【ことわざ】
鴨集まって動ずれば雷となる
【読み方】
かもあつまってどうずればいかずちとなる
【意味】
一つ一つは小さく弱いものでも、数多く集まって動けば、軽んじられないほど大きな力を発揮するということ。


【英語】
・Unity is strength.(団結すれば大きな力が生まれる)
【類義語】
・聚蚊雷を成す(しゅうぶんらいをなす)
「鴨集まって動ずれば雷となる」の語源・由来
「鴨集まって動ずれば雷となる」は、一羽では大きな力をもたない鴨も、多数が集まって一斉に騒ぎ動けば、その音が雷のように響くという見立てから生まれたことわざです。小さな存在が数によって大きな力を得ることを、鴨の群れの様子で表しています。
ここでいう「動ずる」は、単に静かに体を動かすことだけを指すのではありません。「動」という字には、動き回ることのほかに、「騒ぐ」「乱れる」という意味もあります。
そのため、「集まって動ずれば」は、多くの鴨が寄り集まり、羽ばたいたり鳴いたりして騒ぎ立てる様子を表します。その音や動きが重なれば、一羽のときとは比べものにならないほど大きくなるということです。
このことわざで大切なのは、単に数が多いだけではなく、集まったものが同時に動くという点です。力の小さなものでも、ばらばらにいるのではなく、まとまって働けば、周囲を動かすほどの力になることを教えています。
これと同じ比喩の仕組みをもつ古い言葉に、中国の故事成語「聚蚊雷を成す」があります。「聚蚊」は集まった蚊、「雷を成す」は雷のような音を生み出すという意味です。
この言葉は、『漢書(かんじょ)』(82年ごろ成立・後漢、班固撰)の「景十三王伝」に出てきます。『漢書』は、前漢の高祖から王莽の時代までを記した中国の正史です。
前漢の中山靖王劉勝(ちゅうざんせいおうりゅうしょう)は、諸侯王に対する悪口や訴えが積み重なり、罪のない者まで疑われる状況を皇帝に訴えました。その言葉の中に、「夫れ衆喣は山を漂わし、聚蚊は雷を成す」という一節があります。
これは、多くの者が息を吹きかければ山さえ動かし、多数の蚊が集まれば、羽音が雷のように響くという意味です。小さな声も、数多く重なれば、人を傷つけるほどの影響をもつことを表しています。
古い本文では、「聚蟁成靁」と書く形もあります。「蟁」は「蚊」、「靁」は「雷」の古い字体で、多くの蚊が飛ぶ音が雷のようになることを表した言葉です。
ただし、『漢書』に出てくるのは「蚊」であり、「鴨」ではありません。したがって、「鴨集まって動ずれば雷となる」そのものを『漢書』の一句とすることはできませんが、小さなものの音や力も、数多く集まれば大きくなるという発想はよく似ています。
「聚蚊雷を成す」は、多くの悪口が集まって害を生むという警戒の意味をもつ一方、「鴨集まって動ずれば雷となる」は、弱い者も大勢集まれば侮れないという、より広い教訓として使われます。人々が協力して力を発揮する場面にも、多数の声や行動が大きな影響を及ぼす場面にも当てはまることわざです。
「鴨集まって動ずれば雷となる」の使い方




「鴨集まって動ずれば雷となる」の例文
- 一人一人の意見は小さくても、町の人々がそろって声を上げれば、鴨集まって動ずれば雷となるで、行政を動かす力になる。
- 児童たちが少しずつ古紙を持ち寄り、鴨集まって動ずれば雷となるの言葉どおり、大量の資源を回収した。
- 鴨集まって動ずれば雷となるというように、小さな商店も協力すれば、大型店に負けない催しを開ける。
- 地域の清掃活動には多くの住民が参加し、鴨集まって動ずれば雷となる勢いで河原をきれいにした。
- 一人では運べない荷物も、仲間が次々に手を貸し、鴨集まって動ずれば雷となる力を見せた。
- 弱い立場にある人々の願いも、鴨集まって動ずれば雷となるように、集まれば社会を変える大きな声になる。
主な参考文献
・小川環樹・西田太一郎・赤塚忠・阿辻哲次・釜谷武志・木津祐子編『角川新字源 改訂新版』KADOKAWA、2017年。
・円満字二郎編『故事成語を知る辞典』小学館、2018年。
・班固『漢書』後漢、82年ごろ成立。























