【ことわざ】
縁あれば千里を隔てても会い易し
【読み方】
えんあればせんりをへだててもあいやすし
【意味】
縁があれば、遠く離れていても人は自然にめぐり会い、深いつきあいになるということ。


【英語】
・Fate brings people together no matter how far apart they may be(縁があれば、どれほど離れていても人は出会う)
【類義語】
・合縁奇縁(あいえんきえん)
・縁は異なもの味なもの(えんはいなものあじなもの)
・一樹の陰一河の流れも他生の縁(いちじゅのかげいちがのながれもたしょうのえん)
【対義語】
・縁なければ面を対しても見え難し(えんなければおもてをたいしてもみえがたし)
「縁あれば千里を隔てても会い易し」の語源・由来
「縁あれば千里を隔てても会い易し」は、中国の言い方「有緣千里來相會,無緣對面不相逢」に近い内容を、日本語のことわざとして受け入れた表現です。「縁」は、人と人とのつながり、めぐり合わせ、関係を作るきっかけなどを表す言葉です。
もとの中国語は、「縁があれば千里離れていても会いに来てめぐり会い、縁がなければ向かい合っていても出会わない」という対句です。人と人との出会いは、ただ近いか遠いかではなく、めぐり合わせによって決まるという考え方を表しています。
この表現は、中国の古典小説『水滸伝(すいこでん)』第三十五回に出てきます。『水滸伝』は、宋江(そうこう)ら百八人の豪傑が梁山泊(りょうざんぱく)に集まって活躍する物語で、現存の形は元末・明初ごろに成立したとされます。
第三十五回では、宋江が燕順(えんじゅん)とともに梁山泊へ向かう途中、街道沿いの酒店に立ち寄ります。そこにいた石勇(せきゆう)は、宋江とは知らずに、世の中で自分が敬う二人として柴進(さいしん)と宋江の名を挙げます。
石勇は、宋江の弟である宋清から家の手紙を預かり、宋江を探していました。目の前にいる人物がその宋江本人だと分かる直前まで、二人は互いの正体を知らないまま同じ店にいたのです。
宋江は石勇の話を聞いて喜び、「有緣千里來相會,無緣對面不相逢」と言い、自分こそ黒三郎宋江であると名乗ります。ここでは、広い江湖の中で、探す人と探される人が偶然のように出会う場面に、この言葉が置かれています。
この場面の前にも、同じ第三十五回では、呂方(りょほう)が宋江と花栄(かえい)に出会い、「緣法注定」と語る場面があります。人と人との出会いを、ただの偶然ではなく、あらかじめ定まっためぐり合わせのように受け止める考えが、章全体に流れています。
ただし、このことわざは、『水滸伝』の物語だけを語るための言葉ではありません。中国語の形では、人と人とのめぐり合わせはすべて縁分による、という広い意味で用いられます。
日本語では、「縁あれば千里を隔てても会い易し、縁なければ面を対しても見え難し」という長い形があり、「縁あれば千里」と縮めて言うこともあります。前半は、遠く離れていても縁があれば出会うことを述べ、後半は、近くにいても縁がなければ心から出会えないことを述べています。
「千里」は、実際の距離を細かく表すというより、たいへん遠い道のりを表す言葉です。そのため、このことわざの要点は、遠距離の恋愛や旅だけにあるのではなく、思いがけない場所で大切な人に出会う不思議さにあります。
現在では、男女の縁だけでなく、友人、師弟、仕事の相手など、人と人との出会い全般にも用いられます。遠く離れていた人と再会したときや、思いがけない出会いが深いつながりに変わったとき、このことわざがよく当てはまります。
「縁あれば千里を隔てても会い易し」の使い方




「縁あれば千里を隔てても会い易し」の例文
- 海外の研修先で昔の同級生に再会し、縁あれば千里を隔てても会い易しを実感した。
- 遠く離れた町に住む二人が同じ大会で知り合ったのは、縁あれば千里を隔てても会い易しというものだ。
- 祖母は、旅先で出会った人と長く文通を続け、縁あれば千里を隔てても会い易しと語った。
- 転勤先で学生時代の恩師に会い、縁あれば千里を隔てても会い易しという言葉が胸に浮かんだ。
- 二人は別々の国で育ったが、仕事を通じて出会い、縁あれば千里を隔てても会い易しのように結ばれた。
- 行方が分からなかった友人と偶然同じ列車に乗り合わせ、縁あれば千里を隔てても会い易しだと思った。
主な参考文献
・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・松村明監修、小学館大辞泉編集部編『大辞泉 第二版』小学館、2012年。
・北村孝一編『ことわざを知る辞典』小学館、2018年。
・小学館中日辞典編集部編『中日辞典 第3版』小学館、2016年。
・教育部『重編國語辭典修訂本』2021年。
・『水滸傳』元末・明初ごろ成立。























