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【浮世の苦楽は壁一重】の意味と使い方や例文!語源由来は?(類義語・英語)

浮世の苦楽は壁一重

【ことわざ】
浮世の苦楽は壁一重

【読み方】
うきよのくらくはかべひとえ

【意味】
この世の苦しみと楽しみはすぐ隣り合わせで、絶えず移り変わるものだということ。苦しい時に悲観しすぎず、楽しい時に油断しすぎない戒め。

ことわざ博士
「浮世の苦楽は壁一重」は、人生の苦と楽が遠く離れているのではなく、わずかなきっかけで入れ替わりうるという考えを表すよ。
助手ねこ
苦境にある人を励ます場面や、好調な人に慢心を戒める場面で用いるニャン。

【英語】
・Life has its ups and downs(人生にはよい時も悪い時もある)

【類義語】
・楽あれば苦あり(らくあればくあり)
・楽は苦の種、苦は楽の種(らくはくのたね、くはらくのたね)

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「浮世の苦楽は壁一重」の語源・由来

ことわざを深掘り

「浮世の苦楽は壁一重」は、苦しみと楽しみがすぐ隣り合わせで、世の中では絶えず入れ替わるものだという教えを表します。よい時も悪い時も同じ形で長く続くとは限らないため、苦しい時に悲観しすぎず、楽しい時に油断しすぎない心がまえを促すことわざです。

「浮世」は、もとは「憂き世」と書き、この世をつらいことの多い、無常の世界としてとらえる言葉でした。また、死後の世に対して、いま人が生きている現実の世の中や人生を指す意味ももちます。ここでいう「浮世」は、単ににぎやかな世間ではなく、人の身に喜びも悲しみも起こる、生活の場全体を表します。

『伊勢物語(いせものがたり)』(平安時代中期の歌物語、作者・成立年未詳)第八十二段には、「浮世になにか久しかるべき」とあります。これは、散るからこそ桜はますます美しい、この世にいつまでも続くものなどあるだろうか、という趣旨の歌の中の言葉で、「浮世」がはかなさと結びついて用いられていたことを示します。

室町時代の歌謡集『閑吟集(かんぎんしゅう)』(1518年成立、編者未詳)にも、「浮世は風波の一葉よ」という表現が出てきます。一枚の葉が風や波にゆられるように、人の世も安定せず流れに左右されるものだという受け止め方が、後の「浮世」のことわざ的な言い方につながっています。

近世になると、「浮世」は、つらくはかない世ならば、せめて楽しく浮かれて暮らそうという気分も含むようになり、遊里や当世風のものを指す意味にも広がりました。したがって、「浮世」という一語の中には、つらい世を嘆く見方と、はかないからこそ楽しもうとする見方の両方が重なっています。

「苦楽」は、苦しみと楽しみを合わせていう言葉です。『続日本紀(しょくにほんぎ)』(797年成立、菅野真道ら編)には「苦楽不レ同」という古い用例があり、人々の暮らしにおける苦しみと楽しみの違いを述べる時に、この組み合わせが用いられていました。

「壁一重」は、同じ家や隣り合う場所で、一枚の壁だけで隔てられている状態を表し、そこから、物事が非常に近いことのたとえになります。近松門左衛門作の人形浄瑠璃(じょうるり)『博多小女郎波枕(はかたこじょろうなみまくら)』(1718年初演)にも「かべ一重」という古い用例があり、もとは実際の住まいの隔たりをいう具体的な言葉でした。

このように、「浮世」は変わりやすい人生の場、「苦楽」はその中で起こる苦しみと楽しみ、「壁一重」は二つのものがすぐ隣にあることを表します。三つを合わせた「浮世の苦楽は壁一重」は、人生の苦と楽が遠く離れた別世界にあるのではなく、薄い隔たりをはさんで近くにあり、わずかなきっかけで行き来するものだという意味をもつようになりました。

この考え方は、「楽あれば苦あり」や「楽は苦の種、苦は楽の種」といったことわざとも近く、楽だけ、苦だけが続くわけではないという人生観を映しています。今苦しい人には、いつかよい方へ変わる可能性を思わせ、今うまくいっている人には、慢心すれば苦に転じることへの注意を促します。

現在の使い方では、ただ「人生は不安定だ」と言うだけでなく、苦しい時にも楽しい時にも心を乱しすぎない、落ち着いた態度が大切だという戒めとして働きます。「壁一重」という具体的なたとえがあるため、苦と楽の近さを、目に浮かぶ形で伝えることわざになっています。

「浮世の苦楽は壁一重」の使い方

健太
昨日まで一生懸命練習しても全然逆上がりができなかったのに、さっき急にコツをつかんで回れたんだ!
ともこ
わあ、おめでとう!あんなに悔し涙を流して落ち込んでいたのに、今はじけるような笑顔になっているね。
健太
本当に、浮世の苦楽は壁一重だなって実感がわいたよ。
ともこ
大変なことのすぐ後ろには楽しいことが待っているのかもね!
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「浮世の苦楽は壁一重」の例文

例文
  • 大事な試合に負けた翌日に推薦選手に選ばれ、浮世の苦楽は壁一重ということを実感した。
  • 新しい店は開店直後に評判を集めたが、天候の悪い日が続き、浮世の苦楽は壁一重を思わせる展開になった。
  • 祖父は、よいことがあっても気を抜くな、浮世の苦楽は壁一重だと家族に話した。
  • 友人とのけんかで落ち込んでいたが、翌日には仲直りでき、浮世の苦楽は壁一重だと感じた。
  • 受験勉強でつらい日々が続いた後、合格通知を受け取って、浮世の苦楽は壁一重の意味が身にしみた。
  • 業績が上向いた会社ほど、浮世の苦楽は壁一重と心得て備えを怠らない。

主な参考文献
・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・北村孝一編『ことわざを知る辞典』小学館、2018年。
・Cambridge University Press『Cambridge Advanced Learner’s Dictionary & Thesaurus』Cambridge University Press。
・『伊勢物語』平安時代中期。
・『閑吟集』1518年。
・『続日本紀』797年。
・近松門左衛門『博多小女郎波枕』1718年。





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