒を担ぐことは許されない。
主な参考文献
・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・松村明監修、小学館大辞泉編集部編『大辞泉 第二版』小学館、2012年。
・国史大辞典編集委員会編『国史大辞典』吉川弘文館、1979〜1997年。
・呉陵軒可有編『柳多留』1765年。
・十返舎一九『東海道中膝栗毛』1802〜1809年。
・Oxford University Press『Oxford Advanced Learner’s Dictionary.』
・Cambridge University Press『Cambridge Dictionary.』























