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【頸を延べ踵を挙ぐ】の意味と使い方や例文!故事は?(類義語・英語)

頸を延べ踵を挙ぐ

【故事成語】
頸を延べ踵を挙ぐ

【読み方】
くびをのべかかとをあぐ

【意味】
首を長く伸ばし、かかとを上げてつま先立ちしながら待つように、人や物事の到来を心から待ち望むこと。とくに、すぐれた人物の出現を待ち焦がれるさまにもいう。

ことわざ博士
頸を延べ踵を挙ぐは、期待の強さを、少しでも遠くを見ようとする姿で表した言葉だよ。
助手ねこ
人の来訪、よい知らせ、すぐれた人物や好機の到来を待ちわびる場面で用いるニャン。

【英語】
・eagerly await …(…を今か今かと待ち望む)

【類義語】
・首を長くする(くびをながくする)
・延頸鶴望(えんけいかくぼう)

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「頸を延べ踵を挙ぐ」の故事

故事成語を深掘り

「頸を延べ踵を挙ぐ」は、中国古典に見える「延頸舉踵」という四字の表現を、日本語の語順で読み下したものです。「頸」は首、「踵」はかかとを指し、首を前へ伸ばし、かかとを浮かせてつま先立ちになる姿を表します。日本語では、「頸」を「首」と書き、「首を延べ踵を挙ぐ」とする形も用いられます。

この表現は、一つの出来事だけをもとに生まれたものではなく、戦国時代の複数の古典に、賢者や徳のある人物を強く慕う姿を表す言葉として現れます。古い用例の一つは、中国の思想書『荘子(そうじ)』(戦国時代、荘周とその後学の著)外篇「胠篋」にあります。

「胠篋」では、人々が「ある所に賢者がいる」と聞くと、食糧を背負い、急いでその人のもとへ向かう様子を、「延頸舉踵」と表しています。ここでは、ただその場で待っているのではなく、首を伸ばして賢者を探し求め、すぐにでも駆けつけようとするほど強く心を引かれる姿が描かれています。

『荘子』のこの文章は、人々が評判の高い賢者を追い求めるあまり、身近な務めまで捨ててしまう世の中を批判する文脈に置かれています。そのため、「延頸舉踵」は、賢者を待ち望む熱心さを表すと同時に、人々が一人の人物へ競って引き寄せられる勢いまで伝えています。

現在の意味に直接つながる重要な用例は、『呂氏春秋(りょししゅんじゅう)』(紀元前3世紀後半・戦国時代末期、呂不韋編)の「順説」にあります。この篇では、力と勇ましさを好む宋の康王に対し、惠盎が、武力よりも仁義によって人の心を得ることの大切さを説きます。

惠盎は、孔子と墨子には、君主として治める領地も、長として人を従える官職もなかったのに、天下の男女はみな「延頸舉踵」して二人を慕い、その身を安んじ利したいと願った、と語ります。首を伸ばし、つま先立ちになる姿によって、徳のある人物を仰ぎ慕い、その働きを熱心に望む人々の心を表したのです。

同じ『呂氏春秋』の「精通」にも、「聖人」が民を愛し、利益をもたらす心をもって立てば、まだ命令を出さないうちから、天下の人々が「延頸舉踵」する、とあります。ここでは、よい政治を行う人物への期待が、言葉や命令よりも先に人々の心を動かすという意味で使われています。

前漢の文人、司馬相如が記した『喩巴蜀檄』では、遠方の人々が漢王朝の徳を慕い、「延頸舉踵」してその方角を仰ぐ姿が描かれています。のちに、この文章を収めた『文選』(6世紀前半、蕭統編)の注にも、『呂氏春秋』の同じ一節が引かれており、この表現が、徳のある人物や望ましい政治を切実に待ち望む言い回しとして受け継がれたことが分かります。

こうして、「延頸舉踵」は、賢者を仰ぎ慕う具体的な姿から、人の訪れや物事の実現を心待ちにする意味へと広がりました。日本語では「頸を延べ踵を挙ぐ」と読み下され、単に待つのではなく、今にも見えるのではないかと首を伸ばすほど、強い期待を寄せる様子を表す言葉として定着しています。

「頸を延べ踵を挙ぐ」の使い方

健太
今日、町の図書館に大好きな宇宙飛行士が来るんだ。朝から入口を何度も見ているよ!
ともこ
私も質問カードを握ったまま待っているの。まさに頸を延べ踵を挙ぐだね。
健太
あっ、玄関にバスが着いた!青い上着の人が降りてきたよ。
ともこ
本当に来てくれたんだね。待ち焦がれたぶん、会えたらもっと嬉しいな!
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「頸を延べ踵を挙ぐ」の例文

例文
  • 町の人々は、新しい病院を立て直す医師の到着を、頸を延べ踵を挙ぐ思いで待っていた。
  • 応援を続けた子どもたちは、代表選手の帰国を頸を延べ踵を挙ぐように待ち受けた。
  • 社員たちは、行き詰まった計画を導く責任者の着任を、頸を延べ踵を挙ぐ思いで待ち望んだ。
  • 長い干ばつに苦しむ農家は、雨雲の到来を頸を延べ踵を挙ぐばかりに願った。
  • 市民は、公正な改革を進める指導者の出現を頸を延べ踵を挙ぐように待った。
  • 友人からの合格の知らせを、家族は頸を延べ踵を挙ぐ思いで待っていた。

主な参考文献

・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2006年。
・呂不韋編『呂氏春秋』戦国時代末期。
・『荘子』戦国時代。
・司馬相如『喩巴蜀檄』前漢。
・蕭統編『文選』6世紀前半。





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