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【緩急宜しきを得る】の意味と使い方や例文!語源由来は?(類義語・対義語・英語)

緩急宜しきを得る

【慣用句】
緩急宜しきを得る

【読み方】
かんきゅうよろしきをえる

【意味】
物事の速さや強さ、ゆるめ方と厳しさを、場面に応じてちょうどよく調整すること。

ことわざ博士
緩急宜しきを得るは、急ぐべきところは急ぎ、ゆるめるべきところはゆるめるという、加減のよさを表すんだよ。
助手ねこ
指導、演説、演奏、仕事の進め方などで、一本調子にならず、場面に合った調整ができている場合に用いるニャン。

【英語】
・know when to be lenient and when to be tough.(ゆるめる時と厳しくする時を心得ている)

【類義語】
・緩急自在(かんきゅうじざい)
・臨機応変(りんきおうへん)
・減り張り(めりはり)

【対義語】
・一本調子(いっぽんちょうし)

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「緩急宜しきを得る」の語源・由来

慣用句を深掘り

「緩急」は、もともと「ゆるやかなことと急なこと」「遅いことと速いこと」「ゆるいことと厳しいこと」を表す漢語です。古くは『色葉字類抄』(1177〜1181年ごろ)にこの言葉が載り、物事の速さや厳しさの差を表す語として用いられてきました。

江戸時代前期の『信長記』(1622年)には、功臣が倦むと「衆事寛急、宜をうしなふて国あやうし」とあります。多くの物事について、ゆるめるか急がせるか、寛大にするか厳しくするか、その加減を失うと、国の安定まで危うくなるという趣旨です。

「宜しきを得る」は、「ちょうどよい程度である」「適当である」という意味の言い方です。「宜」は、その場にふさわしく都合がよいことを表し、「宜しき」は「ちょうどよい程度、状態」を表します。

『文明本節用集』(室町時代中期)には、「宜を得る」に当たる語義が載ります。明治時代の福沢諭吉『文明論之概略』(1875年)にも、「組合宜しきを得て」という形が出てきて、物事の組み合わせや程度がほどよいことを表しています。

このように、「緩急」は対になる二つの加減を表し、「宜しきを得る」は、それをちょうどよい程度にすることを表します。二つが結びついて、「緩急宜しきを得る」は、速める所とゆるめる所、厳しくする所と寛やかにする所を、状況に合わせて整える言い方になりました。

この考え方を分かりやすく示す例として、仏教の琴のたとえがあります。世尊は、修行に励んでもさとりを得られなかった弟子シュローナに、琴の糸は強く張りすぎても緩すぎてもよい音が出ず、「緩急よろしきを得て、はじめてよい音を出す」と説きました。

このたとえでは、努力も怠りすぎず、張りつめすぎず、ほどよい程度を考える必要があると教えています。対象語の意味もこれと同じく、ただ速くしたり厳しくしたりするのではなく、ゆるめる所と引き締める所を見きわめる点にあります。

現在の「緩急宜しきを得る」は、話し方、演奏、指導、仕事の配分、組織の動かし方などに広く使われます。一本調子にならず、急ぐ所と落ち着かせる所をほどよく分け、全体を無理なく進めることを表す表現です。

「緩急宜しきを得る」の使い方

ともこ
健太くん、今度のピアノの発表会で弾く曲、ずいぶんと速いテンポで練習しているね。
健太
うん、とにかく楽譜通りに間違えずに、最後まで勢いよく弾ききろうと思っているんだ。
ともこ
メロディが速い部分はそのままで格好いいけれど、静かな部分は少しゆっくり弾くと、緩急宜しきを得る演奏になって聴く人の心にもっと響くと思うよ。
健太
なるほど、強弱や速さにメリハリをつけるということだね、アドバイスのおかげで自分の演奏に足りないものがよく分かったよ!
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「緩急宜しきを得る」の例文

例文
  • 試合終盤には、攻める時間と守る時間の緩急宜しきを得る采配が勝敗を分けた。
  • 新人への指導では、励ます場面と注意する場面の緩急宜しきを得ることが大切だ。
  • その演説は、静かな語りと力強い呼びかけの緩急宜しきを得ることで聴衆を引きつけた。
  • 家庭学習では、集中する時間と休む時間の緩急宜しきを得る工夫が長続きにつながる。
  • 災害時の対応では、急ぐ判断と落ち着いた説明の緩急宜しきを得る必要がある。
  • 店長の接客は、親しさと礼儀の緩急宜しきを得るところに信頼があった。

主な参考文献

・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・松村明監修『大辞泉 第二版』小学館、2012年。
・小学館ランゲージワールド編集部編『プログレッシブ和英中辞典 第4版』小学館、2011年。
・『色葉字類抄』1177〜1181年ごろ。
・『信長記』1622年。
・『文明本節用集』室町時代中期。
・福沢諭吉『文明論之概略』1875年。
・公益財団法人仏教伝道協会編『仏教聖典』仏教伝道協会、1973年。