【ことわざ】
沐猴にして冠す
【読み方】
もっこうにしてかんす
【意味】
「沐猴」とは、猿のこと。沐猴、つまり猿が冠をかぶっているようなもので、野卑な人間は高い地位について立派に着飾っても本質的に変わりがないというあざけりのことば。
【語源・由来】
楚の項羽が故郷に錦を飾ろうとしたとき、側近がいったことば。
【出典】
「史記」にある「楚人は沐猴にして冠するのみ」に基づく。
【英語訳】
to be an incompetent leader (like a monkey wearing a crown)
No fine clothes can hide the clown.
「沐猴にして冠す」の使い方
昨日、親戚の結婚式があったんだけどね。なかなかに大変だったんだ。
えっ?結婚式なのに、良いお話じゃないの?
うん。新郎の先祖が武家の出身なんだけど、新婦に対して「商家の娘が何を着ても、沐猴にして冠すだわ」って侮辱したんだ。
あらあら、時代錯誤な話ね。まだ士農工商の意識が残っているなんてびっくりだわ。
「沐猴にして冠す」の例文
- 技術畑出身の彼女が、異例の出世を遂げて社長になったものだから、就任パーティでは、ドレス姿の彼女を沐猴にして冠すと揶揄しているものが少なくなかった。
- 彼が着飾っても沐猴にして冠す、育ちの悪さがにじみ出ているから見ていられないよ。
- 玉の輿に乗った彼女に対する沐猴にして冠すという声が、彼女の耳にも届いていたが、彼女は凛として気にしなかった。
- デザイナーに気に入られ、パリコレでは一番いいドレスを着てランウェイを歩くことになったが、やっかんだ人たちから、日本人が何を着ても、沐猴にして冠すと陰口をたたかれた。
- 学園祭で、学校一の人気者の相手役で舞台に出演することになったが、ラブシーンで沐猴にして冠すとヤジを飛ばされた。