『〈試験に出る〉マンガでわかる すごいことわざ図鑑』講談社より出版。詳細はコチラ!

【怒りを遷さず】の意味と使い方や例文!故事は?(類義語・対義語・英語)

怒りを遷さず

【故事成語】
怒りを遷さず

【読み方】
いかりをうつさず

【意味】
腹立ちを別の人や別の場面へ持ちこまないこと。関係のない相手に怒りをぶつけず、心をおさえること。

ことわざ博士
この故事成語は、腹の立つ出来事があっても、そのいらだちを別の相手へ向けない心のあり方をいうよ。
助手ねこ
学校や家庭で、先にあった失敗や不満を関係のない人にぶつけそうな場面で用いるニャン。

【英語】
・do not take your anger out on others(怒りをほかの人にぶつけない)
・do not vent anger on unrelated people(関係のない相手に怒りを向けない)
・keep anger from spilling over(怒りをほかへ持ちこまない)

【類義語】
・不遷怒(ふせんど)
・怒りは敵と思え(いかりはてきとおもえ)
・堪忍は無事長久の基(かんにんはぶじちょうきゅうのもとい)

【対義語】
・八つ当たり(やつあたり)
・売り言葉に買い言葉(うりことばにかいことば)
・癇癪を起こす(かんしゃくをおこす)

【スポンサーリンク】

「怒りを遷さず」の故事

故事成語を深掘り

「怒りを遷さず」は、中国の古典『論語(ろんご)』に出てくる言葉から生まれた故事成語です。もとの形は「不遷怒」で、孔子(こうし)が弟子の顔回(がんかい)をほめた言葉の中に出てきます。

『論語』では、魯の哀公(ろのあいこう)が、弟子の中でだれが学問を好んだかを孔子にたずねます。これに対して孔子は、顔回こそが学問を好む人物だったと答えます。

そのとき孔子があげた顔回のすぐれた点の一つが、「怒りを遷さず」でした。さらに、もう一つの美点として「過ちを二たびくり返さない」ことも並べて語られます。

ここでいう「遷す」は、気持ちや物事をほかへ移すことです。つまり「怒りを遷さず」は、ある出来事で生じた怒りを、関係のない別の人や別の場面へ持ちこまないという意味になります。

たとえば、先生にしかられて腹が立ったからといって、あとで友だちにきつく当たるのは、この教えに反します。怒る理由のあった相手と、怒りをぶつけられる相手がずれてしまうからです。

顔回がほめられたのは、ただ静かな人だったからではありません。心が乱れても、その乱れを広げず、自分の中でおさめる力があったと受け取られてきました。

この句が「過ちを二たびくり返さない」と並んでいることも大切です。怒りを広げない人は、自分の失敗や心の動きを見つめ、同じまちがいを重ねにくい人だという意味が、ここにはこめられています。

この故事成語は、怒りそのものをまったく感じるなという教えではありません。人はだれでも腹が立つことはありますが、その怒りを無関係な人へ向けないところに、人としての修養があると教えているのです。

中国の古典を学ぶ中で、この言葉は早くから大切な教えとして読まれてきました。日本でも、漢学を学ぶ書物や教えの中で受けつがれ、心の持ち方を示す言葉として親しまれてきました。

今日では、八つ当たりをしないことや、いら立ちを持ちこさないことを言うときに、この故事成語がよく合います。とくに、家庭や学校のように人との関わりが近い場面では、意味がとても分かりやすく生きてきます。

また、この言葉は、相手を責める前に自分の心の動きを見直すことの大切さも示しています。怒りをそのまま流さず、どこで生まれた感情なのかを考える姿勢が、この故事成語の大事なところです。

このように、「怒りを遷さず」は、顔回の人がらを伝える『論語』の言葉から生まれました。今では、関係のない相手に怒りを向けないよう自分を戒める、落ち着いた教えの言葉として使われています。

「怒りを遷さず」の使い方

健太
さっき体育でリレーのバトンを落として先生に注意されて、まだむしゃくしゃしているんだ。今から理科の月の観察ポスターを書くのに、字まで乱れそうだよ。
ともこ
そのいらいらを班のポスターやわたしに向けたら、怒りを遷さずから遠くなってしまうね。まず水を飲んで、見出しの字だけていねいに書こうか?
健太
うん、ごめん。体育の失敗と理科の班の作業は別なのに、さっきは声まで強くなりそうだったよ……。
ともこ
気づけたなら大丈夫! 見出しを書いたら、放課後にリレーのバトン渡しを練習して、体育のくやしさはそこでほどこう。
【スポンサーリンク】

「怒りを遷さず」の例文

例文
  1. 先生に注意された不満を友だちへぶつけないのが、怒りを遷さずという教えである。
  2. 仕事の失敗でいら立っても家族にきつく当たらないよう、怒りを遷さずを心がけたい。
  3. 試合に負けたくやしさを後輩への叱責に変えない姿に、怒りを遷さずの実践を見る。
  4. 家の手伝いで注意されたあとに弟へ八つ当たりしなかった姉は、怒りを遷さずを守っていた。
  5. 会議で反対意見を言われても、別の部下へ不機嫌を向けないのは怒りを遷さずの態度だ。
  6. 友人関係のもめごとで心が荒れたときこそ、怒りを遷さずという言葉を思い出したい。




『〈試験に出る〉マンガでわかる すごいことわざ図鑑』(講談社)発売中♪

マンガでわかる ことわざ図鑑

◆試験に出ることわざを網羅
ことわざは小学、中学、高校、大学、さらに就職試験の問題になっています。ことわざの試験対策としてもオススメの一冊。

◆マンガで楽しみながらことわざを知る! 憶える!
本書では、マンガで楽しくわかりやすくことわざを解説し、記憶に定着させます。