『〈試験に出る〉マンガでわかる すごいことわざ図鑑』講談社より出版。詳細はコチラ!

【一に看病二に薬】の意味と使い方や例文!語源由来は?(類義語・英語)

一に看病二に薬

【ことわざ】
一に看病二に薬

【読み方】
いちにかんびょうににくすり

【意味】
病気の回復には、周囲の人の行き届いた看病が何より大切で、薬はその次に大切であるということ。

ことわざ博士
「一に看病二に薬」は、病人をよく見守り、食事・休養・体調に気を配ることの大切さを表すことわざなんだよ。
助手ねこ
薬を軽んじる言葉ではなく、薬だけに頼らず、心のこもった世話も欠かせないという場面に用いるニャン。

【英語】
・tender loving care(やさしく心のこもった世話)

【類義語】
・薬より養生(くすりよりようじょう)
・一に養生二に薬(いちにようじょうににくすり)

【スポンサーリンク】

「一に看病二に薬」の語源・由来

ことわざを深掘り

「一に看病二に薬」は、「一に」「二に」と順序を示す形で、病気の回復において何をまず大切にするべきかを言い表したことわざです。「一」は第一に重んじるもの、「二」はそれに続いて大切なものを示し、この形によって、薬そのものを否定せず、看病をまず重く見る考え方を端的に表しています。

「看病」は、病人に付き添って世話をすることを指します。古い用例では、『続日本紀(しょくにほんぎ)』(797年成立、平安時代初期の勅撰史書)の天平勝宝八年五月丙子の条に「甚能看病」とあり、病人の平癒にかかわる行いとして「看病」の語が使われています。

この古い「看病」は、現在のように食事や休養の世話をする意味だけでなく、僧侶が病の平癒のために行う加持祈祷(かじきとう)を含むこともありました。時代が下ると、病人に付き添い、身の回りを世話し、回復を助ける意味がより身近な言葉として広がっていきます。

江戸時代の談義本『根無草』(1763〜1769年、平賀源内著)には、「わけて義兵衛は孝行なる男にて、看病(カンビャウ)に手ぬけもなく」という用例があります。ここでは、病人を思いやり、手を抜かずに世話をする意味で「看病」が使われており、現在このことわざがいう「行き届いた看病」に近い姿を読み取ることができます。

このことわざと近い考え方に、「薬より養生」があります。「養生」は、健康を保つために生活に気を配ること、また病気の回復につとめることを表す言葉です。「薬より養生」は、薬を飲むよりも、ふだんの養生や病中の休養を重んじる考えを表しており、「一に看病二に薬」と同じく、回復には薬以外の支えも大切だという発想に立っています。

江戸時代中期には、貝原益軒の『養生訓(ようじょうくん)』(1713年成立・刊行)が広く読まれました。この書物は、心身の健康と長寿を保つための心得を平易に説いた教訓書で、病気になってから薬だけに頼るのではなく、日々の生活や体の保ち方を重んじる考えを広める背景にもなりました。

「一に看病二に薬」は、そのような養生の考えを、病人を世話する側の立場から言い表したことわざといえます。病人が薬を飲むだけでなく、体を冷やさないようにする、食べやすいものを用意する、休める環境を整える、変化に気づいて助けるといった看病が、回復を支える大切な力になります。

近代の看護思想にも、これと通じる見方があります。フローレンス・ナイチンゲールの『Notes on Nursing』(1859年)では、薬は自然な回復を助けるものであり、看護は患者が自然の働きを受けられる最もよい状態に置くことだという考えが述べられています。日本のことわざとは別の文脈ですが、薬だけでなく、環境・休養・世話が回復に大きくかかわるという理解は、このことわざの意味を考える助けになります。

したがって、このことわざは、医師の診察や薬の必要性を否定する言葉ではありません。むしろ、薬が効くためにも、病人の状態をよく見て、安心して休めるように支えることが大切だと教える、生活に根ざしたことわざです。

「一に看病二に薬」の使い方

健太
妹が熱を出したから、薬を飲めばすぐよくなると思っていたけど、まだつらそうなんだ。
ともこ
薬も大事だけど、一に看病二に薬っていうよ。水を飲ませたり、静かに眠れるようにしたりすることも大切だよ!
健太
そうだね。部屋を少し暗くして、汗をかいたら着がえを手伝うことをお母さんに伝えてみるよ。
ともこ
うん。そばでやさしく見守ってあげたら、妹さんもきっと安心するよ。
【スポンサーリンク】

「一に看病二に薬」の例文

例文
  • 一に看病二に薬というように、病人には薬だけでなく、休める環境と行き届いた世話が必要だ。
  • 祖母が風邪をひいたとき、家族は一に看病二に薬を心がけ、食べやすいおかゆを用意した。
  • 一に看病二に薬を忘れず、熱のある弟が水分をとれるよう、こまめに様子を見た。
  • 薬を飲ませるだけで満足せず、一に看病二に薬の気持ちで、母は父の体調の変化に気を配った。
  • 入院中の友人を見舞って、一に看病二に薬という言葉の大切さをあらためて感じた。
  • 一に看病二に薬とは、病気の回復には、周囲の人の心ある世話も大きな助けになるという教えである。

主な参考文献
・北村孝一編『ことわざを知る辞典』小学館、2018年。
・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・松村明監修『大辞泉 第二版』小学館、2012年。
・現代言語研究会著『日本語を使いさばく故事ことわざの辞典』あすとろ出版、2007年。
・『続日本紀』797年。
・貝原益軒『養生訓』1713年。
・Florence Nightingale, 『Notes on Nursing: What It Is, and What It Is Not』1859年。





『〈試験に出る〉マンガでわかる すごいことわざ図鑑』(講談社)発売中♪

マンガでわかる ことわざ図鑑

◆試験に出ることわざを網羅
ことわざは小学、中学、高校、大学、さらに就職試験の問題になっています。ことわざの試験対策としてもオススメの一冊。

◆マンガで楽しみながらことわざを知る! 憶える!
本書では、マンガで楽しくわかりやすくことわざを解説し、記憶に定着させます。