【ことわざ】
頭禿げても浮気は止まぬ
【読み方】
あたまはげてもうわきはやまぬ
【意味】
年を取っても、色気や浮気心、道楽の癖はなかなかおさまらないこと。


【英語】
・There is no fool like an old fool.(年を取ってからの愚かなふるまいは、かえって目立つ)
【類義語】
・雀百まで踊り忘れず(すずめひゃくまでおどりわすれず)
・三つ子の魂百まで(みつごのたましいひゃくまで)
【対義語】
・年は争えない(としはあらそえない)
「頭禿げても浮気は止まぬ」の語源・由来
このことわざは、老いを表す「頭禿げても」と、浮気心は「止まぬ」という言い方を組み合わせ、人の癖のしぶとさを言い当てた表現です。髪が薄くなるほど年を重ねても、浮ついた心や道楽は残るという辛口の見方が中核にあります。
言葉の形に大きく関係するのが、都々逸(どどいつ)です。都々逸は、七・七・七・五の四句二十六音を基本とし、かたい言葉ではなく口語で、男女の情をうたうことが多い歌として発達しました。文化・文政のころに尾張国熱田から伝わった神戸節(ごうどぶし)をもとに、天保年間に江戸の都々逸坊扇歌(どどいつぼうせんか)が、新たな節として広めたものといわれます。
この流れの中で、明治の文学者・斎藤緑雨に伝えられる都々逸に、「頭禿げても浮気はやまぬ 止まぬはずだよ先がない」という一節があります。前半の「頭禿げても浮気はやまぬ」は、見た目には年老いた人でも、浮気心はおさまらないという内容を示し、後半の「止まぬはずだよ先がない」は、年を重ねているからこそなおさらやめないのだ、という皮肉を重ねています。
斎藤緑雨の警語を集めた『緑雨警語』は、明治期の「眼前口頭」(1898年)所収の警語などを含む本として刊行され、短い言葉で世の中や人情を鋭く言い切る緑雨の作風を伝えます。このことわざも、長い物語を背景にもつのではなく、短い都々逸の上句が、人間の性分は老いても改まりにくいという教訓として独立したものと考えられます。
「浮気」は、男女関係で心が定まらないことを指す言葉として受け取られやすい表現ですが、このことわざでは、そこから広げて、道楽や悪い癖がなかなか改まらないことも表します。現在使うときは、人の容姿や年齢を笑う言葉としてではなく、年を取っても心の弱さや悪習は残りやすい、という戒めとして理解するのが自然です。
「頭禿げても浮気は止まぬ」の使い方




「頭禿げても浮気は止まぬ」の例文
- 祖父は年を重ねても女遊びをやめず、家族は頭禿げても浮気は止まぬとあきれている。
- 財布が苦しくなっても趣味の道具を買い続ける父に、母は頭禿げても浮気は止まぬと言った。
- 若いころからの道楽が老後も続く様子を、頭禿げても浮気は止まぬとたとえる。
- あの人は何度注意されても派手な遊びをやめず、頭禿げても浮気は止まぬの典型だ。
- 会社を退いたあとも夜遊びの癖が抜けない先輩を見て、同僚は頭禿げても浮気は止まぬと苦笑した。
- 頭禿げても浮気は止まぬというが、長年の悪い癖を直すには本人の強い自覚が必要だ。
主な参考文献
・北村孝一編『ことわざを知る辞典』小学館、2018年。
・小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2006年。
・松村明監修『デジタル大辞泉』小学館。
・斎藤緑雨著、中野三敏編『緑雨警語』冨山房、1991年。
・John Simpson・Jennifer Speake編『The Concise Oxford Dictionary of Proverbs』Oxford University Press。























