【ことわざ】
飴で餅
【読み方】
あめでもち
【意味】
飴を付けた餅を食べるように、話がうますぎること。極めて都合がよく、かえって疑わしく思える場合にも用いる。


【英語】
・too good to be true.(本当とは思えないほど都合がよい)
【類義語】
・飴で餅を食う(あめでもちをくう)
・濡れ手で粟(ぬれてであわ)
・棚から牡丹餅(たなからぼたもち)
【対義語】
・骨折り損のくたびれ儲け(ほねおりぞんのくたびれもうけ)
「飴で餅」の語源・由来
「飴で餅」は、餅に飴を付けて食べるように、甘いものにさらに甘いものを重ねた状態をもとにしたことわざです。餅だけでも満足できる食べ物なのに、そこへ飴の甘さまで加わるため、普通以上に都合がよく、うますぎる話をたとえる言い方になっています。
このことわざでは、「飴で」という部分が大切です。「飴の餅」という食べ物そのものを指すのではなく、飴を使って餅を食べる、つまり「甘いものを甘いもので食べる」という組み合わせを比喩にしています。そのため、「よいことが重なる」という明るい意味だけでなく、「そこまで都合がよいなら、少し疑ったほうがよい」というニュアンスも出やすい表現です。
古い用例としては、『俳諧二重染(はいかいふたえぞめ)』(享保19年・1734年刊、五重軒露月編)に「飴で餅」という形が出てきます。この資料の注には、すでにおいしい餅にさらに飴を付けるような、話がうまく行きすぎている状況を表す言葉として扱われています。つまり、江戸時代中期には、現在に近い意味でこの言い方が通じていたことが分かります。
一方で、「飴の餅」という実際の菓子も、江戸時代の旅や名物菓子の文化の中に出てきます。「飴の餠」は、薄く平たく延ばした餅で水飴(みずあめ)を包んだもので、遠江国、現在の静岡県にあたる小夜(さよ)の中山の名産として知られていました。『東海道中膝栗毛(とうかいどうちゅうひざくりげ)』(1802〜1809年、十返舎一九作)にも、白い餅で水飴を包んで出す名物として記されています。
江戸時代には、街道の往来が盛んになり、寺社の門前や街道筋で名物菓子が広く知られるようになりました。東海道を扱う作品や絵には、安倍川餅、蕨餅、十団子などとともに、佐夜の中山の飴の餅も登場します。こうした食べ物の感覚が身近だったからこそ、「餅に飴を合わせる」という甘さの重なりが、たとえとして分かりやすかったといえます。
ただし、「飴で餅」ということわざが、特定の土地の「飴の餅」だけから生まれたと断定する必要はありません。大切なのは、餅と飴という、どちらも甘く好まれるものを重ねた発想です。そこから、ただ幸運なだけではなく、あまりに都合がよくて疑わしい話、うますぎる話を表すことわざとして定着していったと考えられます。
「飴で餅」の使い方




「飴で餅」の例文
- 登録するだけで高額の賞品がもらえるという話は、飴で餅に聞こえた。
- その投資話は利益が大きすぎて、飴で餅としか思えなかった。
- 友人は飴で餅のような誘いに飛びつかず、条件を一つずつ確かめた。
- 無料旅行に当たったという電話は、あとで手数料を求められ、やはり飴で餅だった。
- 新しい仕事の募集は給料も休みもよすぎて、飴で餅ではないかと家族に相談した。
- 世の中には飴で餅の話もあるので、得をする理由まで確かめる必要がある。
主な参考文献
・小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005〜2006年。
・佐竹秀雄・武田勝昭・伊藤高雄編、北村孝一監修『故事俗信ことわざ大辞典 第二版』小学館、2012年。
・北村孝一編『ことわざを知る辞典』小学館、2018年。
・五重軒露月編『俳諧二重染』1734年。
・十返舎一九『東海道中膝栗毛』1802〜1809年。
・Merriam-Webster, Inc.『Merriam-Webster.com Dictionary』.























