【ことわざ】
親の目は贔屓目
【読み方】
おやのめはひいきめ
【意味】
親はわが子をかわいく思うため、その才能や長所を実際以上に高く評価しがちだということ。


【英語】
・Every crow thinks her own bird fairest(どのカラスも、自分のひなが一番美しいと思う)
【類義語】
・親の欲目(おやのよくめ)
・親に目なし(おやにめなし)
【対義語】
・子を見ること親に如かず(こをみることおやにしかず)
「親の目は贔屓目」の語源・由来
「親の目は贔屓目」は、親がわが子を見る「目」は、どうしても好意に傾いた「贔屓目」になるという意味です。「親の目」と「贔屓目」の末尾に同じ「目」を重ねることで、親の見方には愛情による偏りが生じやすいという経験を、調子よく、覚えやすい形にまとめています。
「贔屓(ひいき)」は、古くは「ひき」と読み、大いに力を出すことや、力を添えることを表しました。やがて、自分が気に入った人を特に引き立て、ほかの人よりも力を貸すという意味に広がり、「ひいき」という読み方が定着しました。
この「贔屓」に「目」を添えた「贔屓目」は、ひいきをする立場から、相手を好意的に見ることを指します。客観的に眺めるのではなく、好きだという気持ちや応援したいという思いによって、よいところを実際以上に高く評価する見方です。
「贔屓目」の古い用例は、井原西鶴の浮世草子(うきよぞうし)『好色一代男(こうしょくいちだいおとこ)』(1682年・江戸時代前期、井原西鶴著)に出てきます。巻五に「贔屓目から見たてました」とあり、この時点ですでに、好意を寄せる立場から人をよく見積もるという、現在とほぼ同じ意味で使われています。
一方、親がわが子を実際以上によく見るという考えは、「親の欲目」という形で、江戸時代の作品に現れます。「欲目」は、期待や好意によって、物事を自分に都合よく判断する見方を指す言葉です。
人形浄瑠璃(にんぎょうじょうるり)『仮名手本忠臣蔵(かなでほんちゅうしんぐら)』(1748年・江戸時代中期、竹田出雲・三好松洛・並木千柳合作)の九段目には、「親の欲目か知らね共」という言葉が出てきます。戸無瀬(となせ)が娘の小浪(こなみ)を器量のよい娘だと褒める場面で、自分の評価には、親としての甘い見方が含まれているかもしれないと認めています。
この古例では「親の欲目」という形ですが、「欲目」と「贔屓目」は、どちらも好意や期待によって、実際以上によく見ることを表します。そのため、「親の欲目」と「親の目は贔屓目」は、同じ親心の偏りを言い表すものとして、並んで用いられるようになりました。
ただし、このことわざは、親が子供を愛すること自体を責めるものではありません。愛情が深いほど、長所を大きく見たり、欠点を軽く考えたりしやすいため、進学、試合、作品の評価など、客観的な判断が必要な場面では、一歩引いて考えることも大切だと教えています。
「親の目は贔屓目」の使い方




「親の目は贔屓目」の例文
- 母は息子の歌声を世界一だと褒めるが、親の目は贔屓目ということも忘れてはならない。
- 親の目は贔屓目だから、選手を公平に決めるため、監督は保護者の意見だけに頼らなかった。
- 父は娘の作文なら必ず入賞すると信じており、親の目は贔屓目とはこのことだった。
- 親の目は贔屓目というが、わが子の欠点にも目を向けなければ、適切な助言はできない。
- 社長は息子の企画ばかり高く評価したため、社員から親の目は贔屓目だと思われた。
- 親の目は贔屓目と自覚していた母は、進路について担任の客観的な意見も聞くことにした。
主な参考文献
・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・北村孝一編『ことわざを知る辞典』小学館、2018年。
・井原西鶴『好色一代男』1682年。
・竹田出雲・三好松洛・並木千柳『仮名手本忠臣蔵』1748年。
・Thomas Preston『A Dictionary of English Proverbs and Proverbial Phrases』Whittaker & Co.























