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【灯台下暗し】の意味と使い方や例文!語源由来は?(類義語・対義語・英語)

灯台下暗し

【ことわざ】
灯台下暗し

【読み方】
とうだいもとくらし

【意味】
身近なことや、自分に近い事柄は、かえって気づきにくいというたとえ。

ことわざ博士
灯台下暗しは、近くにあるために見落とすことを表すよ。
助手ねこ
探し物、人間関係、自分の欠点、身近な事情などに気づかなかった場面で用いるニャン。

【英語】
・It was right under my nose.(すぐ目の前にあったのに気づかなかった)

【類義語】
・魚の目に水見えず(うおのめにみずみえず)
・秘事は睫(ひじはまつげ)

【対義語】
・岡目八目(おかめはちもく)

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「灯台下暗し」の語源・由来

ことわざを深掘り

「灯台下暗し」の「灯台」は、海辺に立つ高い灯台ではなく、もとは室内で火をともすための照明具を指す言葉です。上に油皿をのせ、灯心に火をつける木製の台で、灯火は周囲を照らしても、台のすぐ下には光が届きにくくなります。この具体的な様子から、身近なことほどかえって分かりにくい、というたとえが生まれました。

照明具としての「灯台」という言葉は古く、『延喜式(えんぎしき)』(927年・平安時代中期成立)に「燈台五基」という用例が出てきます。ここでいう灯台は、航海する船に位置を知らせる建物ではなく、灯火をのせるための道具です。室内の明かりが今よりずっと限られていた時代には、灯火のまわりが明るく、足元や台の下が暗いという状態は、日常の中で理解しやすい比喩でした。

ことわざとしての古い形は、江戸時代前期の俳諧(はいかい)の書物『毛吹草(けふきぐさ)』(寛永15年序、1638年・松江重頼編)に「灯台もとくらし」として出てきます。『毛吹草』は、俳諧の作法や句作に用いる言葉を集めた書物で、昔からの言い習わしを多く含む資料でもあります。この用例から、少なくとも江戸時代前期には、すでに「灯台の下は暗い」という形で、身近なものを見落とすたとえが使われていたことが分かります。

古い用例では「灯台もとくらし」と仮名を交えた形で示され、後には「灯台下暗し」という漢字交じりの表記が広く用いられるようになりました。また、「灯台下暗がり」という形も同じ系統の言い方として伝わっています。表記は変わっても、意味の中心は、明るく照らしているはずの灯台の足元がかえって暗いように、近すぎるものは見えにくいという点にあります。

現在の「灯台」という言葉からは、岬や港にある航路標識を思い浮かべやすいものです。しかし、このことわざは、昔の室内照明具を前提にすると比喩が自然につながります。西洋式の観音埼灯台が点灯したのは1869年で、ことわざの古い用例よりも後の時代です。そのため、「灯台下暗し」の灯台は、海の灯台ではなく、油火をともす台として理解するのがふさわしいといえます。

この発想は日本だけに限らず、中国にも「丈八灯台、照遠不照近」という近い言い方があります。これは、高い灯台は遠くを照らしても近くは照らさない、という意味の表現です。ただし「灯台下暗し」は、特定の人物や出来事に由来する中国の故事ではなく、身近な物の性質から生まれたたとえとして受け止めるのが自然です。

近代以降の文学でも、このことわざは自然な会話の中で使われています。原田康子『挽歌』(1956年)では、父が娘の恋心に気づかなかった場面で「灯台もと暗しだね」と言い、遠藤周作『灯のうるむ頃』(1973年)では、医者が自分の体のことをかえってよく分からないという文脈で使われています。身近な相手、自分自身、目の前の物事を見落とすという現在の意味が、日常の場面に広く根づいていることが分かります。

このように「灯台下暗し」は、灯火をともす台の真下が暗いという生活の中の観察から生まれ、江戸時代前期にはことわざとして使われていました。そこから、目の前の探し物に気づかない場合だけでなく、自分の家族、自分の欠点、身近な問題に気づきにくい場合にも用いられるようになりました。今でも、近くにあるものほど見落としやすいという人間のあり方を、短く分かりやすく表すことわざです。

「灯台下暗し」の使い方

健太
図書委員会のポスターに使う青いペンが見つからないよ。棚もロッカーも探したのに。
ともこ
健太くんの筆箱の横にあるよ。灯台下暗しだね!
健太
本当だ!近くにありすぎて、まったく目に入っていなかったよ。
ともこ
これで本の紹介カードの色ぬりができるね。放課後までに仕上げよう。
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「灯台下暗し」の例文

例文
  • 探していた鍵が上着のポケットにあり、灯台下暗しとはこのことだと思った。
  • 家族の心配には気づきにくく、灯台下暗しにならないように話を聞くことが大切だ。
  • 会社の問題の原因は遠くの部署ではなく自分たちの作業手順にあり、まさに灯台下暗しだった。
  • 古い写真を探していたら、机の一番上の引き出しから出てきて、灯台下暗しだと笑ってしまった。
  • 友人の長所は近くにいるほど当たり前に思えてしまい、灯台下暗しになりやすい。
  • 地域の魅力を外から来た人に教えられ、住民たちは灯台下暗しだったことに気づいた。

主な参考文献
・松村明監修、小学館大辞泉編集部編『大辞泉 第二版』小学館、2012年。
・小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2006年。
・北村孝一編『ことわざを知る辞典』小学館、2018年。
・松江重頼編『毛吹草』寛永15年序(1638年)、正保2年刊(1645年)。
・『延喜式』927年。
・Cambridge University Press『Cambridge Dictionary』Cambridge University Press。





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