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【喉元過ぎれば熱さを忘れる】の意味と使い方や例文!語源由来は?(類義語・対義語・英語)

喉元過ぎれば熱さを忘れる

【ことわざ】
喉元過ぎれば熱さを忘れる

【読み方】
のどもとすぎればあつさをわすれる

【意味】
苦しい経験も、過ぎ去るとその苦しさを忘れてしまうことのたとえ。また、苦しいときに受けた恩も、楽になると忘れてしまうことのたとえ。

ことわざ博士
喉元過ぎれば熱さを忘れるは、人間がつらさや反省を長く保ちにくいことを表すことわざだよ。
助手ねこ
失敗の苦しさや助けてもらったありがたさを忘れ、同じ過ちをくり返しそうな場面で用いるニャン。

【英語】
・Vows made in storms are forgotten in calms.(嵐の中で立てた誓いは、静かな時には忘れられる)
・The danger is past, God is forgotten.(危険が過ぎると、神のことを忘れる)

【類義語】
・暑さ忘れて陰忘る(あつさわすれてかげわする)
・雨晴れて笠を忘る(あめはれてかさをわする)
・魚を得て筌を忘る(うおをえてうえをわする)

【対義語】
・羹に懲りて膾を吹く(あつものにこりてなますをふく)

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「喉元過ぎれば熱さを忘れる」の語源・由来

ことわざを深掘り

「喉元過ぎれば熱さを忘れる」は、熱いものを飲みこんだときの、ごく身近な身体の経験から生まれたことわざです。熱いものを口に入れたときは強く苦しさを感じますが、いったん喉を通り過ぎてしまうと、その熱さを感じにくくなります。この具体的な体験をもとに、苦しい出来事も過ぎてしまえば忘れやすいこと、また、苦しいときに受けた恩も楽になると忘れやすいことを表すようになりました。

このことわざでは、「喉元」が、苦しさをじかに感じる場所として働いています。苦しい経験がまだ身近にある間は、そのつらさを強く覚えています。しかし、時間が過ぎて生活が落ち着くと、その痛みや反省は薄れがちです。そのため、このことわざは、人をただ責めるだけでなく、人間の忘れやすさそのものを、分かりやすいたとえで言い表しています。

古い用例としては、浄瑠璃(じょうるり)の『源氏冷泉節』(1710年ごろ・江戸時代中期)下に、「のどもと過てあつさ忘るるとは此事」とあります。浄瑠璃は、物語を語りと音楽で聞かせる芸能で、江戸時代には人形浄瑠璃などとして広く親しまれました。この用例では、すでに「喉元を過ぎれば熱さを忘れる」という発想が、日常のたとえとして使われていたことが分かります。

表現の形には、「過ぎれば」のほかに「通れば」という形もあります。古い用例には「のどもと過て」とあり、のちの用例には「咽元通れば熱さ忘れる」という形も出てきます。どちらも、熱いものが喉のあたりを通り抜けると熱さを忘れる、という同じ比喩にもとづく言い方です。現在は「喉元過ぎれば熱さを忘れる」の形で広く使われています。

明治時代の用例として、福沢諭吉の『福翁自伝』(1899年・明治32年)には、「咽元通れば熱さ忘れると云うその通りで、艱難辛苦も過ぎて仕舞えば何ともない」とあります。この場面では、過去の苦労をふり返っても、苦しみが過ぎた後にはかえって面白く思える、という文脈で使われています。多くの場合、このことわざは反省や恩を忘れることへの批判として使われますが、この用例のように、苦労を乗り越えた後の心の軽さを表す場合もあります。

近い考えをもつことわざには、「雨晴れて笠を忘る」や「魚を得て筌を忘る」があります。雨がやむと笠のありがたさを忘れ、魚を捕ると道具である筌を忘れる、というように、困っていたとき役に立ったものを、必要がなくなると忘れてしまうという発想が共通しています。これらの類義語からも、「喉元過ぎれば熱さを忘れる」が、人の忘れやすさや恩を忘れる心を戒めることわざとして定着してきたことが分かります。

一方で、反対の発想をもつ言い方として「羹に懲りて膾を吹く」があります。これは、熱い吸い物で失敗したために、冷たい膾まで吹いて冷まそうとするという意味から、一度の失敗にこりて必要以上に用心することを表します。「喉元過ぎれば熱さを忘れる」が苦しさを忘れすぎることを表すのに対し、「羹に懲りて膾を吹く」は苦しさを覚えすぎて用心が過度になることを表します。

このことわざが今もよく使われるのは、だれにでも思い当たる経験をもとにしているからです。病気が治ると健康のありがたさを忘れ、失敗の痛みが薄れると同じ失敗をくり返し、助けてもらった時の感謝をいつのまにか忘れてしまうことがあります。だからこそ「喉元過ぎれば熱さを忘れる」は、苦しさが過ぎたあとにも、反省や感謝を大切にするよう促すことわざとして受け継がれています。

「喉元過ぎれば熱さを忘れる」の使い方

健太
先月、宿題をためすぎて夜中まで泣きそうだったのに、また漢字ドリルを三日分ためちゃったよ……。
ともこ
それは喉元過ぎれば熱さを忘れるだね。あのとき、もうためないって言っていたよ?
健太
ほんとだ。大変だったことをすっかり忘れていた!
ともこ
今日は一緒に少し進めよう。今度こそ、苦しかったことを忘れないようにしようね。
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「喉元過ぎれば熱さを忘れる」の例文

例文
  • 喉元過ぎれば熱さを忘れるで、けがが治るとすぐに無理な走り方をしてしまった。
  • あれほど試験前に困ったのに、喉元過ぎれば熱さを忘れるように、また勉強を後回しにしている。
  • 喉元過ぎれば熱さを忘れると言うが、助けてもらった恩まで忘れてはいけない。
  • 災害への備えは、喉元過ぎれば熱さを忘れるにならないよう、平常時にも続ける必要がある。
  • 父は失敗のあとだけ反省するが、喉元過ぎれば熱さを忘れるため、同じ間違いをくり返しがちだ。
  • 喉元過ぎれば熱さを忘れるという言葉を胸に、苦しい時期に支えてくれた人への感謝を忘れない。

主な参考文献
・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・松村明監修『デジタル大辞泉』小学館。
・北村孝一編『ことわざを知る辞典』小学館、2018年。
・『源氏冷泉節』1710年ごろ。
・福沢諭吉『福翁自伝』時事新報社、1899年。
・Instituto Cervantes『Refranero multilingüe』1997〜2026年。





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